Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【片付け・断捨離】=まずは「半径80センチ」以内から始める。

 

 

 

 

 

 

 

どんな本を読んでも、どんな方法をテレビで学んでも、結局、身の回りには捨てられないモノばかり。星の数ほど整理整頓のノウハウはあるのでしょうが、毎回、自分の目標を達成できずに落ち込んでしまうのです。諦めてはなりませんが、大きすぎる目標も問題です。いっそ、迷ったら、古いのは、使えなきゃ、みんなゴミと割り切ったほうがいいのかもしれません。

 

Contents. 

 

「小掃除」ではダメなのか

大掃除と考えるだけで気が滅入ってしまいます。

気の向いたときに「ここだけ」と決めて、さっと掃除。

そんなんでいいのです。

 

勝手に「小掃除」と名づけています。

 

仕事部屋、寝室、リビング、空になった2つの子ども部屋、

たんすやデスクの引き出し、

本棚からも

まるで地底から湧き出るみたいに

これまで捨てられなかったモノが出てくるのです。

 

何度挑戦しても2ページしか読めなかった哲学書、

昔流行した、肩が少し広めのジャケット、

子どもの絵本、郵便物や資料の束、

3回で挫折した通信教育のテキストなどなど。

 

何年つきあってもキスもできない男女のように、

成熟しない関係のままでお別れするモノたちがいます。

 

お世話になった礼を述べ、

さよならしたいのですが、もつれた中年の男女の恋みたいに

簡単に別れられないモノもいるのです。

 

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「捨てられない」でもいい

どうしても捨てられないモノ。

亡くなった父からもらった黒皮の財布や

子どもたちが折り紙に書いてくれた父の日の手紙、

メルボルンで買った羊の模様のセーターやコアラのコースター、

大好きだったジャズ喫茶のマスターが、

自選の曲を30選んでダビングしてくれた古いカセットテープ。

 

それらは水を含んだガーゼのように少し重たく、

過去の時間がきれいな滴となって、

ふれるたびに乾いた気持ちを潤してくれるのです。

 

誰かにはゴミのようなものでも

自分にとっては

宝石のようなモノたちまで捨てることはありません。

 

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「使っているか」が目安に

片付けや収納の基本は「出す・分ける・収める」の三つだと、

何かの本で読んだことがあります。

 

まずはモノを全部出す。

片付け下手の自分と向き合うことからです。

 

次に、使っているモノと使っていないモノに分ける。

「まだ使えるか」ではなく「いま使っているか」が大事なところ。

 

迷ったモノは箱に入れ、

1年後に再確認。

1年間使わなかったモノは捨てます。

迷ったら、ゴミ。

 

そうして整理されたモノを収納に戻す。

きれいな収納術まで習得した人は上級者でしょうが、

いまだこの3ステップを実践するのが精いっぱいの初心者のままです。

 

これまで1500軒以上の家を拝見しましたが、

見た目にも美しい収納術を

実践しているお宅は5軒に満たないくらい。

 

新築の際に夢にまで見た大容量の収納は、

捨てられないモノを「隠す」場所と化しています。

 

システムキッチンには「1年間使わなかった」食器や

賞味期限切れの調味料。

 

ウオークインクローゼットには

20年前のパンツやラクダの下着、若き日に着たワンピースなどが眠ったまま。

 

「いつかやせたとき」は永遠に来ることはなく、

高価な衣服も、

子どもたちがそれを譲り受けることは絶対にありません。

 

そうした消費者心理を逆手にとって、

収納の豊富さを売りにする住宅会社も少なくありません。

 

建築費が坪単価80万円として、

畳2枚の広さの収納に80万円分の価値を有したモノが

そこにあるかどうか。

そうした見極めくらいはしたほうがいいかもしれません。

 

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出す・分ける・収めること

取材や撮影に際しては、まず情報の量を予想し、確保します。

文章を書く際には、

400字であろうが10万字であろうが、

紙幅には必ず

制限がありますので、必ずぴったりに書きます。

 

写真撮影。

広角レンズや魚眼レンズを駆使したところで

360度の画角が得られるわけではありません。

広角なら24ミリ、中望遠なら80ミリ、望遠なら300ミリ

というそれぞれの制限のなかで主題を切り取ります。

 

限られた文字数や誌面、

写真はアスペクト比3対2という画角で、

遠心分離機にかけるがごとく情報を振るい分け、

制限のなかに収めていくのです。

 

「出す・分ける・収める」は、表現の基本。

人生だって、所詮は80年前後という制限のなかで

どんなふうにエネルギーを出し、振り分け、収めていくか、です。

 

 

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モノの整理も「編集」作業

求められるのは引き算です。

 

主題を浮き彫りにし、センテンスは短く、

言葉の重複、無駄な形容詞や修飾語を避けることを

できるだけ意識して、削ります。

 

撮影の際にも枠のなかでテーマが分散していないか、

余計なものが写り込んではいないか、

主題にピンがきているかなどなど。

 

編集という言葉は古代中国の文書が、

竹を短冊形に削った竹簡に書かれたことに由来します。

 

簡がバラバラにならないように

ひもで編むことが「編集」であり、

編まれた書を巻物にして「一巻」、ひもで束ねたものを「一冊」

と呼んだのです。

 

自分もそろそろ、人生の再編集を始めなくてはならない時期。

納得できる「一巻」「一冊」に仕上げるためには

「小掃除」では間に合わず、今度こそ大掃除が必要です。

 

「迷ったらごみ、古いのはごみ、使えなきゃごみ」

呪文のようにブツブツ唱えてみます。

 

視線を感じて振り向くと、配偶者がこちらをにらんでいました。

 

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まずは「半分」だけ減らす

そうはいうものの、やっぱり整理は面倒だし

片付かは苦手。

そんなにきれいにできるはずがない。

それが本音。

全部やろうとすると、ゲンナリ気分になるのは当然です。

だったら、ここから始めてはどうでしょう。

 

①「手が届くところ」だけ、1カ所。半径80センチ以内を見渡す。

→ ペン立て、抽斗一つだけ、デスクの上だけ整理と割り切っていい。

 

②もう少し余裕があったら「いま、この瞬間、目に入ったところ」だけ、1カ所。

ペンの高さだけ揃える、本の高さを揃える、資料のサイズだけ揃えるだけと割り切る。

 

③さらに余裕が出てきたら「でも、1時間だけ」と割り切る。

調子が出てくると、はあはあいいながらも、気付いたら何時間も片付けをして、それで疲れてしまい、その後また何年もほったらかし、というのが、これまでのサイクル。

今日は絶対、1時間だけと決める。そうすると、心の底ではもっと整理したくてウズウズしてきますので、そのウズウズの小さな炎を保っておきます。

 

こうすることだけで、少なくともピッカピカにはならないまでも、それまでのうんざりするような汚い空間との決別が始まります。

180度、人生が変わるような出来事は、かえって劇薬となることが少なくありません。

360度、ぐるっと一周回って、元の自分。

でも、見える景色が少し変わった気がするくらいが、ちょうといい気がします。

 

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まとめ

1.大掃除ではなく「小掃除」で割り切る。

2.「捨てられない」モノがあってもいい。

3.「まだ使えるか」で判断をしないこと。

4.出す・分ける・収める、で考えてみる。

5.引き算で考えると生活の主題が見える。

6.そのモノを残してワクワクしますか?

7.まずは「手の届くところ」から始める。