Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【ムーミン谷の家族】=スナフキンにはなれない、ならない。

「ムーミン」の物語が好きだ。

テレビでは、

昔の岸田今日子さんの声のアニメがよかったが

再放送にはなかなか巡り合えない。

(作者のトーベはこのシリーズが気にいらなかった)

仕方がなく、

文庫本を何冊か買って大事にしている。

 

ほんとうの名前は「ムーミントロール」。

甘えん坊で、傷つきやすく

吟遊詩人のスナフキンに憧れている。

崇拝さえしている。

 

住所は「どんなところよりも美しい谷」。

 

ムーミンパパは責任感が強いが、

すぐに挫折をするナイーブな紳士。

仕事はしていないみたい。

 

ムーミンママは癒し系代表のような存在だが

頼りになって前向き。

でも、ものごとにも人にも、

けっして執着しない

ある意味、頑固な性格だ。

 

ちびのミイ、スノークといった女子(かどうかわからない)、

頭のちょっと軽いスニフなんかが

いつもムーミンのそばにいて

やっかいな騒動を起こしたりもするが、

ムーミンの家族もムーミン谷のみんなも

基本的にはいつものんびり、平和である。

 

 

スナフキンは

毎年、秋になると一人旅に出る。

持ち物は

小さなリュックとハーモニカだけ。

旅から帰っても、

小川のほとりの空地で

寝泊まりするくらい孤独を愛するが

冷たい人ではなく

誰にでも一定の距離を保つオトナである。

 

 

スナフキンのように生きたいと思ってきた。

神社の神さまた大黒さんや

仏壇のご先祖さんにも

ずっと昔から「スナフキンになれますように」と

お願いをしてきた。

 

でも、夢は叶わず、

日常のなかに埋没する日々を送る

面白くもなんともない

オトナになってしまった。

 

ムーミンも、なかなかすごい。

目の前の相手、日々の生活に

愚直なまでに向き合って

尽きることのない小さな悩みを

抱え続ける。

 

時々、冒険もあるけれど

日常を維持するには、

実は、とてつもない力が必要なのだ。

 

スナフキンに憧れながらも

ムーミンはけっして

スナフキンになろうとはしなかった。

いまを生きることに精一杯なので

ほんとうのところ、

退屈している暇はないのかもしれない。

 

 

冬の間、

ムーミンの家で寝泊まりしていた客たちも

春になると

みんな自分のところに帰っていく。

残されるのは

空っぽのジャム瓶とゴミの山。

ムーミンたちが冬眠から目覚めるのは、

4月頃から。

 

 

どんなことでも、自分で見つけださなきゃいけないものよ──。初めて経験する冬に不安になるムーミンに、トゥーティッキがかけた言葉です。ムーミンは、その後、冬の住民たちとの交流を重ね、不安を乗り越えていきます。

 

トゥーティッキは現実的で、どんな問題が起きても、冷静に解決してしまう。手先も器用で、腰に下げた工作用の万能ナイフで料理も工作もこなします。冬眠はしないので、冬にだけ姿を見せる生き物たちもたくさん知っているのです。

 

春、 口笛で吹き、手まわしオルガンを弾いて、春を告げてまわるのもトゥーティッキでした。余計な手出しはせず「大切なことは自分自身の経験を通して学ぶもの」とムーミンを見守り、支えようとします。

 

絵本からも、テレビの番組からも感じるのは、静かさではなく静謐さ。その静謐さとは、なにごとも「すぎない」ことで体現されるように思います。