Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【断熱性能】=外断熱、内(充填)断熱、それぞれの長短。

// 断熱というと、日本ではまだ馴染みが薄く、関心も低いまま。国が示す住宅の断熱指標も、先進国のなかでは最低レベルのまま現在に至っています。断熱性能を上げることで夏はより涼しく、冬はより暖かくなるのはもちろん、割安な光熱費で健康的な室内環境を…

【洗濯・乾燥】=室内で洗う、干す───文化と効能。

// 梅雨の時期から猛暑の夏、寒い冬の間、共働きの家族の場合など、外干しが難しい状況に置かれることは少なくありません。部屋干しするにはそれなりのスペースも必要です。でも、エアコンや扇風機などを上手に使えば、快適な洗濯&室内干しができるかもしれ…

【音のデジャビュ=】=家と家族の記憶に刻まれる「音」の物語。

// 風景にデジャビュ=既視感を感じることがあるように、ある音から、突然、遠い記憶が呼び覚まされることがあります。しかし、現代の家のなかで響く音は機械音が増え、人が手間をかけてつくる「音」が少なくなってきました。 Contents. 目を覚ましてくれる…

【キッチン】=「システムキッチン」の「システム」の本当の意味。

// キッチンは主婦の城、と呼ばれたのは昔の話。いまや、家族の数だけ、生活スタイルの数だけキッチンのスタイルがあり、男性も子どもも集うスペースとして大切な空間に変化しつあります。いわゆるシステムキッチンも素敵ですが、自分なりのイメージや作業ス…

【夜と霧】=それでも人生にイエスと言う。

// 読書の際、気になった文章は2Bの鉛筆で線を引きます。すごい話だ、上手な表現だなあと思った部分が多いときには、ページの端を折ります。ですから、書棚にある本は全てボロ雑巾みたいになってしまいます。読み終えると、線を引いたり、端を折ったページ…

【冷房・暖房】=高額な設備機器より、まずは建物の断熱性能を確保する。

// 日本の家庭内で消費されるエネルギー消費は上昇の一途をたどり、上昇率は国際的にも突出しています。冷暖房や給湯に関わるエネルギーは、さほど増加しているわけではないのに、家電製品や照明などのエネルギーが一向に減少する気配を見せていないのです。…

【トイレ掃除】をしても「運気」は上がらないという証拠。

// 神様がいる。掃除をすると運気が上がる。金運、強運、何でも期待できる。トイレ掃除には、なぜか、スピリチュアルな言葉がついてまわります。それだけアンタッチャブルな空間といえるのかもしれません。トイレに関する、けっして汚くはないお話のあれこれ…

家と家族の幻想。

わずかな時間を見つけて向田邦子を読んでいる。昭和4年生まれ。世代が異なる気がしないのは、この人のシナリオによる作品が、子どもの頃からテレビドラマとして身近にあったからだろう。 ノンフィクションから読書の道に入り込んだ自分にとって、シナリオ作…

【部屋の数と空間の数】=家は「LDK」で考えない。「Room=居室」より「Space=空間」という発想。

// 日本の家はこれまで「LDK」に代表されるように居室=Roomを基本に家づくりを考え、Roomの数で家のステイタスを主張してきました。しかし、小間割りにされた居室の数ではなく、大きめの空間=Spaceで家の有り様を想像してみると、縦にも横にもひろがりが生…

【ゲド戦記】=私自身の「影」と向き合うことで「創造」される私。

// 影はしばしば、私たちが願う方向とは逆に作用し、自我との対決を迫ります。その対決は、生死をかけた過酷な戦いとなることもありますが、それが導きとなり得ることは少なくありません。影のないところに光はなく、光のあるところには必ず影があります。そ…

【微気候】=庭から屋内に「涼」を導く「パッシブデザイン」。

// 気候には、大・中・小、そして微気候があります。微気候というと難しく聞こえますが、わかりやすくいうと、庭や樹木、植物などがある地面近くで発生する気候のこと。私たちのごく身近にある小さいけれども確かな気象でもあり、これを利用すると自然で心地…

【家の記憶】=初めてなのに懐かしい、そんな家のたたずまい。

// どこかで会ったような気がする人がいます。どこかで見たような風景、家。思い出そうとしても、なかなか記憶が甦らない。それは既視感=デジャビュかもしれません。曖昧だけれど、どこか懐かしく、温かい。ひょっとして、前世で出合った風景や人なのでしょ…

【個室と孤室】=部屋ごとに仕切るより、ちょっとした「縄張り」がほしい。

// 新築を計画するとき、家族一人ひとりが真っ先に考えるのが、自分の居場所。しかし、私たちは居場所を間仕切りされた個室空間と考えがちですが、個室ばかり並んでは、予算はいくらあっても足りません。私たちがほんとうにほしいのは、個室なのか、家族とい…

【ドアか引き戸か】=家にドアは1つだけでいい。

// 引き戸は日本で生まれた建具。海外の伝統家屋ではほとんど見かけません。ドアの開閉には一定の力と面積が必要になりますが、指1本でも開けることができるのは引き戸ならでは。設置にも少しの幅があればOK。デッドスペースがありません。車椅子の人でも開…

【遺伝子/オキシトシン】=遺伝子がONになる、感謝と祈りと。

// いやなことがあると落ち込みます。いいことがあるとうれしい。よくても、悪くても、私たちは、その折々で置かれている状況だけを見つめて、揺れています。意地をはったり、嫉妬をしたり、恨んだり、怒ったり。分かっていても、やめられない。この問題、苦…

