Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

住まいと文化

伝統と文化の視座から考える住まいと人の関わり。

【パーソナルスペース】=国によって、こんなに違う人との距離感。

// こんなにも「ソーシャル‐ディスタンス【social distance】=社会的距離」という言葉を頻繁に聞いた時代があったでしょうか。距離と空間は意味が異なるものの、他人との距離感を示す際、「パーソナルスペース」という概念もあります。個人と個人、文化の相…

【線とフォルム】=直線と曲線(アール)の基礎知識。

// 同じ建築でも日本と諸外国とでは、線一つの扱い方やそれに求める文化的な意味、価値観が大きく異なります。伝統建築はもちろん、住宅などの一般建築でも、少し角度を換えて「線」を眺めるだけで、新たな発見がいくつもあるはずです。もちろん、家づくりの…

【街と家と音】=静寂と騒音。

// 目で見て、耳で聞き、肌でふれる。味覚や臭覚を含め、私たちは、常に五感を駆使して、目の前の現実を捉え、リスクを回避しながら生きています。なかでも「音」はときに視覚以上に動作や意思決定に影響を与え、長い時を経てもなお記憶に刻まれます。懐かし…

【片付け・断捨離】=まずは「半径80センチ」以内から始める。

// どんな本を読んでも、どんな方法をテレビで学んでも、結局、身の回りには捨てられないモノばかり。星の数ほど整理整頓のノウハウはあるのでしょうが、毎回、自分の目標を達成できずに落ち込んでしまうのです。諦めてはなりませんが、大きすぎる目標も問題…

【障子】=はかなさを慈しむ気持ちがはぐくんだ美学。

// かつては紙や木、土だけでできていた日本の家も、いまや化学製品が主流を占め、使われる自然素材は数えるほど。ビニールやプラスチックのように、いつまでも丈夫で頑丈なことはいいことですが、身近に「生命」の息遣いが感じられなくなったことは少しさび…

【電子レンジ】=「チン」する料理を避けてきた理由。

// 主婦の城ともいわれてきたキッチン。そのキッチンでの家事労働は急速に簡略化され、システムキッチンの役割、機能自体が形骸化しつつあります。食事をつくることは、家族の健康を考え、生命を支えること。食とキッチンの原点とは。 Contents. レンジの熱…

【五感と家】=だらしない自分を許してくれる空間であるか、どうか。

// だらだらは、だらだら。ゾクゾクは、ゾクゾク。としか表現できないことがあります。オノマトペ。抽象的だからこそ、感覚を表現するには最適な言葉があります。この曖昧さを具体的な数値に換えて実現するのが、家づくりの醍醐味。 Contents. 感覚の表現に…

【音】=能動的に「聴く」ことでしか聞こえてこない「メッセージ」があります。

// 私たちは、この世界を身体や心で瞬時に感じられる感覚を得て生まれてきました。代表的なものが、いわゆる五感と呼ばれる感覚です。しかし、同じものを見たり聞いたりしても、捉え方は人によってさまざま。目の前にあるものを、どう捉え、何をイメージする…

【景観】=「計画を立てるには歴史観を持たねばできません」(浅田孝)。

// 新しい価値は、歴史観に基づいてこそ、普遍的な価値へと昇華します。変わっていいこと、変わらなくてはならないこと、変わってはいけないこと。 Contents. 熱的性能では先進的な北海道の家 家にも街にも表情が感じられない たった数年で古ぼけてしまう外…

【炎】=心が鎮まる「“1/f”のゆらぎ」効果。

人類が初めてエネルギーとしての【火】を利用するようになったのは、いまから約50万年前のこと。暖かく、煮炊きもできる【火】はやがて、暮らしに欠かせないものとなり、その【火】を雨風から消さないために屋根ができ、囲いが工夫され、家の原型ができまし…

【洗濯・乾燥】=室内で洗う、干す───文化と効能。

// 梅雨の時期から猛暑の夏、寒い冬の間、共働きの家族の場合など、外干しが難しい状況に置かれることは少なくありません。部屋干しするにはそれなりのスペースも必要です。でも、エアコンや扇風機などを上手に使えば、快適な洗濯&室内干しができるかもしれ…

【トイレ掃除】をしても「運気」は上がらないという証拠。

// 神様がいる。掃除をすると運気が上がる。金運、強運、何でも期待できる。トイレ掃除には、なぜか、スピリチュアルな言葉がついてまわります。それだけアンタッチャブルな空間といえるのかもしれません。トイレに関する、けっして汚くはないお話のあれこれ…

【家の記憶】=初めてなのに懐かしい、そんな家のたたずまい。

// どこかで会ったような気がする人がいます。どこかで見たような風景、家。思い出そうとしても、なかなか記憶が甦らない。それは既視感=デジャビュかもしれません。曖昧だけれど、どこか懐かしく、温かい。ひょっとして、前世で出合った風景や人なのでしょ…

【照明】=日本の家も街も明るすぎる。うつくしい空間は「陰影」の演出から。

// 光にも陰にも階調があります。色合い、光度は一定ではなく、無限のグラデーションの中に無限の美しさが潜んでいます。絵画や写真、文章、そして建築にも【陰翳】の演出は欠かせません。 Contents. 線で形を描くことの難しさ 無意識でも眺めている輪郭 無…

【家づくりと職人さん】=手わざを守ることは、町を育て、自然を守る循環をつくること。

// 家づくりは、あらゆる職種の専門家たちによる手業の集大成でもあります。どんなに工業化が進もうと、現場での人の目、人の手足による裁量なしでは、寸分の狂いも許されない建築がそもそも成立すらしないのです。 Contents. 大工さんが入る前の職人たち 2…

