Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【巣立ち】=子どもたちがいなくなったあとの子ども部屋。

 

 

 

 

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子どもたちのためにと夢を抱いて建てたはずの家も、子どもが大きくなるのはあっという間。巣立ったあと、使われなくなった「子ども部屋」はすぐに物置化し、夫婦はそれぞれの生活リズムを持つことで、新築当初とは全く違った機能が住まいに求められます。子どもたちの独立後も無駄にならない空間づくりが必要だったことに気付くのは、そんなときかもしれません。

 

Contents.

 

 

残された広すぎる居間

空間の小間割りはやめましょう。

家はROOMではなくSPACEで。

家族の気配が感じられる空間構成がベスト。

居間は家族のためのパブリック空間。

子ども部屋は可変性を考慮する…

などなど、これまで、いろんなことを書き連ねてきました。

 

振り返ると、果たしてほんとにそうなんだろうかと、書いたあとでいつも自問自答を繰り返します。

 

生活は常時清潔でも整理整頓されるものではなく、ほんとうはだらしのなさだけでできています。

美しい生活、空間も大事ですが、家族のいちばんだらしのない部分を許容してくれるのが、家と家族の役割なのです。

 

我が家の場合、激変したのが居間の機能でした。

いま家族は、私と配偶者だけ。

配偶者は家で私の事務所の経理をしています。

すでに2人の子は独立し、県外暮らし。

40坪弱の家にいるのは、夫婦2人だけなのです。

 

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2階子ども部屋。入り口も固定せず、間仕切りも吊り引き戸として、開閉自在としておけば、子どもの独立後の使い道も自在。

 

 

 

 

 

将来を見越していない

我が家はダイニングをあえて設けませんでしたので、くつろぐときも食事も居間。 

朝食は10分ほどで終わり、すぐに出勤モード。

 

出勤といっても、自宅併設のアトリエに移動するだけなので、徒歩10歩ほど。

妻は2階の自室に移動し、居間には誰もいなくなります。

 

冬は居間の暖房がつけっぱなしですので、もっとも心地よい場所が空になることになります(冬期間は24時間連続暖房で、居間に設置した暖房機1台で2階を含む全館を暖房します。この住宅性能、暖房手法についてはまた別の機会に詳しく書きます)。

 

夜も2人だけの夕食。

 

夕食はゆっくりとりますが、食べ終わってしばらくすると、また互いの部屋に戻り、居間には誰もいなくなってしまいます。

 

誰もいなくなった居間をあとにするとき、なんでこんな空間をつくってしまったんだろうと考えることが多くなってきたのです。

 

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いまならどう使うか。10年後、20年後に使うには――と機能を固定して考えずに可変的な設計を基本とする。by Bliss My HouseIdea

 

 

 

 

 

 

察する文化を育む「間」

日本の家にはいろんな「間」があります。

板の間、土間、床の間.続き間、寝間、客間、居間などですが、居間は文字通り、誰かが「居る」部屋で、誰かとはいうまでもなく家族のことです。

 

昨今は居間といわずに「リビング」ということが多くなりましたが、アメリカを含む英語圏ではおおよそ「living room」といい、イギリスでは「sitting room」ということもあります。

 

これも何度かふれてきましたが、日本人が大好きな「LDK」という言葉もこの間取りの概念も、もともとは団地用の設計概念で、世界に例はありません。

外国人に「あなたの家は何LDK?」と尋ねても通じることはないでしょう。

 

我が家にダイニングを設けなかったことも、そうした枠組みから抜け出しかかったからなのです。

 

伝統的な日本の家では、居間に家族が集い、食事の際はちゃぶ台を設けて食事をし、食事が終れば片付け、お布団を敷いて寝室にするという使い方をしていました。

 

使い回しです。

 
「そんなんじゃ、プライバシーもないし、子どもの自立心も育たない」という声が聴こえてきそうです。

 

が、日本の家族はそうした空間でも、家族の見るべきことはきちんと観察し、見てならぬものは見ぬふりをし、何もない空間に個々人が自在に壁をつくったり、はずたりしながら暮らしてきたのでした。

 

互いの気持ちを察する文化は、こうした日本ならではの家の構造で育まれてきたのではないでしょうか。

 

外国の方々からは、何を考えているのかわからない、思っていることを素直に述べないなどと評されますが、言葉を超えて互いの気持ちを察し、理解し合える文化は世界でも相当に高度なものなのです。

 

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夫婦が互いの寝息が聞こえる程度の距離で互いの部屋を確保。つかず離れずを体現。

