建て替えか、リフォームか、
リノベーションか。
古くなった自宅をどうするか迷う人は少なくありません。
数十万円単位のリフォームを
30年間繰り返し、振り返ると2000万円以上を費やし
結果として建て替え。
新築費用としてさらに3500万円、という人がいました。
見えない部分=構造体の改修をせず、
目に見える部分だけのリフォームを繰り返すことは
化粧直しを繰り返すことと同じです。
より広く、きれいに、便利に…という欲望はいつも、
蘆花の、この言葉に叩き潰されてしまいます。
ソローの小屋、コルビジェの「小さな家」、清家清の10×5メートルの自宅。
住みこなす意志と確固たる宇宙観に基づくものでした。
家や庭の広さなどは、二の次、三の次になるのですが、人の欲望はそんな甘っちょろいものではないことも、知っています。
家は十坪に過ぎず、庭は唯三坪。
誰か云ふ、狭くして且(かつ)陋(ろう)なりと。
家陋なりと雖(いへ)ども、
膝を容る可(べ)く、
庭狭きも碧空(へきくう)仰ぐ可く、
歩して永遠を思ふに足る。
──『自然と人生』徳富蘆花
※陋…場所が狭いこと。また、心・見識が狭いこと。