子どもの頃、大黒柱の周りをぐるぐる回って遊んだことがあります。目が回ったら反対に回る、そんな単純な遊びですが、どうやら回ることだけにでもパワーを生み出す秘密がありそうです。
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左脳と右脳のどっちを鍛えるか
本でもテレビでも、脳トレやクイズが人気です。
脳を活性化させてボケないように、いつまで元気でというのが目的なのでしょうが、その脳にはご存じの通り、右脳と左脳とがあります。
人間も2つのタイプに分けると、右脳型と左脳型に分かれるそうで、右脳が発達している人には芸術家肌の人が多く、左脳型の人は理論家で分析力に秀でた人が多いといわれています。
どっちを開発したいかで訓練の方法も違うようですが、自分のように欲張りな人間は、どっちの脳もトレーニングしたいので、結局、いつまでたっても中途半端な脳力しか保てません。
右手を開くと左脳(左側頭部)が開き、左手を開くと右脳(右側頭部)が開きます。
これを交互に行う運動をすると気の巡りがよくなって、頭痛や肩こりもとれるんだよと、ある高齢者施設の方から聞いたことがあります。
その場ですぐにしてみたら、確かに、すっきりとします。
身体の動きは即、脳にも影響するのでしょう。
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ヨーガの呼吸でバランスをとる
以前習っていたヨーガでも、スカ・プールバカという呼吸法があります。
片方の鼻から交互に呼吸をするもので「イダー(左の鼻の呼吸の流れ)」と「ピンガラー(右の鼻の呼吸の流れ)」の二極のバランスがとれたとき、身体の奥に眠るエネルギーが目覚めるというものです。
左呼吸は右脳を刺激して気を鎮め、右呼吸は左脳を刺激して陽気になる。
どちらに傾き過ぎてもよくないので両鼻を平等に使い、心身のバランスをとります。
この呼吸のあとは視界がぱっとひろがり、それまで何か詰まっていたような背骨に空洞ができて、そこに涼しい風が通るような気になるから不思議です。
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右回りにするとパワーが出る?
脳の話からちょっと離れますが、今度は左右の回転の話です。
最近、見かけるようになった回遊型の間取り。
キッチンをアイランド型にしたり、階段を中心にリビング、キッチン、洗面所・トイレなどをぐるりと回れるようにした間取りのことです。
行き止まりがなくなり、後戻りをすることがないので生活動線としても便利です。
家事をするのにもスームスで、何より、右回り、左回りとどちらも選ぶことができますので移動に飽きません。
あるお宅を取材したときのことです。
そのお宅も階段を中心とした回遊型のデザインで、どっちからでも回れるような動線になっています。
「私は努めて、右回りをするようにしています」
と奥さまが話します。
「左回りより、右回りのほうがパワーが出る」
というのです。
へえ、ほお、はあ…とお話をうかがっていますと、ちゃんとした理屈があるようです。
宇宙の渦巻きも、ほとんどの生物も、右巻きにできている。
貝の渦巻き、昆虫などのアンテナの構造、ひいては、あの江戸城も「の」の字型の右巻きに堀が巡らされ、その右巻きが発するエネルギーを計算し、皇居も設計されているのだとのお話。
なるほどと感心してばかりでした。
スイス・レマン湖畔にある、名建築家ル・コルビュジェによる「小さな家」。高さ2.5m、奥行き4mの縦に細長い家。両親のために建てたといわれている。行き止まりがなく、どこに移動するにも、そのときの気分によって左右どちら回りでも選択できる。
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宇宙の創造物はほとんど右巻き
そういえば、中学校のときに「右ねじの法則」を習ったことがありました。
電気も「気」の一種ですから、右回りでエネルギーを発することに気づきます。
子どもの頭を撫でるときにも、右回り。
身体のどこかに痛みがあるときにも、左回りでさする人はあまりいません。
調理のときにかき混ぜるのもだいたい右回り。
原子核の周りを回る電子も、太陽(恒星)を中心に回っている地球をはじめとする惑星も、右回りです。
「あ」「お」「め」「ぬ」──など、ひらがなの8割以上は右回りに書きますし、「右回りに回転することが、人間にとっても自然なことです」と奥様はいうのでした。
家のなかでも、外を歩いていても、意識して右回りに回るだけでパワーが湧いてくるのだったら、こんなに簡単なことはありません。
このことだけで回遊型のデザインを、あっちこっちにつくったっていいくらいです。
この話を聞いて以来、どこにいても、努めて右回りすることにしているのはいうまでもありません。
パワーが湧いてくるかどうかはわかりませんが、確かに、自然な回り方であることは確かなように思えてきます。
これが科学的な確証に基づくことなら「右回転型生体活性化住宅」なんてブランドで規格住宅を売り出せるかもしれません。
ダイニングテーブルを中心に、左右どちらでも通行できるようにしておく。右回り、左回り、と移動にも幅が出る。
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1.右手を開くと左脳(左側頭部)が開き、左手を開くと右脳(右側頭部)が開く。これを交互に行う運動をすると気の巡りがよくなる。
2.ヨーガの片鼻呼吸をすると、身体の奥に眠るエネルギーが目覚める。
3.宇宙の渦巻きも、ほとんどの生物も右巻きにできている。同じ回るなら右回りをしたほうがパワーが出る?
4.住宅の空間づくりは行き止まりをつくらず、どこかで左右どちらにも回遊できるようにするのが理想。結局は、回遊型で、意識して右回りにするとよさそう、という結論。