【室内気候】=家は「第三の皮膚」。四季を通じて健康的な温湿度を保つために。

// 家にも衣服にも気候があります。暑い季節は涼しく、冬は少しでも暖かく。住まいは人を守る皮膚であり、衣服であり、シェルター=器としても、多くの機能を求められます。いわば第3の皮膚。寒さから人を守り、健康にダメージを与えない暖かさがほしくなる…

【照明】=日本の家も街も明るすぎる。うつくしい空間は「陰影」の演出から。

// 光にも陰にも階調があります。色合い、光度は一定ではなく、無限のグラデーションの中に無限の美しさが潜んでいます。絵画や写真、文章、そして建築にも【陰翳】の演出は欠かせません。 Contents. 線で形を描くことの難しさ 無意識でも眺めている輪郭 無…

【親の寿命】=あとどのくらいの時間を一緒に過ごせるか───。

// いつまでもあると思うな親と金。分かっているつもりです。しかし、親の命にも私たちの人生にも限りがあります。限界から人生を眺めてみると、私たちのいま、明日は、どんなふうに見えてくるのでしょう。 Contents. 親の命は永遠ではない事実 いろんな視点…

【吹き抜け】=寒くない、暑くない、メンテナンスも容易な大空間を考える。

// 明るくて開放的。いやいや、寒さが心配。掃除やメンテナンスは――など、家づくりの際に、迷ってしまうのが吹き抜けを設けるかどうか。ひと昔前までは、エネルギーの無駄、寒くてしようがないなど、マイナス面ばかりが強調されていましたが、断熱水準が上が…

【アンネの日記】=あと少し背伸びをするだけで手が届きそうだった、彼女の「居場所」。

// アンネという言葉を目にしたり、耳にするだけで、胸が苦しくなり、少しだけ暖かくなります。極限ともいえる恐怖のなかにあってもなお、日記を綴り、言葉の中に、夢を描き続けた少女。彼女のことを思い起こすたび、人間の持つ可能性と、恐ろしさを同時に感…

【省エネ冷房】=電気代を安くする、エアコン連続運転と住宅性能の関係。

// 暑い夏は、まずエアコン。しかし、帰宅してすぐにスイッチを入れても、なぜか涼しくならないのはなぜなのか。24時間、省エネでえ涼しさを得る基本は、まず日射を室内に入れないこと、そして躯体の断熱性の向上、そしてエアコンの連続運転なのです。 Conte…

【家づくりと職人さん】=手わざを守ることは、町を育て、自然を守る循環をつくること。

// 家づくりは、あらゆる職種の専門家たちによる手業の集大成でもあります。どんなに工業化が進もうと、現場での人の目、人の手足による裁量なしでは、寸分の狂いも許されない建築がそもそも成立すらしないのです。 Contents. 大工さんが入る前の職人たち 2…

【家づくり】は「修業」。

A社(工務店)でお話をうかがう。昨年、取材でお会いしたBさんご夫妻と一緒である。あれから検討を重ね、プランを練り、いまは上棟を終え、着々と工事が進んでいる。奥様からうかがった話が、印象に残った。「家づくりって、実は、苦しい作業だったのですね…

【収納】=納める・仕舞う・見せる───「いい・加減」整理。

// 収納。星の数ほどテクニックが紹介されていますが、どんな方法を試しても、なかなか成功しないのはダイエットと同じ。テクニックを学ぼうとするほど「学ぶ」ことが面倒になってしまうのです。私たちは、そんなに我慢強くありません。我が家では、片づけや…

【瞑想】=人生の大切な答えは、目を向けたくないところに隠れている。

// 放っておくと身体も脳も心もずっと動いています。少し落ち着こうと、その場で座って、目を閉じ、呼吸を深くします。でも、わずか3分でも、そうするのが難しいのです。私たちは自分の意志で、短い時間すら、自分をコントロールできなくなりつつあります。…

【長寿遺伝子】=「腹七分目」で起きる奇跡について。

// 日本には古くから「腹八分目」という言葉があります。何事も、ほどほどのほうがいい結果を招く、少食が健康を保つなど、短いその一言に哲学さえ感じます。最近は「腹七分目」が健康だけでなく、長寿のもとになるとの説が相次いで発表されています。 Conte…

【実家の整理】=「捨てるモノ」を選ぶより「捨てたくないモノ」を選んできた。

// 老いた親と実家。この二つにどう向き合うかは、誰にでも避けては通れない課題といえます。いつまでも両親二人で、あるいは一人暮らしをさせておくこともできず、同居もしくは施設入居となれば、実家は即、空き家となってしまいます。空き家を抱えた地域は…

【家庭内事故】=段差だけではない、濃淡・色彩・明暗の「バリア」を見逃さない。

// 視覚障害のある家族のために、動線にLEDを埋め込み、自活性を高めた工夫。 段差の解消はもちろん、「狭さ」というバリアも解消する。明るさの確保もバリアフリーの一つ。 バリアフリーというと段差の解消や手すりの設置などが思い浮かびますが、その人の…

【ぼくを探しに】=自分にぴったりの「かけら」に出会うまで。

「ぼくを探しに」(講談社)という絵本が デスク脇の書棚にある。 いつも、手の届きやすいところに置いてある。 シルヴァスタイン作・倉橋由美子訳。 もう何年も前の誕生日に、娘からプレゼントされた本である。 何かが足りない。 楽しくないと思った「ぼく…

【坪単価】=日本独自の建築コストの迷宮。

// 住宅の広さが延床面積=㎡で示されてもなお、私たちは「坪単価」を建築コストの目安にしてしまいます。しかし、ビルダーや設計者によって、どこからどこまでが標準仕様で、何がオプションなのか、明確な判断基準はありません。「坪単価80万円」を目安にし…