 

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子ども部屋は将来、真ん中で間仕切りできるようにあからじめ2つの入り口を確保。 細かく間仕切りした部屋を複数つくるのではなく、大きな空間を必要に応じて間仕切りするほうが無駄がない。

 

 

 

 

 

 

居間に誰もいなくなる

子どもたちが小さなときは、みんなが居間に集まって食事をとり、絵本を読んだり、テレビを観たりするパブリックな空間として機能してきた居間。

しかし、子育ては、あっという間に終了してしまいます。

 

お子さんがまだ家にいるというご家庭も、思春期に入ると、こんな具合に、居間には両親が残るか、誰もいなくなってしまうことも少なくないことでしょう。

 

かといって、居間は不要かといわれればそうではなく、テレビがついていなくても、家族の誰かがそれとなく集まり、さもない会話をしたり、意味もなくだらーんとしている。

そんな場所は必要なのです。

 

家族の間くらいは、おつきあいをする意味を求めることなど意味がありません。

それぞれにぐーたらで、だらしなく過ごせる場がないと、社会生活ですぐに息詰まってしまいます。 

 

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子どもたちはすでに独立。ご主人の退職を機に小さな平屋に建て替え。ダイニングとリビングを「座」の空間とした。

 

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引き戸を2つ設けて、間仕切りを自在にしておく。小間割りしないことで将来の使い道がひろがる。

 

 

 

 

 

加齢後は家族より自分

子どもたちが家を出ていくと、夫婦だけの時間が増えます。

会社を定年退職したばかりのご主人は、奥様にぬれ落ち葉などと揶揄されながら、つらい日々を送ることもありそうです。

 

子どもたちはやがて結婚をし、自分の家庭が最優先になります。

元気な奥さまは、できるだけご主人とともにいる時間を避けようと、カルチャーセンターやお買い物、お友だちとの趣味の時間。

こんな場合、一人残されたご主人にとっての居間も、やはり広すぎるのです。

 

相手が好きとか嫌いとかの話ではありません。

 

いつでもどこでも愛し合い、求め合い、おしゃべりしているご夫婦もいらっしゃるのでしょうが、いざというとき、力を合わせて乗り切ることのできる信頼関係さえあれば、あとはOK ! というのも夫婦なのです。

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あらかじめ最小限のスペースをリビングに充てたものの、空間全体の使い方は自在。機能を固定しないことが狭くても融通の効く空間となる。

 

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居間はテレビが中心に

こうしたDNAを持ちながら、自分たちの暮らしが中心の家のつくりではなく「リビング」や「ダイニング」や「LDK」など、有史以来経験したことのない空間に自分の身体性を、わざわざこちら側から合わせていく暮らしは、根本的なところで何かが歪んでいます。 

 

家族の間をつないでくれた子どもたちが巣立ち、居間に残ったのはテレビです。

居間には誰も「居」ないので「テレビの間」。

 

居間が広い、大きいほうがいいなんてことは、ほんの一時期の幻想、他愛のない若き日の憧れ。

居間もほどほど、家族個々が孤独にならない程度の縄張りも、ほどほどにあるほうが豊かな家になります。

 

こうして考えていくと、使用目的、機能を固定化せずに、曖昧ながらも融通性の高い日本の居間の復権を願わずにはいられません。

 

何より大切なのは、工務店や建築士、家の間取りや構造のあれこれに左右されずに生きる「自分」を確立すること。

 

家はただの器なのです。

 

子どもたちが独立したあとは、夫婦2人だけの家になります。

このことを強く意識します。

 

そして、もう一つ。

 

あまり考えたくはありませんが、夫婦2人の家も必ず、やがては1人の家になります。

そこで生きていくには、何が必要でしょうか。

 

なにもかも、あらかじめ明確に計画することは不可能です。

しかし、人生という時間をある程度俯瞰したプランを家づくりのどこかに潜ませておくだけで、必ず、家と家族の何かが違ってくるはずです。

 

 

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ザックリ・まとめ

大きくない家に、子ども部屋を含む小さな(閉じられた)空間をいくつもつくってしまうと、子どもたちが巣立ったあと、物置化した部屋だけが置き去りにされます。日々使われないことで、家の老朽化がさらに進み、余計なメンテナンスコストもかかってくるはず。子ども部屋は、ほんのいっとき必要になるだけの空間と割り切り、将来、いかようにでも転用できる空間づくりを旨とすべきです。機能を固定しない=可変性が大事なのです。

 

 

 

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