Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【収納】=納める・仕舞う・見せる───「いい・加減」整理。

 

 

 

 

 

 

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収納。星の数ほどテクニックが紹介されていますが、どんな方法を試しても、なかなか成功しないのはダイエットと同じ。テクニックを学ぼうとするほど「学ぶ」ことが面倒になってしまうのです。私たちは、そんなに我慢強くありません。我が家では、片づけや掃除は全て「いい・加減」。プラス100ではなく、プラス1でも進歩だと思うことから始まりです。

 

Contents.

 

 

大掃除も「小掃除」もある

家のなか、部屋のなかを

上手に片づけられない、という人はたくさんいます。

私自身、決して片づけは上手な方ではなく、

片づけられない気持ちが

溜まりに溜まってピークに達したとき、

一気に片づけてしまうタイプです。

 

とはいえ、毎日、仕事前の仕事場の「小掃除」は

欠かしたことはありません。

デスクを拭き、棚を拭き、玄関の土間(レンガ)を拭き、

手すりを拭き、最後にトイレの床、便座、便器を拭きます。

 

掃除には小掃除と大掃除があるのです。

 

こうして小掃除ばかりしていると、

逆に、大掃除のスイッチが、

なかなか入らないので困ります。

 

数カ月に一度の大掃除のときには、身近にこんなに

不要なモノがあったのかと驚いてしまいます。

 

小掃除を繰り返していますので、

そこらの掃除の手間が省けるだけいいかもしれませんが、

大掃除は大掃除なりの覚悟がいります。

 

何度かここに書きましたが、

とりわけ本や資料の片づけが大変。

 

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本棚に入るだけの本に絞る

仕事場のスペース、

本棚の容量には限界がありますので、

定期的な片づけが必要となります。

 

本や資料の山に埋もれ、

それをあたかも自慢のように仕事をする人もいますが、

その折々の仕事に必要なものはほんの一部。

あとの90%は不要であることは間違いありません。

少なくとも、自分はそうです。

 

本でも資料でも、モノでも片づけないと、

新しい仕事も生活にも困難をきたします。

ちなみに、256ページの本を

1冊編むのに、ゲラの枚数は2500枚にもなります。

そのゲラは数年間は保存しますので、

小さな仕事場は資料とゲラの山がいくつもできてしまいます。

 

本棚には、1800冊くらい入りますが、

何年かで溢れてしまいます。

そのときに、必要なものと不要なものを分類し、

不要と判断したものは、

躊躇なくクリーンセンターで捨てます。

 

本は、ページの端が折れ曲がり、

鉛筆の線、赤ペンの線だらけになっていますので、

古本などに売ることができません。

再読を繰り返し、ときにはお風呂でも読むので、

表紙はボロボロ、

本文のところはボワッと膨らんでいます。

 

本棚はいつも満員ですが、

こうした定期的な入れ替えで、溢れかえることもありません。

 

 

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棚に入らないモノは【捨てる】決意。そこに並ぶものだけが、いま、【必要なモノ】。

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10年間一度もふれていない

新築、リフォームの際には、収納が最大の関心事です。

それだけ、家のなかに

モノが多いということでしょうが、

モノを収める場所が隠す場所になってはいないでしょうか。

 

よくこんな質問をします。

 

「この10年、一度も手をふれたことのないモノが、

家のなかに何割ありますか?」

 

半分以上と答える人が多いのですが、

実際には、平均7割といわれています。

 

10年間、収納場所から一度も取り出されなかった、

ふれてもいないモノが、

新築、リフォームの際、収納力をアップさせ、

コストをかけたとしても、

今後10年間で使用頻度が上がるとは考えられません。

モノを再度、

新しい収納場所に隠しておくのがせいぜいです。

 

高齢の方の家におじゃますると、

収納スペースだけでは不足で、空き部屋となった

旧子供部屋まで

モノの置き場と化している光景をよく目にします。

 

不謹慎なことかもしれませんが、

このおじいさん、おばあさんに、もしものことがあったら、

あと片づけをする方々は大変だろうなあと、

人ごとながら心配してしまいます。

 

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階段下は有効な収納空間。ここでもモノを隠すのではなく【仕舞う】という品格をもつ。

 

 

 

 

 

 

収納術の前に決断力をもつ

断捨利に関する本、収納に関する本が売れていますが、

収納の基本の基本は買わない、捨てるに尽きます。

 

捨てるべきか、とっておくべきかと迷ったあげく、

結局散らかしてしまうのなら、無差別的に捨てるのです。

 

そして、むやみに買わない。

買わないことに慣れると、

いまあるモノだけで何となく済んでしまうことに気づきます。

 

冷蔵庫を、ちょっとのぞいてみます。

2年前に買ったラー油やラード、3年前のコチジャン、

オイスターソース、葉っぱが黒くなりかけた白菜やキャベツ、

端っこがだらりと溶けたバターなどはありませんか。

 

