Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【畳】=控え目で主張しない日本の家具の原点。

  

 

 

 

 

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洋風住宅、洋風の暮らしの普及で【畳】のない家が増えています。硬くもなく、柔らか過ぎることもなく、素足に心地よい【畳】は、足に踏まれてもじっと我慢の、日本の家具の原点でもあります。

 

Contents.

 

好きなときに横になりたい

かつて我が家のLDもフローリングでした。

ダイニングテーブルと4脚の椅子、3人掛けのソファ。

どこにでもあるLDの光景です。

それが新しい家の理想と信じ込んでいました。

 

和室が隣接していて、ふだん、襖は開けっ放し。

畳にじかに横になりたいときには、数歩移動してゴロン。

畳は冷たすぎず、べたつきもせず、ほどよい硬さで、いつも気持ちがいいです。

 

テレビを観ながらゴロンのときはソファですが、ソファでは1時間も座っていると疲れてきます。

 

恥ずかしい話ですが、フローリングは無垢材などではなく、安っぽいものでしたので、床に足をつけているだけで疲れます。

 

人間の身体はよくできていて、重さも正確に感じ取れば、感触にも敏感に反応します。化学物質でできた建材は、足をつけているだけでも疲れてくるから不思議です。

 

そもそも硬すぎるほどのその硬さは、ゴロンと横になる気にさせません。

やはり、人工物特有の硬さ。

ここが無垢や畳、高級絨毯と違うところです。

 

同じ無垢でもナラ、サクラ、アカマツ、スギなどで色合いも風合いも素足の感触も異なりますが、合板の冷たく硬い風合いはいただけません。

 

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フローリングが主流になった現在でこそ、素足に心地よい畳生活の贅沢。イ草の香りはアロマテラピーでもある。

 

 

 

 

 

千畳敷に寝ても一畳の愉悦

晴天が続くと掃除をしたくなります。

窓を開け放って、床掃除やタンスや棚、照明器具などの裏側などのほこりを払って、ついでに冬の間、室内を閉め切って汚れを吸い込んだ畳も…と思いますが、なかなか畳干しとまではいきません。

 

我が家だけではなく、この10年、20年、ご近所でも、畳干しをしている光景を見ることは少なくなってきました。

 

畳は、たためるもの、重ねられるもの、敷物などを意味した言葉で「古事記」(712)にも「菅畳」「皮畳八重」などの記録が残っています。

 

とはいえ、菅畳は、いまのようなワラ床がついたものではなく、敷物を幾重にも折り重ねたものの総称でした。

 

現存する畳でもっとも古いものは、奈良の正倉院で聖武天皇が使用された「御床畳」(ごしょうのたたみ)。

木製の台の上に置かれ寝台として使われ、現在の畳と同じように表にイ草のコモをかぶせて錦の縁をつけ、この台を2つ並べて寝床にしていたとされています。

 

平安時代に入ってからは貴族の邸宅が寝殿造りとなり、板敷の間に座具や寝具などとして畳が所どころに置かれるようになりました。

 

使う人の位によって畳の厚さや縁についての規定もあり、種類によって使う人も決まっていたのです。

時代劇を観ていても、お殿様は一段高いところで畳のような敷物に座り、家来はみんな板の間に座っている光景を目にします。

 

畳が庶民のものとなったのは江戸中期以降のこと。

 「千畳敷に寝ても一畳」

 「畳の上の水練」

といった言葉が生まれたのも庶民の暮らしからだったのでしょう。

 

 

 

 

 

 

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f:id:akadk01:20190618175009j:plain無垢の木と畳香り漂う、居間と和室の連なり。

 

 

 

 

 

居ながらにして森林浴効果

畳の材料であるイ草には、ジヒドロアクチニジオリド・α-シペロン・バニリン・フィトンチッドなどの芳香成分が含まれています。

 

なかでも成分の約20%を占めるフィトンチッドは樹木から放散され、殺菌作用をもつ芳香成分で森林浴のときに爽快さを感じる成分。

 

森のなかで、ああ気持ちがいい、と感じているのは、このフィトンチッドのおかげ。

天然の殺虫成分も含まれています。

 

シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒトを吸着する機能もあり、室内の空気の清浄にも貢献します。

木炭にも同じような効果がありますが、木炭と同様、新しくても古くてもその効果は変わりません。

 

部分的にイ草の効用を楽しめる商品も出回っていますので、アマゾンなどで確認してみてください。

これだと割安で、畳の効果を楽しめます。

 

 

 

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リビングの床と段差をなくし、畳によってエリア分けされた和のコーナー。洋の空間より使い道が自在なことがわかる。

