Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

ベッドのための、おすすめプロポーション考。

  

 

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高齢化社会のなかでは「ベッド」一択

ベッド派か布団派かと問われれば、布団派。

といっても、好きで布団に寝ているわけではなく、ベッド2台を設置する部屋が我が家にはないという理由からです。

 

ベッドは嫌いではありません。

出張先のホテルでは、ベッドの上で本を読んだり、テレビを観たり、そのまま寝てしまったりと、とても自由な過ごし方をします。ただ、シングルでは部屋にもベッドにも狭さを感じてしまうので、最低でもダブルかツインの部屋をとることになります。

 

ベッドの問題は、前述の設置スペースと値段です。

ベッドほど善し悪しが寝心地に影響するものはなく、いいものを求めるとおのずとお値段もはるというのが常識です。

ドイツ・ヒュルスタ製のベッドなど、いいなあと思うと100万円。もっとも20年はかるくもちますので、100万円÷20年÷365日=136円/日ですのでけっして高いものとはいえません。

 

ホテルのベッドでも高級ホテルでは寝心地のよいものが多いのですが、安ホテルでは腰の部分がへこんで、寝返りをうつのもしんどいベッドもあります。

柔らかければいいというわけでもなく、理想の寝心地は畳の上に布団を敷いたような感じとでもいうのでしょうか。

 

パリの学生街では、畳に布団で寝るのが流行でした。

一度、畳+布団の寝心地にはまった人は、なかなかベッドに馴染めないという話をあちこちで聞きました。確かに、硬くても硬いだけではない畳の質感は、絨毯などより優れています。

 

 

ベッドか布団かで、部屋の用途、広さが変わってきます。

布団派の人には少々空間が狭くても、布団を片づけてしまえば、その部屋は昼間、別の空間として使用できます。

が、ベッド派の人、特にシングル2つが必要なご夫婦には、それなりの広さと機能が求められます。

 

シングル2台の場合は6畳でもぎりぎり、8畳でも余裕が感じられないため、10畳以上が基本。少なくとも、そこには来客はもちろん、子どもたちも自由に出入りできないある種の「聖域」です。

 

しかし、日本でも洋式トイレが市民権を得たように、ベッドが日本の寝室でのスタンダードになる日も遠くはないと思われます。

 

理由の一つが高齢化社会です。

布団派の私自身もそうですが、この頃は布団に入る動作、起きあがる動作、たたんで押入にしまう動作がしんどくなっています。

 

風邪やぎっくり腰なんかで横になるのは、何といってもベッドが便利で楽なのです。

 

これが介護ともなると、ケアする人にとっても、ケアされる人にとってもベッドしか選択肢はないといってもいい過ぎではありません。

 

誰しもやがて年をとるのですから、いまは布団派でも、やがてはこうした現実が訪れることを視野に入れて寝室の計画をするほうがいいわけです。

と、考えていくと「お年寄りの部屋は和室」と決め込んでしまうのは、ちょっと早計であることがおわかりになるでしょう。

 

ベッドは「寝る」以外の動作までも許容してくれます。

布団を敷いてしまうと、もう寝るしかないわけですが、ベッドのうえでは、食事をしたって、ティータイムを楽しんだっていいのです。

そうした意味では「寝なくてよい寝具」としてのベッドは、それを設置する場所と予算さえあれば、オススメということになります。

 

 

 

 

 

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高齢者の住宅の場合は、いつでも間仕切りができるような自在性のある寝室が介護の際にも便利。


 

 四畳半や6畳など既存サイズから脱却する

このブログでは「狭さこそがバリア」と何度も述べてきました。

大切なのは、大きな家にするのではなく、個々の部屋、出入口などを広げるという発想です。

 

プロポーションの問題ですが、6畳は1間半×2間、4畳半は1間半×1間半、8畳は2間×2間という現在のプロポーションにこだわらず、中間のサイズを取り入れる発想も必要です。

 

現在、畳の大きさや障子の桟など、いわゆる和風空間を構成するさまざまな要素はすべて尺貫法に基づいており、それぞれが関連し合って和室のプロポーションが決まっています。

 

が、そこにベッドやテレビといった大型家電や家具などを入れると途端に狭さを感じます。

自活も介護も可能にするには、動作領域に直接関わる各部屋のスペースを広げることが基本なのです。

 

 

だいたい、「徒然草」の時代でもモノが多過ぎる部屋は問題だと兼好さんから指摘されていたのに、現在の住宅はあの時代の数十倍のモノにあふれているにもかかわらず、数百年前の4畳半、6畳といったプロポーションだけがいまも一人歩きしているのです。