キッチン下の食品庫。

5年も使ったことのない鍋や包丁、缶切り、

消費期限の切れた小麦粉や片栗粉、

使いもしない調理酒やみりん、

濃縮2倍のめんつゆなどがあるはずです。

 

食器棚。

思い出のコーヒーカップやワイングラスは、

毎日使っているでしょうか。

捨てられないのなら、安っぽい食器などではなく、

高価なもの、大切なものから毎日使いましょう。

 

通販のカタログは、何冊、そこらに積んでありますか。

きれいな包装紙、いったい、いつ、何に使うのでしょう。

郵便物は、きちんと

専用のボックスにしまってありますか。

住宅会社やクルマのディーラーのDMなど、

どうせまた来るのです。

どんどん、捨てます。

 

5年前の年賀状と今年の年賀状の置き場所が

一緒ではありませんか。

ソファや椅子の周辺に、脱ぎ捨てた衣類はないですか。

 

箪笥。

この2年間、一度も身につけていない下着は、

どれくらいあるでしょう。

すでに変色してしまった下着など、

いますぐ捨てます。

そこの、襟が黄ばんだYシャツもお疲れ様。

 

昔は高価だった服。

息子や娘にあげようと思っても、彼らは絶対に着ることはありません。

 

靴箱、下駄箱。

この3年間、一度も履いたことのない靴には、サヨナラ。

大事な靴があったら、せっせと履きます。

履きつぶすまで、履きます。

 

長い間使っていないモノは、

大事じゃないモノ。

思いきって、捨てることしかありません。

 

収納術とは、魔術でも技術でもなく、決断力です。

 

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場所に応じて、造り付け、可動式などを選択する。造り付けは用を終えれば移動できず不便なことも。

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片づかない人のコスト換算

5年前に、自宅の断熱改修、

その前年に事務所の引っ越しをし、

こんなに狭い我が家、仕事場に、

こんなにたくさんのモノが埋もれていたことに驚きました。

 

前述したことは全て、我が家の実態。

お恥ずかしい限りです。

 

いまの目標は、

リビングにある茶箪笥をなくすこと。

使っていないグラスやカップの宝庫です。

それがなくなったら、

どんなにすっきりするか楽しみでしかたありません。

今後の整理の仕方については、

ミニマリストと称する方々のブログを参考にすることにします。

 

家一軒の収納量は一般に、

総面積の12-15%といわれています。

その量は増えることはあっても、

決して減ることはないでしょう。

 

この1年間でふれたことのあるモノは、

1割に満たない場合もあります。

あふれるモノをみんな一緒に新しい家やリフォームする家に

もっていって、引っ越ししようというのは

無駄な予算がかさむばかりです。

 

「あなたは男性だから、家事がわかっていない」

 

工務店や設計事務所の女性社長さんには何度、

こうしたお叱りを何度受けたかわかりません。

 

しかし、どんな家にも空間、予算に限りがあります。

 

限界がわかっていてもなお、

7割は無駄なものだといわれる収納物を

そのまま収納する造り付け収納やデザインを語ること自体、

おかしなことなのです。

 

仮に、建築費が坪単価80万円として、30坪の家を建てる。

収納面積を15%とると

80万円×30坪×15%で360万円です。

 

あくまで単純計算ですが、

憧れの収納空間に、360万円の投資が見合うかどうか、です。

少なくとも、我が家の収納にある

モノ全てをお金に換算しても、360万円などに及びません。

 

住宅業者にとっては、

徹底的にモノを整理したうえで新築されると、

収納部分の面積が減ってしまい、

建築費が多くとれなくなってしまいます。

 

ハウスメーカーのなかには

「不要なものも何もかも、全部そのままもってきてください」

とばかりのコンセプトで、

商品を開発し販売するところもあります。

 

「みーんな、あなたの持ち物は入ります」

といわれて喜ぶのは早計です。

面積も容積も、収納の棚一枚、床、壁、天井、

全ての費用はサービスなどではなく、

施主が支払うことになります。

 

 

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日常的に必要なものはあえて露出することも、片付けの極意。

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収納スペースを減らすこと

このことを徹底するだけで、建築コストも維持費も減ります。

こんなにいいことはありません。

 

これまで1500軒以上の家を取材してきましたが、

過剰ともいえる収納空間のなかにモノが

整然と納められている光景を見たのは5%もありません。

 

それでもなお、

「年をとるに連れてモノは増えるだろうから」

と現状の2倍の収納スペースを計画する人、

「これまで集めた本やビデオ(いまはDVDなのに)の置き場所を」

と、数百万の費用をかけて半地下を造る人、

大半の料理はチンして済ませる人に限って

「大人3人は立って作業のできる広いキッチンと収納を」

と数百枚の食器を収蔵できる食器棚と

広い空間を希望する人──など、さまざまです。

 

やがて子供たちは独立し、

ずっと一緒に暮らせると思っていた配偶者とも、

私たちは一緒に旅立つことはできません。

 

私たちは、やがて、

必ず一人での暮らしを余儀なくされるのです。

 

家で、一人で生きる。

そのために必要なモノを見極める。

 

そうした覚悟があったなら、

モノとのつきあい方も、

少しは変わってくるのではないでしょうか。

 

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あえて見せる収納。最上段は、下段よりややモノを少なく。

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納める・仕舞う・見せる?

