Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【通風・換気】=心地よい風が抜ける「家」と風通しのいい「人間関係」。

 

  

 

 

 

 

 

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どんなに空調設備や換気システムが進化しても、窓を開けたときに感じる自然の風の心地よさにはかないません。高断熱・高気密住宅がスタンダードになっても、四季折々の風が感じられる家が素敵です。家を抜ける風、注目のパッシブ換気、風通しのいい人と人との関係まで、風と家と人の小さな話。

 

Contents.

 

窓を開けて感じる四季の空気

 

朝早く起きて、窓を開けて味わう空気は、気持ちのいいものです。

かつての日本家屋は、夏を旨とし、北から南に風が抜け、涼しい間取りが多くありました。

いまは個室ばかりで、風が抜けない構造の家が少なくありません。

 

わが家は真冬でも、朝食前にいったん、あちこちの窓を開けるようにしています。

換気設備のおかげで空気の澱みこそないものの、ただ単に、気持ちがいいから。

朝陽を浴びて、次第に目が覚めてきます。

 

どんなに優れた空調・換気設備があっても、その日によって異なる空気の味や香りが楽しみです。

毎日違う朝の光も、ありがたく思えてきます。

 

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空気の行き止まりを回避する

風通しのいい家にするためには、窓の対面側にも窓があることが前提です。

正面でも対角線上でもいいでしょう。

 

家の中では空気の行き止まりを作らないこと。

生活動線と同じ。

空気も行場をなくすと、澱んでしまうのです。

 

匂いが気になるからと、屋内に芳香剤・消臭剤たくさん置く家が増えています。

 

地方に行くと、自然素材だけでできた古民家なのに、玄関、トイレ、室内…といろんな場所に、芳香剤・消臭剤を置いた化学臭だらけの家もあります。

 

かつての実家もそうでした。

帰省時、私がいる間だけは、母に黙って、みんな蓋を閉めてしまいました。

 

住んでいる人は慣れて何ともないのでしょうが、化学臭の少ない家からそうした家に行くと、途端に気分が悪くなってしまいます。

 

 

 

 

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温度差と気圧差と換気の関係

換気が計画的に機能しない場合は、時折窓を開けて(対角線上にある両方向の窓)空気を入れ替える、浴室やトイレなどの換気扇を常時運転しておく――などでも、汚れた空気の排出、空気の入れ替えに役立ちます。

 

高気密住宅は潜水艦のような息苦しい家。

昔の家は、黙っていても換気されて、健康的だった。

 

いまだに、そう思い込んでいる人が少なくありません。

当たっているようで当たっていない、が答えです。

 

換気は、室内と室外の気圧の差によって行われます。

隙間があると、高い方(正圧)から低い方(負圧)へと空気が流れるわけですが、家が隙間だらけだとしても、風のない日あれば空気が動かず、換気はうまくいきません。

 

換気は温度差によっても行われます。

逆にいえば、これからの季節のように、家の中も屋外もぽかんと暖かい日は、空気が動かず、換気ができない場合が多いのです。

 

つまり風が吹かない日、屋内外の温度差のない日は、換気はあまり期待できないことになります。

家が隙間だらけでも、です。

 

換気を定量的に行うためには、気密性能を高めることが原則。

 

気密性を高めても、潜水艦のような密閉度になるわけではなく、窓を開けたいときは、真冬でも真夏でも開ければそれでいいのです。

 

 

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パッシブ換気も視野に入れる

内外の温度差による空気の浮力を利用した「パッシブ換気」も注目を浴びています。

 

日本の伝統家屋で利用されてきた自然換気と同じ原理ですが、隙間の多かった時代では、定量的かつ計画的な換気は不可能でした。

 

パッシブ換気が、高気密性を前提とするのは他の計画換気と同じ。

基礎断熱の床下へ自然給気をし、そこで暖められた空気を屋内に通すことで機械換気に頼ることのない24時間換気を行います。

 

基本的に、電気がなくとも、空気の温度差だけでで自然に換気されるので、エネルギーセーブになるほか、機械音がないなど、多くのメリットがあります。

 

機械換気に慣れていない日本人は、もったいないからと、換気のスイッチを切ったり消したりしてしまいますので、放っておくだけの利便性も魅力。

 

北海道大学など公的な機関でもデータを示していますので、参考にしてみてください(下図)。

 

 

出典:北海道大学 産学・地域協働推進機構

 出典:北海道大学 産学・地域協働推進機構

 

 

 

 

 

 

 

微気候でも風の流れをつくる

気密性を高め、換気精度を向上させても、家づくりの際には、窓を開けたときを想定した風の流れを計算することが大切です。

 

風通しを良くするには風の入り口と出口をつくることが基本。

家具の配置で風の流れが妨げられないよう気をつけることも大事です。

複雑な間取りは、人の動線も風の動線も妨げてしまいますので、要注意。

 

昔の町屋のように、中庭をつくって上昇気流を応用し、微気候をつくり、庭の風を室内に導く手法もあります。

 

大きな吹き抜けをつくり、上昇気流を利用して1階から風を導き、2階や上部に設けた天窓から排出する方法もあります。

 

風の通りを考えるとおのずと明るく、開放的で、行き止まりの少ない空間に。

風通しのよさをコンセプトにしたデザインは、光の設計にもつながるのです。

 

通風計画

※Aさん宅の通風シミュレーション。敷地の形状、隣家との関係を考慮しながら、四季折々、できれば1日の中での通風を検討することも大切。

 

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風通しのいい人と人との関係

風通しは、英語でいうと「Ventilation」。

この家は風通しがいいというような場合は「This house is well ventilated」などと訳すのでしょうか。

 

風は、家のことだけでなく、人間関係を表す言葉としてもよく使われます。

風通しのいい職場、風通しのいい関係など。

 

この場合は、「Comfortable 」や「Friendly」 とった言葉が充てられます。

 

風通し=快適性、親和性という意味で使われるところが興味深いところ。

外国の言葉ですが、物理的に処理していない表現の奥深さに気づきます。

 

温度差・気圧差のないところに風は立たないことが、少しだけ、おわかりいただけたことと思います。

 

この温度差・気圧差は、人との関係にも応用できそうです。

 

相手が熱いときには、涼しい心で。

冷たくされたら、温かい気持ちで。

 

高圧的な態度でこられたら、腰を低く。

相手の圧が低いときには、元気なプレッシャーをかけてあげる。

 

そんなふうにすると、こちらと相手の間に、きっと、いい風が通ります。

 

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In summary

温度差のないところ、

風圧のないところ、

風の入り口だけで

出口のないところでは

空気は動きません。

昔の家は自然に換気ができていた

という話は勘違いで

昔の家は、風のある日や温度差のあるときは

換気ができ(換気量は風任せ、温度差任せ)、

そうでないときは、汚れた空気を

ため込んだままでしかなかった

というほうが

正確なのかもしれません。

それでも、自然素材で囲まれた暮らしは

現在よりはるかに

有害物質も

少なかったといえますので

健康的な側面は確かにあったかと考えます。