 

単に6畳が狭いから8畳にというのではなく、箪笥やベッドを置いても通路や介護スペースが確保できる、箪笥を開けて中のものを取り出せるようにスペースをとることなどが大切です。

尺貫法の単位は、もっと融通性があるはずです。

 

在宅介護の際には、布団でもベッドでも三方介護(左右と足元に人が立って作業ができる)が基本。

介護される人の起居動作と介護者の負担の軽減から考えるとベッドの方が適していますが、4畳半にベッドを置くと三方介護はできません。

 

幅1メートル、長さ2メートルの標準型のベッドで三方介護するには、部屋の一辺が3メートル以上必要ですので、6畳でも無理であることがわかります。

 

このような場合、4畳半で狭ければ6畳に、6畳で狭ければ8畳にという発想をしがちですが、だからといって部屋を8畳以上にすることは土地、資金面の制約があるときなど現実的ではありません。

 

そこで提案したいのが中間サイズです。

ベッドを入れても三方介護が可能なように、従来の4畳半の一辺を45センチ広くした「新4畳半」や同じく6畳の短辺を45センチ広げた「新6畳」という中間サイズの間取りです。

 

 

この間取りですと三方介護も可能となり、高齢期を迎える人の寝室に適用すれば、家族にとっても介護に対する安心感が増幅されます。

 

不便さを感じるたびにリフォームを繰り返すよりも、最初からこうした備えを組み込んでおく方が結局はコストも割安になり、価値の高い先行投資となります。

新築・リフォーム時の重要ポイントです。

 

北海道の公営住宅では在宅介護に配慮し、全国で初めて「新6畳」サイズを採用しています。

公営住宅だからこそ、世代や障害の有無を問わず、安心して住めるようにとの配慮です。

車椅子の生活でも下辺間仕切り等の簡単な改修で住み続けることができる可変性にも優れています。

すでに1万戸以上の道内の公営住宅が供給され、各市町村営住宅も同様のサイズを採用しているのは、高齢化社会では歓迎すべきことです。

 

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四畳半の2辺に45センチをプラスすることで三方介護が可能となり、6畳や8畳よりもコストもかからないで済む。

 

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新4畳半サイズ

 

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新6畳サイズ

 

 

 

www.ienotomo.com

 

 

 

 ※参照 「21世紀型住宅の常識」(米木英雄 雲母書房)/「家の教室」03(リヴァープレス社)

 

まとめ

 1.ベッド派も布団派もベッドを前提とした寝室の面積を確保する。シングル2台の場合は6畳でもぎりぎり、8畳でも余裕が感じられないため、10畳以上が基本となる。


2.在宅介護を前提にして考えると、4畳半、6畳では介助作業が困難なため、現実的とはいえない。介助者が同室で寝起きすることも難しく、寝室としての選択肢からはずれることになる。
 
3.ベッドを入れても三方介護が可能なように、従来の4畳半の一辺を45センチ広くした「新4畳半」や同じく6畳の短辺を45センチ広げた「新6畳」という中間サイズを検討する。8畳、10畳を確保するより現実的で割安な選択肢。

 

4.ただし、3.の場合は1人用のベッドを前提とした広さで、寝息の聴こえる程度の距離に介助者の寝室があると理想的。あらかじめ10畳前後を確保しておき、屏風やパーテーションを仕切りにして同室で就寝するという方法もある

四六時中、介護をしていると連れてしまうので、ベッドの人が眠ったときくらいは、視線からはずして、自分だけの時間を得るようにする。いずれにしても「狭さ」をバリアとしない。

 

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おすすめ図書

 日本の住宅が欧米から「ウサギ小屋」と評された時代がありました。住宅の大きさは欧米とそんなに変わらないのですが、彼らの発想からは3畳や4畳半といった居室概念が理解できなかったに違いありません。

 

 

 

当時と比べると、住宅そのものの大きさはさほど変わっていませんが、空間の小間割りが少なくなり、大空間を中心とした間取り構成に近付いている印象を受けます。

ただ、マンションなどの集合住宅は、いまだに3.7畳、2.5畳という意味不明な単位の部屋があり、日本人の部屋数信仰の強さを裏付けています。

小さな家というと、コルビュジェが母親のためにスイス・レマン湖のほとりに建てた小住宅が思い浮かびます。

 



  

 

 

   

 

優れた建築家は例外なく、小さな家にどれだけの機能を詰め込むかに取り組みました。

換言すれば、吟味された小さな住宅ほど、プロと生活者の知恵が詰まった住宅ともいえます。

 

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