健康的な住宅を希望しながら、

モノに束縛され、整理もできずに日々を暮らすことが、

どんなに不健康な生き方であるかが

理解されていないところに、問題の原点があります。

 

家の主役は「人」。

ほとんど不要ともいえるモノに

主役を奪われている日常は、

ゆたかであるとも、美しいともいえません。

 

あったらいいなと思うものは、

たいてい、なくてもいいものなのです。

 

収納を考える前には

1.日常で使用頻度の高いものを「納める」収納

2.長期保存を前提とした「仕舞う」収納

3.書籍やお気に入りの小物などを「見せる」収納

 

など、まずは3つのカテゴリーに分けて

考えるとアタマのなかが整理されます。

 

収納の素人の私が考案したものではなく、

収納コンサルタントのAさんにうかがったことです。

このお話をうかがったときには、とても感心しました。

 

この3つにしたがい整理していくと、

おのずとモノは上記の3つの収納カテゴリーに分散され、

入りきらないモノとは決別しやすくなります。

 

哀しい別れに思えますが、

大事な人と別れるわけではありません。

ほんとに大事なものは、

私たちの心のなかから、決して消えはしないのです。

 

こうすることだけで、劇的な整理整頓に近付けます。

 

最大の収穫は不用なモノを

整理できることではなく、無益なモノを自らの意志で選別し、

決別したという、生き方を手に入れられることでしょう。

 

 

 

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削ぎ落とし醸される美しさ

空間、光、整頓。これこそが、食べ物や寝床と同時に、人間が生きるために必要としているものである。

 

といったのは名建築家ル・コルビュジエでした。

どんなに美しい建築に

住んでも整理整頓もできない人は、

その建築を生かすことはできませんよ、という意味でもあります。

 

洋服ダンスやクローゼットに入りきらない衣服、

収納や押入の奥に押し込まれた、

十数年もふれたことのないモノたち、

大型冷蔵庫に有り余る賞味期限切れの食品や腐りかけた調味料、

しなびてしまった野菜やパン──それらを捨てる。

 

捨てまくります。

 

ミニマリストでも収納コンサルタントでもない私たちは、

そうすることしかできなかったのです。

思想や技術が先ではありません。

 

無駄を削ぎ落として初めて、

内面から滲み出てくる「美しさ」があります。

そして、ほんとうに美しいもの、

大事なものの多くは、

記憶や思い出であることに気づきます。

 

見えないけれど、

大切なものをたくさん得た人が、ゆたかな人です。

 

 

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まとめ

1.折々の仕事に必要なものはほんの一部。あとの90%は不要。本でも資料でも、モノでも、片づけないと新しい仕事、生活に困難をきたしてしまう。
 
2.本棚は満杯になると、必要なものと不要なものを分類し、不要と判断したものは、躊躇なく捨てる。定期的な入れ替えで、本棚は常に溢れることはない。
 
3.家のなかで、この10年間一度もふれていなモノは「7割」。モノを収める場所が隠す場所になっている。
 
4.「見せる」と「隠す」を使い分ける収納もある。
 
5.収納の基本の基本は買わない、捨てるに尽きる。収納術とは、魔術でも技術でもなく、決断力。
 
6.仮に、建築費が坪単価80万円として、30坪の家を建てる。収納面積を15%とると80万円×30坪×15%で360万円。単純計算だが、その収納空間に360万円の投資が見合うかどうか。
 

7.誰もがやがて、必ず一人での暮らしを余儀なくされる。その家で、一人で生きる。そのために必要なモノを見極める。


8.納める・仕舞う・見せる――のバランスで考えてみる。
 
9.家の主役は「人」。不要ともいえるモノに主役を奪われている日常は、ゆたかであるとも、美しいともいえないことを自覚する。
 
10.あったらいいなと思うものは、たいてい、なくてもいい。
 
11.ほんとに大事なものは、心のなかから、決して消えはしない。
 
12.空間、光、整頓。これこそが、食べ物や寝床と同時に、人間が生きるために必要としているものである(ル・コルビュジエ)。
 
13.見えないけれど、大切なものをたくさん得た人が、本当にゆたかな人生を送れる人かもしれません。