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そして、私たちの「居場所」について。

【リフォーム】=病気や家庭内事故から身を守る「予防的改修」の考え方。

 

 

 

 

 

 

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リフォームといえば、畳や襖の交換から、古くなった設備の更新、増改築まで工事内容はさまざま。英語圏では「reform」を建築用語として使用することはなくrenovationやremodelが多く使われます。欧米と比べ、日本の住宅の寿命が極端に短いのはご存じのとおり。少子高齢化社会では、介護を視野に入れた「予防的改修」がキーワードといえそうです。

 

Contents.

 

リフォーム業界の裏事情

新築が頭打ちとなり、

リフォームが増えています。

 

雨漏り・外壁塗装・

屋根葺替・段差解消・手すりの設置、

浴室・トイレ・キッチンなどの水回りの改修、

内装材の張り替えなど、

古くなった設備の更新や模様替えが

多くを占めます。

 

おおよそ5年おきに、各種の改修事案が増え、

築15年頃を境にして

増改築を含む

大規模リフォームが多くなります。

 

しかし、一般的なリフォームの行く末は

新築・建て替え。

 

振り返ると、

数回のリフォームで費やした数百万円は、

いったい何のためだったのかと

反省するケースも実は少なくないのです。

 

リフォームの場合、

500万円未満の工事には建設業許可が不要で、

構造はおろか

温熱環境についても素人同然の業者が

工事を請け負うことも珍しくありません。

 

化粧直しのリフォームから一歩踏み込んで、

壁の表面に

なぜカビが多いのか、

床はなぜ歪んでいるかといった

目に見えない部分にまで

配慮が届く専門家がいるかどうか

見極めが大切です。

 

言い換えれば、500万円以上のリフォームは

すでにリフォーム会社の領域にはない

ということでもあります。

 

住宅性能を熟知した工務店や設計事務所でないと

目に見える部分だけの

工事で終わることもあり、

そうした工事では

あとあと、内部結露、構造材の腐朽など

リスクが高まるケースが少なくありません。

 

しかし、仮に1000万円以上の予算があって、

耐震性を向上させ、

断熱改修をし

理想の温熱環境を実現したとしても

80代から90代の夫婦世帯や高齢独居世帯に

それを提案するとなると、問題は複雑です。

 

この年代になると

施設入居なども選択肢となるだけに

同居する若い世代がいる場合などを除き

大規模のリフォームもしくは

リノベーションの意味を

考え直さなくてはならないでしょう。

  

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専門の職人を活用したい

優先すべき改修部位が、

外壁・塗装工事だけならリフォーム会社を

通さなくても塗装屋さんに依頼する。

大工工事だけなら工務店や大工さん、

内装工事なら内装屋さん、というのも賢い選択です。

 

リフォーム会社に頼んでも

現実には、

それぞれの分野に

下請けに出される場合がほとんど。

 

リフォーム会社より、

その道の専門家が揃っている会社に

頼んだ方が

マージンの少ない分だけ割安になり、

専門性の高い仕事を

期待できることもあります。

 

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加齢と老後はすぐ目の前

高齢者の約8割が、

身体に不自由をきたした場合、

在宅介護を

希望しているというデータがあります。

 

仮に自分が35歳、子どもが10歳のときに

家を建てたとして、

30年後、自分は65歳、子どもは40歳。

 

子ども部屋はすでに

空き部屋となって物置同然。

自分たちの寝室にはモノばかり増え、

ベッドを置くと狭くなり

在宅介護は難しい、

というのが日本の家のおおよそのかたちです。

 

冬になると

リビングと廊下、トイレ、浴室の温度差が

5~10℃以上もあり、

いつヒートショックで倒れても

おかしくない

温熱環境の家は数千万戸にのぼるはずです。

 

リフォームは予防的改修、

予防的改修は断熱改修を前提に考えます。

 

既存の建物の暑さ寒さは

健康にとっての大きなバリアであり、

結露が出ると

構造躯体の腐朽も進んでしまいます。

 

