Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【子どもと本】=大切なのは「人生は生きるに値する」ことを伝えること。

 

 

 

 

 

 

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地震、水害など、大規模な災害が起きるたび、自分には何ができるだろうかと考えてしまいます。しかし、ボランティア、募金など、すぐに行動を起こせる人ばかりとも限りません。せめて、いちばんの弱者ともいえる子どもたちにできることを考えてみました。

 

Contents.

 

3.11被災地で歓迎された本

東日本大震災から10年以上が経ちました。

その後も、熊本地震、大阪北部地震、能登の地震など大きな災害が起こり、九州北部豪雨や西日本豪雨をはじめ、毎年、各地で水害が発生し、その都度大きな被害が出ています。

 

まだ被災地、ましてや避難所にいる方々は、不安を抱えたまま毎日を過ごされているのではないかと思います。心から、お見舞い申し上げます。

  

災害に関するニュースを聞くたび、すぐにボランティアに参加できるわけでもなく、何百万円も寄付できるわけでもない。

なんて自分の力は小さいのだろうと、自分を責めてしまうことも少なくありません。

 

被災地にはたくさんの物資が届けられ、義援金もやがて届きます。

しかし、物資もお金も消耗品ですので、届いた瞬間から消えていく運命にあります。

 

東日本大震災=3.11のとき、私たちが届けたモノで、被災地、避難所のみなさんにいちばん喜ばれたのは「本」でした。

 

被災地に入ったのは4月1日でしたので、すでに食料品、特にパンなどは余剰気味で、食料以外のものが切に求められていたのでしょう。

 

そのなかに、「本」も入っていたのです。

 

仕事と自宅にある古い雑誌や文庫、子ども向けの絵本などを中心に、約300冊を生活物資とともに運んだのです。

 

雑誌はあれこれ選ぶことなく、古いものでも、クルマにたくさん積みました。

 

雑誌はボロボロになったら、避難所の敷地で燃やすこともできます。

冬は、ちょっとした焚火の原料にもなります。

 

避難所のなかでは、鍋敷きにもなりますし、食事のときには床に食器を置くより、お膳みたいに使えて人気でした。

 

スタッフの方々は「これはありがたい」といって、その他の物資を差し置いて、本の置き場所をつくってくれました。

大人たちは早速、雑誌を手にとり、子どもたちは絵本を取りに来ました。

 

段ボールで作られた簡易本棚は、あっという間に空っぽになりました。

 

 

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赤ちゃんのものが足りない

避難所の方々は、自分たちの水を確保するのも大変なのに、「遠くから来ていただいたのだから」と、カセットコンロで湯を沸かし、インスタントコーヒーを煎れてくれました。

 

ありがとうね、ありがとう。

言葉を交わしながら、その方々に、人の品位を見ました。

 

参考までに、その他のモノで喜ばれたのは、カセットコンロ・ボンベ、女性用生理用品、赤ちゃん用おむつ、赤ちゃんのおしりふき、粉ミルク、大人用おむつ、男女ともに尿漏れパット、うがい薬、目薬、マスクなど。

 

赤ちゃんのおしりふきは、大人でも、汗だらけになった身体を拭けるので要望が多く、避難所では常時、ホコリが舞っているので、目薬がほしいという方が多かった記憶があります。

 

意外だったのは尿漏れパットです。

中年以降の男女ともに、口には出せないものの、潜在的なニーズが高いことを初めて知りました。

 

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生涯消えることのない言葉

非常時には、モノもお金も、電気も水も、ガスも必要です。

水道や電気、ガスなどのライフラインは、復旧して初めて、ありがたみを感じます。

 

そうでなくとも、慎み深い日本人は、あれがほしい、こんなのはイヤだとは、あまり口には出しません。

声高に文句もいわず、静かに耐える姿は、世界中から賞賛を浴びました。

 

内心では「悲しかったでしょう」「つらかったでしょう」という言葉をかけてほしいのに、精一杯の力を振り絞って「がんばるぞ」と自分に言い聞かせている人も多かったでしょう。

 

反面、明日からどうやって生きていくのか、途方に暮れている人もたくさんいるはずです。

 

テレビや新聞、被災地に訪れる人たちは、悲しみや不安に追い打ちをかけるように「元気を出して」「がんばろう」といった言葉で励まします。

 

物資はやがて消費されますが、言葉は静かに人の心の奥底に堆積され、いい言葉も悪い言葉も、消えていくのにかなりの時間を要します。

 

なかには、生涯消えることのない言葉もあります。

 

その後、避難所を7カ所も転々としたというAさん一家は

「がんばろうという言葉が、寝たきりで動けないお年寄りに向かって『寝てばかりいないで働け』とでもいっているかのように聞こえた」

と話してくれたのが忘れられません。

 

励ましてくれる人には、100%悪意がないことがわかっているだけに、行き場のない気持ちを抱えて、つらかったことと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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沈黙と祈りだけで届くもの

言葉が出てこないのなら、黙したまま、身動きできない自分を抱えるほかはありません。

 

余計な言葉で傷つけるより少しはましです。

 

ミャンマーのある指導者は、あの3.11から数日後、「私たちの国は貧しく、物資は届けられないが、詩を送りたい」

と言葉の束を日本の被災地に向けて送ってくれました。

 

静かで力強い詩の朗読は、いまも記憶に残っています。

 

日本とはあまり縁のないクロアチアという国では、ちょうど5000人もの人々が反政府デモの最中でした。

大震災の速報を知ったに5000人もの群衆は、デモの途中にもかかわらず、わざわざ日本大使館の前で足を止め、ロウソクを灯し、全員で長い黙祷を捧げてくれました。

 

前者は言葉、後者は沈黙。

 

被災地では、いまもこのニュースを覚えている方々が多くいます。

 

言葉は、人を傷つけ、絶望の淵に追いやることもあれば、人を支え立ち直らせることもあります。

 

もちろん、言葉だけが役立つとは限りません。

沈黙が人を受け止め、言葉のない祈りの姿が、人の心の奥底に届くこともあるのです。

 

置かれている状況で、求められる言葉は異なります。

言葉を控えることもあるでしょう。

 

沈黙が、無関心であるとは限りません。

相手の悲しみを目の前にして、何もいえずに立ちすくんでしまう。

 

そういう共感の形もあるのだと思います。

 

 

Photos by Sweet Potato..

 

 

 

 

 

 

 

言葉を選んで発することを

いま自分には何か必要で、何が不足しているのか。

そんなことを、教えてくれるのが「本」。

 

自分自身が、その折々に必要な言葉を、自分の力で拾っていけるところも本のよさでしょう。

 

悲しみや不安を言葉にできずにいる子どもたちは、物語の登場人物たちに自分の思いを重ねます。

 

他者からの言葉ではなく、自ら選んだ言葉に自分の魂が癒されることを、子どもたちは知っているのです。

 

100億円の寄付に比べたら、言葉の支援など、微細なものです。

 

動くことができない。

言葉も発せられない。

 

そんなときのために、祈りがあります。

その祈りは、ときに、無力な自分に対する添削となります。

  

 

 

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In summary

情報と物語は似て非なるもの。

ただ、情報は

人が積み重ねてきた歴史や物語が

どうしても

薄まってしまうように感じています。

児童文学者の清水真砂子さんは児童文学の真髄を

「人生は生きるに値する」ことを伝えることと述べています。