// 住宅の広さが延床面積=㎡で示されてもなお、私たちは「坪単価」を建築コストの目安にしてしまいます。しかし、ビルダーや設計者によって、どこからどこまでが標準仕様で、何がオプションなのか、明確な判断基準はありません。「坪単価80万円」を目安にし…
中国人の留学生にお話をうかがいました。「日本の生活でつらいことは」と尋ねたところ、即座に「正座」という答えが返ってきました。意外かもしれませんが、中国は欧米と同じ「立式」の生活なのです。日本人でも正座が苦手な人は少なくありません。冠婚葬祭…
「ムーミン」の物語が好きだ。 テレビでは、 昔の岸田今日子さんの声のアニメがよかったが 再放送にはなかなか巡り合えない。 (作者のトーベはこのシリーズが気にいらなかった) 仕方がなく、 文庫本を何冊か買って大事にしている。 ほんとうの名前は「ムー…
プロの小説家はもちろん。著名な研究者や専門分野で執筆機会の多い人でも、腕のいい編集者の手にかかると、2000字を500字くらいに減らしても、十二分に要点を伝達できる文章にできます。それだけ大半の人は、無駄なことを書いているのです。デザインも同じ。…
「星の王子さま」の著者による自伝的作品。訳者は明治から昭和にかけての 詩人、歌人、フランス文学者でもある堀口大學。 読みやすいとはいえないが、著者の美学を格調高い日本語に転換し、 遺伝子と文化のバリアを研ぎ澄ました感性で突いてくる。 解説は、…
// 新築が伸び悩み、リフォームやリノベーションが急増しています。しかし、新築に比べコストが割安という理由だけで、見た目優先の改修をしてしまうと、家や人の健康に影響する事態も起きかねません。リフォームは、壁や基礎までチェックする絶好の機会。合…
// 子どもの頃から、箸の使い方には、とりわけきびしく躾けられてきました。裕福な家ではなかったからこそ、食卓での作法くらいは、という父の考えだったのかもしれません。同じ箸を使う文化でも、お隣の韓国とでは少しマナーが異なります。単純な「違い」の…
小さな村があった。 ある朝、修道院の門前で、生まれたばかりの 捨て子が発見される。 僧侶たちはその子をマルセリーノと名付け、 心をこめて育てる。 6歳になったマルセリーノは、 悪戯ばかり。 野原で偶然に出逢った女性に、 会ったことのないママの姿を…
// 日本の家は「用」を限定しないからこそ、手狭に見えて実は広く、すっきりとした使いこなしがなされてきました。機能よりも「間」=余白や隙間、曖昧さが重視され、そうした感性が家づくりに生かされてきたのです。数ある「間」のなかでも、日本人の原点と…
// モノを持ちすぎない、リサイクルを徹底する、ミニマリストへの憧憬。人とモノとの関係は暮らしとゴミの関係に直結します。ご近所のおじいさん、毎日、愛犬との散歩の途中でゴミを拾っていることに気づきました。小さなことでも、自分にできることから黙々…
// どんなに空調設備や換気システムが進化しても、窓を開けたときに感じる自然の風の心地よさにはかないません。高断熱・高気密住宅がスタンダードになっても、四季折々の風が感じられる家が素敵です。家を抜ける風、注目のパッシブ換気、風通しのいい人と人…
今年も、あの3.11がやってきて、また過ぎていった。 震災の直後から、節電のためにと居間の蛍光灯は使わなくなった。 その代わりにスタンドライトを2本購入し、間接照明としてきた。 スタンドといっても高価なものでない。 お値段以上のニタリで買った3980…
// 人を変えようと思っても自分がつらいだけ。家族に関しても同じことがいえそうです。人との関係改善の最大のコツは、まず、自分が変わること。他者は変えられませんが、自分だったら、いま、ここで、すぐに、変わることができます。気が付くと、家族との関…
// どんな家づくりにも予算があります。その予算のなかで、大半の家族が少しでも大きな家をと望みます。しかし、すぐに壁に突き当たり、いくつもの夢を諦めてしまってはいないでしょうか。はじめから、小さな家の選択肢が除外されているのが原因の一つかもし…
// 何百と観た映画の中でベスト1を挙げるとすれば、迷うことなく、この映画を挙げます。本や映画の好みは、その人がそのとき、置かれていた環境や思いに大きく左右されるだけに、安易に人に薦めることは避けてきました。それでも、お薦めしたい珠玉の1本と…
