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【二世帯住宅】=互いのストレスを解消する3つのキーワ―ド。

 

 

 

 

 

 

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土地や建築費の高騰、世帯収入の伸び悩みなどで、改めて二世帯住宅が注目されています。しかし、気心の知れた親子の間とはいえ、複数の世代、世帯が一つ屋根の下に暮らすには、多くの困難が待ち受けているのも現実。規格住宅は少なくありませんが、プランに合わせて我慢しながら暮らすのもおかしな話です。世帯の数だけ、家のかたちがああります。あとあとトラブルが少なくなるように、プランニングの前に整理しておきたいことを考えてみました。

 

Contents.

 

親との同居率が高い日本社会

二世帯住宅が増えています。

経済状況はニュースで観るほどいいとは思えませんし、民間企業に勤めるサラリーマン、特に若い世帯の年収は頭打ち。

 

都市部でも地方でも新たに土地を買って新築をすることは難しく、一生、マイホームを持たず、借家やアパート暮らしをしようとする人も増えています。

 

両親と同じ屋根の下で暮らす二世帯住宅は、その中間の選択肢として注目されているのかもしれません。

 

農村部では、いまだに二世帯、三世帯住宅は珍しくなく、同居している家族全員で作業に従事している世帯もたくさんあります。

 

日本の20~34歳の親同居率は50%前後というデータもあり、二世帯でなくとも、日本はもともと親との同居率が高い社会。

 

欧米では子どもが成人すると親と同居しない文化が定着しており、スウェーデンなどでは5%以下という数字を、先日のテレビで聞きました。

アメリカも同様で、10代後半以降の子どもが親と同居している状況は、これまで非常識とさえいわれてきたのです。

 

しかし、そのアメリカでも親と子が同居するケースが増えているという調査結果があり(ピュー研究所)、親と暮らす若者は32.1%に増えていると指摘しています。

 

親との同居率の高いアジア系の住人が数字を押し上げていることが考えられますが、二世帯住宅の増加と若者の親世帯との同居の増加には、経済的な背景を無視できないようです。

 

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二世帯住宅の基本は3タイプ

一緒に住む両親にとっては、自分たちの老後の不安を解消できるというメリットがあります。

若い世帯は、新たに土地を購入して新築するより割安に新居が手に入ります。

二世帯同居は次の3つのスタイルに大別できそうです。

 

①共同プラン

その名の通り、玄関もリビングもキッチン、1階トイレ、浴室まで共同で使うスタイル。一般には1階に両親の寝室、2階に若い世帯の寝室と子ども部屋、トイレというかたちが多いようです。いちばん無駄がなく、建築費も割安なのですが、双方にかなりのストレスがかかることを覚悟しなければなりません。「二世帯同居は失敗」と語る人の多くが、このプランを選択した家族というのが個人的な統計であり、実感です。

②縦割りプラン

家を縦割りし、おのおのに玄関・浴室・キッチンを設けるスタイル。完全分離型でアパートと変わりませんが、互いの生活には干渉しないプランといえます。単純に住宅2軒分となりますので建築費は割高。親世帯が亡くなったあとの利用法まで考慮しておく必要があります。

③横割りプラン

二世帯住宅を1階、2階で横割にして使うスタイル。例えば、1階は両親用のリビングルームと寝室。2階には若い世帯のリビング、キッチン、寝室、子ども部屋。玄関、浴室は共同ですが、共用部分が多いだけに、やはり世帯間のルールをどう決めていくかがカギとなりそうです。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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玄関は共用が一般的。階段が親世帯と子世帯をエリア分けする。ただし、夜間の階段の昇降音が問題になることが多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

互いのストレスで別居の例も

家族によって生活スタイルが異なり、問題も異なるのが現実ですが、大半の不満やトラブルは私たちの想像の範囲を超えるものではありません。

私たちが毎日のように経験するレベルのものばかりなのです。

 

これまでの経験から、思いつくまままとめてみますと以下のようになります。あくまでメモですのでご了承ください。

・お風呂が共有のため、帰宅の遅い家族がいると、入浴時の音だけでなく、階段の昇降の音にまで気を遣う、気になる。

・玄関が1つだと、ドアの開閉にも帰宅の都度、音をたてないように気を遣う、気にかかる。

・キッチンが共有のため、メニューの好みが分かれると、調理する時間帯などで苦労する。

・光熱費や食費、税金の分担などをあらかじめ決めていなかったので、あとになって負担の配分で気まずくなった。

・若い世帯が2階で生活するスタイルと決めたが、小さな子どもが走り回る音や深夜にの洗濯機の音が階下に響いてしまう。

・玄関は共同にしたものの、親の靴の数が多過ぎて、若い世帯が靴を置くスペースが狭い。

・お風呂は共有なので、順番を決めて入らなくてはならないこと自体が家族全員のストレス。

・キッチンは共有なので、きれい好きの姑と共働きのお嫁さんとでは、家事に費やす時間配分が異なり、互いのストレスになる。

・若い世帯の友人を自宅に招くことは、ほとんど不可能。

・週末、深夜までゆっくりテレビを観ていたいが、階下に響くので遠慮してしまう。

・休日でも、親世帯は早く起きて動き回るので、ゆっくりできない。

・郵便ポストが共有なので、全て親世帯にチェックされているようで落ち着かない。

・耳が遠くなってきた親世帯の話す声、テレビの音が2階まで響いてくる。

・親世帯の飼っているペットが2階にも上がってくる。匂いも気になる。

・共有の浴室やトイレの掃除の頻度が互いに異なる。

・あとになって、工事費用や税金などの分担でもめた。

・もともと親の土地に建てた家なので、問題が起きるたび、言いたいことがいえず遠慮してしまう。

・完全分離型にしたが、両親が亡くなったあとの使い方で困った。

・親世帯が孫の教育に頻繁に口を出してくる。

 ――など、並べればきりがないほどです。

建ててしまってから関係がまずくなり、どちらかがアパートを借りて出ていった、若夫婦が離婚に追い込まれたという例も実際にいくつもありました。

 