【長寿遺伝子】=「腹七分目」で起きる奇跡について。

// 日本には古くから「腹八分目」という言葉があります。何事も、ほどほどのほうがいい結果を招く、少食が健康を保つなど、短いその一言に哲学さえ感じます。最近は「腹七分目」が健康だけでなく、長寿のもとになるとの説が相次いで発表されています。 Conte…

【正座】に秘められた、日本人ならではの精神性と身体性。

中国人の留学生にお話をうかがいました。「日本の生活でつらいことは」と尋ねたところ、即座に「正座」という答えが返ってきました。意外かもしれませんが、中国は欧米と同じ「立式」の生活なのです。日本人でも正座が苦手な人は少なくありません。冠婚葬祭…

【食卓の美学】=日本人の所作と日本の家との関係性。

// 子どもの頃から、箸の使い方には、とりわけきびしく躾けられてきました。裕福な家ではなかったからこそ、食卓での作法くらいは、という父の考えだったのかもしれません。同じ箸を使う文化でも、お隣の韓国とでは少しマナーが異なります。単純な「違い」の…

【照明・灯り】=闇を制御する光のしわざ。

今年も、あの3.11がやってきて、また過ぎていった。 震災の直後から、節電のためにと居間の蛍光灯は使わなくなった。 その代わりにスタンドライトを2本購入し、間接照明としてきた。 スタンドといっても高価なものでない。 お値段以上のニタリで買った3980…

【建築と間(ま)】=日本の家と家族の間に立ち塞がる、もう一つの結界。

// スケジュールが埋まっていないと不安でしかたがない日々。日々の暮らしはモノに囲まれ、隙間や余白が罪であるかような家やインテリアが主流です。私たち日本人は、何もない「間」に宇宙を感じ、沈黙に言葉を聴き、「余白」に映像を観る文化を育んできまし…

【制限・制約の効用】=「非効率」と「偶然」が与えてくれる、神の方法。

私たちは毎日、あらゆる「制限」の中で生きています。その「制限」を守ろうとする苦しさから逃れるために知恵を使い、技術を生み出し、少しでも楽になろうと必死です。でも、その逃避が自らの成長の妨げになることもあります。脳内の成長インフラを維持する…

【尺貫法】=日本ならではの建築スケールと日本社会における「杓子定規」の共通点。

// 考え方にも物差しがあるように、人の視野、ものごとの捉え方にも、その人ならではのものさし=定規があります。人間関係には、少々やっかいな「杓子定規」も、家づくりには欠かせません。日本の寸法、モジュールについての短い話。 Contents. いまも現場…

【きれいな暮らし】=ミニマリストでもエコロジストでもなかった彼女の日常。

// ミニマリスト、エコロジー、SDGs。環境に負荷をかけないシンプルな暮らし、が流行です。あえて「流行」という言葉を使ったのは、この半世紀の間だけでも、何度もかたちを変えてサステナブルな暮らしが多くの人に標榜されながら、ほとんど全てが消え去っ…

【しなやかさ】=行間を味わう「読書」。グラデーションに漂う「空間」。

家づくりの際、機能や目的を追求し過ぎると、いつしか身体も心もこわばってしまいます。思考が型にはまり、身動きできなくなくなることも。理想の体現も必要ですが、曖昧な空間に身を委ねてみることも大切です。グラデーションに内在する色を楽しみ、大きな…

【家具の考え方】=7年で乗り換える300万円のクルマと、100年超えで使う300万円の家具。

// 家を建ててから、少しずつ家具を買い揃えていく。家の計画と同時進行で、購入する家具も検討する。これまで、家具が最小限で済んだ日本家屋で育ってきた私たちは、家具の選択が苦手。しかし、暮らしも住まいも、洋の佇まいが主流となってきました。そんな…

【節水】=実は、水の輸入大国だった日本。

// 日々の生活ではいうまでもなく、宗教や文化の面でも、水との関わりを大切にしてきた日本人。きれいな水が大地を潤し、食材を育て、街をつくり、健やかな人を育んでもきました。しかし、水と空気はタダだと思っているのは、どうやら日本人くらいかもしれま…

【結界】=見えない「壁」で家と世界を仕切る、日本人ならではの空間認識。

// 紙や布1枚、あるいは縄1本で世界を隔てる「結界」。この感覚は、おそらくは日本人ならではのもの。俗と聖を分離するのみならず、建築の世界、私たちの日常でも、当たり前のように応用されていることに気づきます。 Contents. 紙や布1枚で世界を隔離する…

【お金】=たった1日、「お金を使わない日」から気付いたこと。

// 遊園地に行かなくても、近くの小径で樹木や草花を愛でることができます。ファミレスに行かなくても、子どもたちとカレーやホットケーキを作る楽しみは格別。高価なゲームや玩具より、パパやママと「家」で過ごす時間が記憶に残るかもしれません。お金のエ…

【ガラクタとのつきあい方】=一度に処理するはひとつ、礼をもって捨てるべし。

// 収める、整理する、片付ける。わかってはいますが、それができないモノとのつきあい。捨ててしまえば済むのでしょうが、それができないのです。捨てられない、片付けられない気持ちの心理、ガラクタと化していくモノたちが人生に与える影響。 Contents 10…

【ほんとうのシンプル】=家の計画、文章、あらゆるデザインのキーワードは「簡潔・省略・余韻」。

// 芸術は【引き算】から生まれる、といわれます。建築、文章、写真、家づくりにも同じことがいえそうです。毎日の仕事、家事だって、引き算の繰り返し。過剰さで価値を計るのではなく、無駄を省き、主題を浮き彫りにすることは至難の業です。そのあとに【余…