Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【住宅設計】=見えない「時間」を場面や空間として描く。そこに「設計」の醍醐味がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

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目に見える「線」で間取りを描くことも一つの方法。さまざまな暮らしの「時間」から「場」を想像し、そこから間取りのキーワードを可視化することも、設計を考えるうえでは大切なことです。

 

Contents.

 

間取り図の概念を壊してみる

住宅設計では、間取りや動線のことが話題になります。

動線は太く、短く。

間取りに関しては、当たり前のようにnLDKで考えてしまう人が大半です。

 

nは部屋数。

そこでは【空間】という概念があるようで、抜け落ちてしまいます。

 

廊下のない大空間を旨とすれば、動線などあってないようなもの。

nLDKも関係なくなります。

そもそも、nLDKはかつての住宅公団の発想で、世界にこんな間取りの例はありません。

 

1階はLDKがひとつながりとなった大空間、2階は開放された可変的な子どもスペースと夫妻の寝室だけ。

こんなふうに考えていくと、仮に50坪もの住宅でも1LDKとなってしまいます。

 

ハウスメーカーのCMに、仕切りのない空間で考えましょう、といった場面がありました。

言い換えれば、日本の家もようやく、原点に還ろうとしているように思えました。

 

私たち素人が考える間取りなど、設計の可能性を狭めるだけ、ということは少なくないのです。

 

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お気入りのコーナーに、お気に入りの椅子と棚、そしてお気に入りの庭。それだけで一つの空間が立ち上がる。

 

 

 

 

 

 

時間のバリエーションを想像

何もかもビジュアルで間取りを考えるのではなく、「時間」で考えるという手法もあります。

 

朝起きてから、夜寝るまでの時間。

平日と休日の時間。

読書の時間、ただぼんやりしている時間。

窓際で過ごす時間。

縁側での時間。

庭での時間。

春と夏と秋と冬の時間。

雨の日と晴天の日と雪の日の時間。

子どもが誕生、成長する時間。

洗濯をする時間。

洗濯物を干す時間。

料理をする時間。片づけをする時間。

子どもが独立し、夫婦が二人だけとなる時間。

 

30代の上記のような時間。

60代の同時間。

老いた親を引き取り、面倒をみることになった時間。

配偶者が先に亡くなり、一人で過ごす時間。

その一人の時間に、時折、介護者が来訪する時間。

笑っている時間。家族の誰かとケンカをしたときの時間。

床に座る時間。ソファに腰掛ける時間。

寒い日の時間。暑い日の時間

などなど、キーワードを思いめぐらせば、いくらでも出てきます。

ランダムでもかまいませんので、書き留めておきます。

 

 

 

 

 

 

 

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窓から注ぐ光と一体となれる午後のひととき。小さな椅子がそこにあるだけで、時間の流れが変わる。by CASA SCHWANCK

 

 

 

 

 

 

 

あらゆる時間をビジュアルに

時間は滞ることなく動いています。

 

あなたがいま、近所のスーパーに買い物に行く。

その帰りに道路で転んでしまい、片方の足を捻挫してしまう。

1時間前とはまったく、時間の性質が違います。

 

家族の誰かとささいなことで口げんか。

けんかをする前までの平穏なリビングの時間は消え去って、凍りつくような冷たい時間がそこにあるはずです。

 

テレビを視る時間とラジオに耳を傾ける時間も違います。

30代と70代とは同じトイレ、浴室、キッチンで過ごす時間、そこに足を踏み入れる回数も異なるのです。

 

時間を想像することは、「場」を想像することでもあります。

間取りを考えているとき、私たちは、案外、間取りそのものよりも、その場その場の時間の有り様を考えているのかもしれません。

 

パズルをするように間取りのあれこれを考えるより、縦軸、横軸、斜め軸、ありとあらゆる時間の有り様と家族個々の心身の動きの組み合わせを想像する。

 

言い換えれば、これらのことを全部包括したような図面など、誰にも描けるはずはありません。

 

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出典: CASA SCHWANCK

春夏秋冬、季節によって置き物を換えることを前提とした棚。そこには「季節」という時間のキーワード。by CASA SCHWANCK

 

 

 

 

 

 

あらゆる時間を妄想で描いて

それでえも、「時間」や「場面」を言葉に置き換えていくと、家づくりの際の希望を可視化できるようになります。

 

「朝の光で気持ち良く目覚めることのできる寝室」

「新聞を読んでいるとき、眩しくない程度の採光」

「仕事から帰ったとき、ゆっくりと息が整う玄関」

「子どもの独立後は配偶者の気配だけ感じる空間」

「冬、介護の状態でもパジャマq枚で過ごせる家」

などなど。

 

妄想する「時間」がいつの間にか「場」の妄想になっています。

妄想で思いついたことを少し並べただけで、ビジュアルが具体的になっていることに気付きます。

 

ここで浮かんできた言葉をメモして「これが私(たち)の願いです」と設計者に渡すのです。

 

設計にあたる人は素人が描いた間取りを渡されるよりは、ずっと想像力を掻き立てられるはず。

きっと、やる気満々となって家づくりに臨んでくれることでしょう。

 

1日の時間、数十年の時間、家族との時間、自然との時間。

できれば、そこに誰もいなくなったときの家の有り様まで考えてみます。

 

そうすると、一瞬一瞬の尊さが見えてきます。

家と人の「生」と「死」への妄想を具現するのが、ほんとうの家づくりです。

 

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出典: CASA SCHWANCK

例えば、目覚めて最初に浴びたいのが、朝の白い光。「目覚め」という「時間」に秘めた場面を立ち上げる。by CASA SCHWANCK

 

ザックリ・まとめ
1日の時間割。
季節の期間割。
家族の時間割。
人生の時間割。
最期の時間割。
いろんな時間軸で場面を考えてみると、
目の前の一瞬一瞬が、宝物のように思えてきます。