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キッチン、お風呂、洗面は一階で共用。食事も一緒にとるので、朝夕の挨拶もしやすい。

 

 

 

 

 

 

 

ストレスを事前に予測しよう

もちろん、メリットもたくさんあります。

いちばんは、建築費と光熱費が割安になること、次いで子育てを親世帯と分担できることでしょう。

 

二世帯住宅とはいえ、構造躯体を高断熱・高気密にすることで、間仕切りの少ない空間構成ができ、冷暖房費は×2となることはなく、せいぜい一世帯分プラスαで済みます。

電気や水道などの光熱費も同様のことがいえます。

 

親世帯にとっては、生活に張り合いが生まれて、老化を予防することもできるかもしれません。

 

子どもや孫は、家族という最小単位ですが、人生経験豊富な大人が、両親以外にも生活をともにすることで、学校では学ぶことのできない社会経験や知識を早い時期から吸収できます。

 

 

 

 

 

 

 

自分たちの生活を細かく分析

大人にとってはストレスも少なくないのですが、子どもや孫の世帯にとっては、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に暮らした時間は、生涯の宝物となったという人は少なくありません。

 

二世帯住宅をつくる場合、設計の段階からお互いのルールづくりをしておくことが重要です。

 

光熱費や食費、掃除、料理などの費用と作業の分担はもちろん、日々の暮らしで食事や入浴の時間をどう割振りするか、そもそも一緒に食事をするのか否かなど、決めておきたいルールはたくさんあります。

 

設計プランは、家族の数だけあって、何が正解で、理想の間取りなどは容易に語ることはできません。

 

プランの豊富なメーカー製の住宅を建てると、互いのストレスが少なくなるというわけでもなく、どんなスタイルの二世帯住宅でも問題はつきものと割り切るほかはないのです。

 

 

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五感を駆使してトラブル回避

動線や間取りのあれこれでトラブルを回避できることもありますが、プランづくりの際には、「五感」をキーワードにすると、いろんなシーンが予測できます。

 

具体的な事例を述べることは避けますが、ご自分なりに、以下のキーワードに沿って想像し、メモをまとめてみてください。

 

1.視覚 どの時間に、どんな場面を共有したくないか。 

2.聴覚 どんな音を聴きたくないか。

3.臭覚 どんな匂いを避けたいか。

4.味覚 どんな味覚=料理を避けたいか。

5.触覚 どんなものに触れたくないか。 

 

少々現実味あり過ぎ、生々しいところもあるかもしれませんが、生理的な感覚から考えられる問題を事前に洗い出しておくことで、大切なヒントを得られることは少なくないのです。

 

あくまで個人的な統計ですが、互いの姿(視覚)ではなく「音(聴覚)」と「臭い(臭覚)」が原因でトラブルになるケースが多くを占めます。

 

上記のメモでもふれましたが、1階の親世帯が就寝中に、子世帯が帰宅する、入浴するなど「音」や「振動」は思いのほか、トラブルに発展しがちです。

 

意外かもしれませんが「臭い」の問題も深刻です。

子世帯では嫌いな魚を焼く臭い、介護が始まると、トイレや体臭も気になります。

 

自分の家族と暮らすだけでもストレスだらけなのに、親とはいえ、世代の違う世帯と暮らして、ストレスは増えるのか、減るのかを見極めることは、そんなに簡単なことではありません。

 

抽象的すぎるとお叱りを受けるかもしれませんが、これまで取材でお世話になった二世帯住宅のなかでは、間取りがどうのこうのより、世帯間で思いやりを持って暮らしている住宅だけが記憶に残っています。

 

こういってしまうと、もともこもないのですが、こんな家に住んだら幸福になるといったマニュアルなど存在しないのです。

 

家族はもちろん、誰にだって、やさしく接するしかありません。

やさしくされた相手は、攻撃心を持ち続けることはできません。

 

双方の世帯で「ありがとう」という言葉が飛び交うお宅だけが、幸せそうな二世帯住宅に見えたことを追記しておきます。

 

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まとめ

1.もともと日本は親との同居率が高いことで知られるが、近年はアメリカでも同居率が高まっている。背景には若い世代の経済状況の悪化が考えられる。

 

2.二世帯住宅は共同・縦割り・横割りの3タイプに大別される。予算と生活スタイルから、自分たちがどのタイプに当てはまるるかを親世帯と検討を重ねておく。

 

3.生活スタイル、生活リズムの違いがストレスを生み、問題を大きくすることを事前に共有しておく。

 

4.子どもや孫の世代にとっては、おじいちゃん、おばあちゃんと暮らす時間は社会人としての基礎を学び、親にはないやさしさを学ぶ場ともなる。

 

5.親世帯のどんなところがストレスになり得るかを、自分たちの「五感」から考えてみると、生理的な問題回避につながる。

 

6.姿(視覚)ではなく音(聴覚)と臭い(臭覚)が原因でトラブルになるケースが多くい(個人的な統計)。

 

7.ストレスのないプランなどそもそも存在せず、最後は互いに感謝の気持ちを伝えつづけることができるかどうかで、幸福度が決まる。