 

 

 

 

 

断熱効果・調湿機能も魅力

北国では自然の断熱材の役割を果たします。

素足でも畳のうえなら、冷たくありません。

 

湿度が高いときなど、無数の気孔から湿気を吸い取り、乾燥時に内部の水分を放出する調質機能があり、高温多湿の日本全国で畳が敷かれてきた大きな理由がそこに見えてきます。

 

これも木炭と同じような機能ですが、昔の民家や寺社建築の床下には木炭が敷かれていたことを考えると、畳との相乗効果を期待した先人たちの工夫が見てとれます。

 

畳干しをして清潔を保ち、表がやけたら裏返しをしてまた使う。

都市部では畳を干す場所もなく、家具も多くなったことから、新築でも畳のない家があったり、古い家でも、年に一度も畳を上げることがなくなってきたのは残念なことです。

 

中央部分がスタイロフォームの畳が大半を占めますが、イ草にはさくさんの効果がありますので、新築やリフォーム時には、100%イ草の畳から検討したいものです。

 

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西洋の空間にもモダンな彩りを放つ畳は世界のインテリアで憧れの的。

 

 

 

 

 

 

フローリングを全面畳敷き

話は戻って、いつでも好きなとき、ゴロンとなるにはどうしたらよいかを家族みんなで考えた結果、リビングもダイニングも全て畳にしてまおうという話になり、実行しました。

 

畳敷き12帖とそれに連なる8帖、6帖の和室というお寺のミニ本堂みたいな和の空間ができあがったのです。

 

ダイニングテーブルは、脚をちょんぎって、座卓。

椅子は物置に片付けてしまいました。

空間はすっきりとし、夢にまで見た、いつでもどこでもゴロンの生活が始まったのです。

 

あれから20年。

 

私もカミさんもともに20歳、年を重ねました。

足腰が痛いというほどではないにしろ、弱ってきたのは確かで、立ったり座ったりが、きつくなってきたのです。

 

子ども時代、洋風の家で育ったわけでもないくせに、椅子やソファが恋しくなってきたのは、まさしく加齢の証拠。

 

日本人とはいえ、終日、畳のうえでの生活が決して快適ではないことを身体全体で感じてきたともいえます。

 

以前、パリに滞在したとき、ホテル近くの学生街では、畳+布団のインテリアが人気でした。

フランス人たちも、実は「洋」だけの暮らしに疲れているのです。

 

アメリカでもヨーロッパでも、以前のように家のなかでも靴の生活は格段に少なくなりました。

 

日本人のように、ソファを背もたれにして床にぺたんと座り、テレビを観たり、ゲームをしている光景をテレビや映画で観たことがあるはずです。

そして、私たち日本人は、畳だけの生活に疲れて、「洋」の暮らしを取り入れてきたのです。

 

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 洗面や脱衣場でも素足に心地よい感触。

 

 

 

 

 

 

畳のスケールは身体サイズ

建築図面は100分の1縮尺。

100倍すれば実際の寸法になるわけですが、○○センチや○○平米と言われても、なかなかイメージが浮かびません。

 

しかし、12畳とか8畳というと、日本人なら誰でも広さのイメージが湧いてくるのは便利です。

こうしたスケール感を持てるのも、畳のお陰。

何畳というだけで広さをイメージできるなんて、日本人しか持てないスケール感覚なのです。

 

家のなかには「座」と「立」のバリエーションがあった方がよいという、そんな単純なことに、いまさらながら気づいたというお話。

 

こと畳に関しては、選択肢として「あったらいいな」という思いは拭えません。

世界に誇る建材を、すぱっと捨ててしまうなんて、もったいない話です。

 

 

 

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障子は開閉自在の曖昧な建具。閉めて家族の気配を感じ取る。

 

まとめ

1.「洋」の間も「和」の間も長く滞在すると疲れるのは同じ。ゴロンと横になれる、だらしなさを許容してくれる「間」がほしい。
 

2.畳が庶民のものとなったのは江戸中期以降のこと。意外と歴史は浅い。
 
3.畳の材料であるイ草には、ジヒドロアクチニジオリド・α-シペロン・バニリン・フィトンチッドなどの芳香成分が含まれている。
 
4.木炭と同じように、ホルムアルデヒド吸着機能、調湿機能もあり、自然の空気清浄器の役割を果たす。

5.「4畳半」「6畳」などで空間をイメージできるスケール感覚は世界でも稀有。家のなかには「座」と「立」のバリエーションがあった方がよい。

 

※過去の記事を大幅に加筆修正し再掲載しています。 

 
 
 

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