Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

住まいと家族

住まいが「うち」になるための家族の暮らしのあれこれ。

【縁側とご縁】=向こうからくる「縁」、引き寄せる「縁」。

// 縁側の「縁」、人と人との「縁」。同じ「縁」にも「ふち」や「へり」があり「えん」も「ゆかり」もあります。「縁側」のある家への憧れがありましたが、いい「ご縁」にも憧れます。人のみならず、お金や地位との「ご縁」にもあやかりたいのが、人間の弱さ…

【仏壇】=葬式なし、墓なし、仏壇なし、という選択。

// 新築の家におじゃましますと、仏壇のない家、仏壇の代わりに簡単な祭壇を設けた家が増えていることに気づきます。核家族化、少子高齢化、狭小な家が増えている影響ともいえますが、私たちの家づくり、先人たちへの思いは、どんなふうに変わっていくのでし…

【子どもの自立】=依存を経ずして巣立つことは難しい。

// 子育ての最中、甘えや依存というと、あまり聞こえがよくないように思われがちです。自立というと、ちょっとカッコがつく気がするかもしれません。しかし、子どもにとっては「おなかいっぱい」というほどの依存が必要な時期があります。そんな自立と依存を…

【エンディングデザイン】=終末期の時間は人任せにはしない。

誰もが老いて、やがて死を迎えます。その過程に医療ががり、介護があり、それぞれに在宅、施設・病院など最期の「場」があります。終末期、その先に見えてくる「死」をどう捉え、迎え、受け入れていくか。場はどこか。そこには、本人と家族の意志、覚悟が深…

【終活・看取り】=空間の片隅に「エンディング」を潜ませておく。

// 多くの人が最期の時間を「家で過ごしたい」と願います。しかし、日本ではまだ、終の棲家であるはずの家が夏は暑く、冬は寒い、介護には適さない環境であることが少なくありません。建て替えやリフォームのとき、ほんの少しでも「介護」や「看取り」=「エ…

【至福の時間】=デンマークの「Hygge=ヒュッゲ」と日本の「だらだら」。

// 家のこと、あるいは特定の場所や人との関係について、私たちは「居場所」を求めようとします。ときには「居場所」が見つからず、世界をさまよい続けるほど、それがないと、生きていくのが困難なこともあるのです。しかし、居場所はもとから「ある」もので…

【長寿と料理】=料理好きな人は、長生きできるという説。

// 家事だと思うと面倒ですが、料理は本来、楽しいもの。おいしいものを食べて、誰かに喜んでもらって、健康にもなれる。料理をすることで長寿になる、という報告について。 Contents. 楽しい料理と割り切る 週に3~5回で「長寿」 趣味の料理だっていい 楽…

【縁側】=外でも内でもない、日本的過ぎる「曖昧空間」。

// 誰かとつながりたい。社会とともに歩む。環境を大事に。けれど、誰ともつながりたくないことを体現した家のつくりがいま、主流です。ここ数十年で生まれた日本人特有のプライバシーの概念が、社会と家族、家の機能までも大きく変革しようとしています。 C…

【ミッドライフクライシス】=人生を、問い直さずにはいられなくなる時期。

// 家づくりを経て、子育てが終わった頃、足元に忍び寄る中年期ならではの不安や葛藤=クライシス。それと闘うこともいいのでしょうが、足元に課題解決のヒントがあるかもしれません。 Contents. 中年期の葛藤とは 熟年夫婦の大問題 生きてちゃだめ? 後退で…

【ハレとケ】=家の中で紡がれる日常・非日常の「記憶」。

// かつて日本の家は、冠婚葬祭に代表される家族の儀式の舞台でもありました。その舞台は、時代とともに屋外に移りつつあるか消えつつありますが、儀式の痕跡はいまも家のなかに残っています。日常と非日常とを区別し、折々の節目でつくられてきた日本の家と…

【音のデジャビュ=】=家と家族の記憶に刻まれる「音」の物語。

// 風景にデジャビュ=既視感を感じることがあるように、ある音から、突然、遠い記憶が呼び覚まされることがあります。しかし、現代の家のなかで響く音は機械音が増え、人が手間をかけてつくる「音」が少なくなってきました。 Contents. 目を覚ましてくれる…

家と家族の幻想。

わずかな時間を見つけて向田邦子を読んでいる。昭和4年生まれ。世代が異なる気がしないのは、この人のシナリオによる作品が、子どもの頃からテレビドラマとして身近にあったからだろう。 ノンフィクションから読書の道に入り込んだ自分にとって、シナリオ作…

【個室と孤室】=部屋ごとに仕切るより、ちょっとした「縄張り」がほしい。

// 新築を計画するとき、家族一人ひとりが真っ先に考えるのが、自分の居場所。しかし、私たちは居場所を間仕切りされた個室空間と考えがちですが、個室ばかり並んでは、予算はいくらあっても足りません。私たちがほんとうにほしいのは、個室なのか、家族とい…

【親の寿命】=あとどのくらいの時間を一緒に過ごせるか───。

// いつまでもあると思うな親と金。分かっているつもりです。しかし、親の命にも私たちの人生にも限りがあります。限界から人生を眺めてみると、私たちのいま、明日は、どんなふうに見えてくるのでしょう。 Contents. 親の命は永遠ではない事実 いろんな視点…