// 収支計算は住まいのエネルギーにも応用できます。季節によって、必要な熱と不要な熱を理解すると、エネルギー消費は効率よくなり、快適さも維持できます。計算の苦手な方もおつきあいください。少しの発想の展開で大幅な節約、光熱費の削減もできるのです…
// スケジュールが埋まっていないと不安でしかたがない日々。日々の暮らしはモノに囲まれ、隙間や余白が罪であるかような家やインテリアが主流です。私たち日本人は、何もない「間」に宇宙を感じ、沈黙に言葉を聴き、「余白」に映像を観る文化を育んできまし…
〇日懇意にしているお店の息子さんが、ある日突然、原因不明の病に倒れ、昏睡状態に陥ったのは3年前のこと。月に1、2度伺うのだけど、その後の状態がどうなったのかご主人に聞くのが怖かった。 「この間、息子と温泉に行ってね」「息子さん…」「下の息子…
// マニュアル、数値だけで快適な住まいを創ることはできません。居心地のいい空間のデザインには人の記憶、時間の流れまで理解することが求められ、自然とのつながりも無視できません。そうして初めて機能を超えた美しさ、心地よさが体現されるのです。何よ…
本棚の奥から引っ張り出してきたちょっと埃の被った宮沢賢治全集Ⅰ(ちくま文庫)。 ここ数日、改めて『春と修羅』を読み耽る。 長い間、難解だと思い込んできた言葉の束が、実はとても平易な表現でこの人の宇宙観を語っている。そんなふうに肩の力を抜いて、…
// 日本の家づくりは、古くから日射や通風など、自然界の Contents. 窓から熱を得るのは昼間だけ 窓を壁にすると大地震では? 掃き出し窓でゴミは掃けない 日射をコントロールする方法 住宅性能は窓の性能で決まる 終日安定した光は北側にある トップライト…
私たちは毎日、あらゆる「制限」の中で生きています。その「制限」を守ろうとする苦しさから逃れるために知恵を使い、技術を生み出し、少しでも楽になろうと必死です。でも、その逃避が自らの成長の妨げになることもあります。脳内の成長インフラを維持する…
// 在宅介護の先に見えてくる、老いと死。国はすでに「在宅看取り」の定着に大きく舵を切っています。家族に迷惑をかけたくないからという理由で病院を選択しても、それができない時代がやってくるのです。介護も看取りも住み慣れた我が家でできるのが理想。…
// 洋風住宅、洋風の暮らしの普及で【畳】のない家が増えています。硬くもなく、柔らか過ぎることもなく、素足に心地よい【畳】は、足に踏まれてもじっと我慢の、日本の家具の原点。高級絨毯もけっこうですが、畳の美しさ、健康効果も確認しておきましょう。…
ビデオでもテレビの録画でも、何度も観てきた映画「レ・ミゼラブル」。リーアム・ニーソン主演の作品がいちばん好きです。 どの作品でも、原作の最終章にある「お前が幸福の中で持っているものを、(お母さんは)不幸の中で持っていた」(佐藤朔訳)の台詞が…
// リフォームといえば、畳や襖の交換から、古くなった設備の更新、増改築まで工事内容はさまざま。英語圏では「reform」を建築用語として使用することはなくrenovationやremodelが多く使われます。欧米と比べ、日本の住宅の寿命が極端に短いのはご存じのと…
// 考え方にも物差しがあるように、人の視野、ものごとの捉え方にも、その人ならではのものさし=定規があります。人間関係には、少々やっかいな「杓子定規」も、家づくりには欠かせません。日本の寸法、モジュールについての短い話。 Contents. いまも現場…
// 親子の間は「信用」ではなく「信頼」で結ばれます。諍いがあっても、裏切りがあっても、取引はできないのです。「信頼」から考えていくと、親子の絆、子ども部屋の原型までも、うっすらと見えてきます。親にとって大切な「見えない壁」についても考えます…
// インテリアと聞くだけで興味はあるものの、何から手を付けていいのかわからなくなってしまいます。もともと日本の住まいには飾りを削ぐことで「美」が醸される文化のなかで、私たちは育ってきたのです。それでも何とか、お洒落な空間にしたい。そんなふう…
初めて訪れた場所なのに、いつか来たことのある、見たことのあるような感覚。初めて会ったのに、ずっと昔に会ったことのある、そんな感覚をデジャ・ヴュといいます。日本語では「既視感」と訳されますが、訳語の「視」は、いずれも視覚を意味するものの聴覚…