健康にダメージのある環境や

家の寿命に

負の影響を及ぼす原因を解消することなく、

目に見える部分だけの改修をしても、

将来の不安は解消されません。

 

 

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サポータビリティの発想

私たちの身体は年とともに衰えます。

仕方がありません。

 

終末期はベッドで過ごす時間が長くなります。

その時間が何日なのか

何年なのかは誰も予想はできないのです。

 

だからこそ、介護される本人だけでなく、

介助者の負担も

軽減する予防的改修の視座が必要といえます。

 

年齢や性別、文化や障害、能力を問わず、

誰もが快適に利用することができる

デザインを「ユニバーサルデザイン」といいます。

 

予防的改修は介護される人のためだけに

必要なのではなく、

赤ちゃんからお年寄りまで、

家族の全ての世代が

快適に過ごせるデザインが基本です。

 

ユニバーサルデザインは、3つの方向性で考えます。

一つ目は「動きやすさ=モビリティ(mobility)」

二つ目が「使いやすさ=ユーザビリティ(usuability)」

三つ目が「介護のしやすさ=サポータビリティ(supportaility)」

 

「動きやすさ」は広さ・幅・段差解消を基本に、

動作補助具として手すりの設置など。

 

「使いやすさ」は「自活性」を基本とします。

高齢者でも障害者でも

人手を借りるのではく、ぎりぎりまのところまで

自立生活できることを

基本とした「使いやすさ」です。

 

「介護のしやすさ」の基本は「狭さ」の解消。

4.5帖や6帖で

介護ができないことは、ここで何度もふれました。

 

本来は、新築時にこれらの要件を

クリアしておくと安心ですが、

リフォームの際には、

これら3つのユニバーサルデザインの視点を

持つだけで、

安心できる予防的改修に近づけるはずです。

 

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増築よりも「減築」する

増築という言葉はよく耳にしますが

リフォームには「減築」という

選択肢もあります。

 

子どもたちが独立し、老夫婦2人、

もしくは独居世帯の場合は、

古くなった居室を減築し、日々の生活に必要な

空間だけを断熱改修することも選択肢。

 

新築レベルの温熱環境と先に述べた

ユニバーサルデザインに近づける視点を

持つことが大切なのです。

 

減築は重量が減りますので

耐震性が高まりますし

規模が小さくなるので

若干ではありますが

固定資産税が減る、

メンテナンスや日々の掃除が

楽になるなど

多くのメリットがあります。

 

断熱改修を前提とすれば

光熱費も安くなります。

コストと減築後に得られる

利点を考慮しながら判断したいところです。

 

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QOLを高めるリフォーム

健康寿命という言葉があります。

健康で自立して生活できる年数、

つまり平均寿命から要介護年数を差し引いた

寿命をいいます。

 

生活の質(QOL)を高めることは

要介護年数を

縮めていくことでもあります。

 

仮に、断熱改修を前提とした

減築を選択するとしたら、

健康寿命を伸ばすことにもつながり、

介護の状態になっても

無駄なコストのかからない家となります。

 

決断するには、ある種の潔さが必要です。

老いに比例して

モノが増えていくのは当然ですが、

終末が近づくに連れて、

家の有り様もまた

本当に必要なところを見極め、

無駄な面積は整理する、

という潔さです。

 

設備を増やすと

便利なこともありますが

設備もモノであることに変わりはありません。

 

基本は、

小さな家でも、ゆたかに暮らせること。

 

若いつもりでいても

ひょんなことで膝や腰を痛めただけで

家の不具合=バリアが見えてきた、

という経験をお持ちの方も多いはずです。

 

加齢対応の仕様をそっと

潜ませておくだけで

いざというときにも、身体や気持ちの

弱い部分を

カバーしてくれるのが、

ほんとうの家のかたちといえます。

 

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In summary

車椅子や腰痛、半身不随など考えたくもありませんが

万一、そうした身体状況になった際、

この廊下は移動できるか、トイレは使用できるか、

浴室、玄関、ベッドの設置――などは

どんな動作になっていくかから逆算すると

健常な身体でも使いやすい設計になります。