【家づくり】は「修業」。

A社(工務店)でお話をうかがう。昨年、取材でお会いしたBさんご夫妻と一緒である。あれから検討を重ね、プランを練り、いまは上棟を終え、着々と工事が進んでいる。奥様からうかがった話が、印象に残った。「家づくりって、実は、苦しい作業だったのですね…

【実家の整理】=「捨てるモノ」を選ぶより「捨てたくないモノ」を選んできた。

// 老いた親と実家。この二つにどう向き合うかは、誰にでも避けては通れない課題といえます。いつまでも両親二人で、あるいは一人暮らしをさせておくこともできず、同居もしくは施設入居となれば、実家は即、空き家となってしまいます。空き家を抱えた地域は…

【ムーミン谷の家族】=スナフキンにはなれない、ならない。

「ムーミン」の物語が好きだ。 テレビでは、 昔の岸田今日子さんの声のアニメがよかったが 再放送にはなかなか巡り合えない。 (作者のトーベはこのシリーズが気にいらなかった) 仕方がなく、 文庫本を何冊か買って大事にしている。 ほんとうの名前は「ムー…

【汚れなき悪戯】=無力と純心と節度の狭間にあるもの。

小さな村があった。 ある朝、修道院の門前で、生まれたばかりの 捨て子が発見される。 僧侶たちはその子をマルセリーノと名付け、 心をこめて育てる。 6歳になったマルセリーノは、 悪戯ばかり。 野原で偶然に出逢った女性に、 会ったことのないママの姿を…

【家族関係】=「自らに目覚めよ」(親鸞) 「いただいた私」を生きていく。

// 人を変えようと思っても自分がつらいだけ。家族に関しても同じことがいえそうです。人との関係改善の最大のコツは、まず、自分が変わること。他者は変えられませんが、自分だったら、いま、ここで、すぐに、変わることができます。気が付くと、家族との関…

それぞれの家族、それぞれの祈り

〇日懇意にしているお店の息子さんが、ある日突然、原因不明の病に倒れ、昏睡状態に陥ったのは3年前のこと。月に1、2度伺うのだけど、その後の状態がどうなったのかご主人に聞くのが怖かった。 「この間、息子と温泉に行ってね」「息子さん…」「下の息子…

【在宅介護】=住み慣れたわが家で見守られ、旅立つための心がまえと家のかたち。

// 在宅介護の先に見えてくる、老いと死。国はすでに「在宅看取り」の定着に大きく舵を切っています。家族に迷惑をかけたくないからという理由で病院を選択しても、それができない時代がやってくるのです。介護も看取りも住み慣れた我が家でできるのが理想。…

【子育て・子ども部屋】=見えない「壁」の、あっち側、こっち側。

// 親子の間は「信用」ではなく「信頼」で結ばれます。諍いがあっても、裏切りがあっても、取引はできないのです。「信頼」から考えていくと、親子の絆、子ども部屋の原型までも、うっすらと見えてきます。親にとって大切な「見えない壁」についても考えます…

【信用と信頼】=同情はいらない。もう少し共感してほしいだけ。

// 「信用」の陰には、取引があります。不信感が少しでも見え隠れすると、私たちは本気でその人と付き合うことはできません。「信頼」は、相手に対して白紙の小切手を切ること。家族や友人をどこまで信頼できるかどうかで、人間関係の深さは大きく変わります…

【子ども部屋】=家を出たあとも部屋が物置化しない「可変」デザイン。

// 子どもたちのためにと夢を抱いて建てたはずの家も、子どもが大きくなるのはあっという間。巣立ったあと、使われなくなった「子ども部屋」はすぐに物置化し、夫婦はそれぞれの生活リズムを持つことで、新築当初とは全く違った機能が住まいに求められます。…

【家事と手間】=心を使うことでしか得られないこと。

手間がかかる、手間を要する、手間取る――などには、想定した以上に時間や工数がかかるなどの意味があります。もっと短時間で済ませたいのに、ああ面倒くさい、ということ? しかし、簡単にはできないからこそ、奇跡に巡り会えることもありそうです。 // Cont…

【二世帯住宅】=互いのストレスを解消する、姿、音、臭い──というキーワ―ド。

// 土地や建築費の高騰、世帯収入の伸び悩みなどで、改めて二世帯住宅が注目されています。しかし、気心の知れた親子の間とはいえ、複数の世代、世帯が一つ屋根の下に暮らすには、多くの困難が待ち受けているのも現実。規格住宅は少なくありませんが、プラン…

【子どもと本】=「人生は生きるに値する」ことを伝える。

// 地震、水害など、大規模な災害が起きるたび、自分には何ができるだろうかと考えてしまいます。しかし、ボランティア、募金など、すぐに行動を起こせる人ばかりとも限りません。せめて、いちばんの弱者ともいえる子どもたちにできることを考えてみました。…

【母の認知症】=在宅介護を経てグループホームに入るまで。

// 父が亡くなったあと、30数年にわたり一人暮らしを続けてきた母。続けたのではなく、続けてくれたのです。しかし、私たちが気づかぬうちに、認知症はゆっくりと進行していました。実家を整理し、遠く離れた私の家に同居することになったのが5年前のこと。…