Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【ムーミン谷の冬】=誰かを支えるためのやさしさについて。

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ムーミンがいちばん苦手なことは「ひとりぼっち」。やさしいパパやママ、仲間たちと一緒に、ムーミンはいつも冒険を楽しみます。フィンランドの国民的作家であり画家でもあるトーベ・ヤンソンが、私たちに伝えたかったこととは。

 

Contents.

 

トロールの伝説をもとに誕生

トーヴェ・ヤンソンは1914年フィンランド生まれ。

彫刻家の父と画家の母の元で早くから絵本作家や画家として活躍しました。

 

北欧の森には「トロール」という生き物が住んでいるという民話があり、この話から、ムーミントロールというキャラクターを作り出したといわれています。

 

ムーミンシリーズ9作目のなかで、冬のムーミン谷を描いているのは「ムーミン谷の冬」だけです。

 

まっ白な雪にとざされたムーミン谷。松葉をたっぷり食べて、ムーミンパパとムーミンママといっしょに冬眠にはいったのに、なぜかたった一人、眠りからさめてしまったムーミントロール。パパもママも起きてくれない。時計までとまっている……。はじめて見る雪の世界で、ムーミントロールにさまざまな出逢いがあります。自分のしっぽが世界一すばらしいと思っているりすや、いつでも元気なちびのミイ、そして、ムーミントロールのご先祖さまや、水小屋に住んでいるおしゃまさん……。

 

冬眠から目覚めて出会うこと

お日さまがいなくなってしまった寒くて長い冬。

雪に埋もれたムーミン谷は、青白い月の光に照らされて、冬眠中。

 

でも、いるんです。

冬には冬の生きものが…。

 

一人だけ目覚めてしまったムーミンは戸惑い、周りを拒否してばかり。

けれどたくさんの出会いから学び、自分一人だけでの成長を遂げます。

 

自分のあたたかい鼻の上に、つぎつぎに雪がのっかっては、とけていきます。かれは、それを手でつかまえて、しばらくのあいだ、うっとりと見とれました。それから空を見あげて、それがかぞえきれないほどたくさん、わた毛よりもやわらかく、ふわりふわりと、おちてくるのをながめていました。(雪って、こういうふうにふってくるものか。ぼくは、下からはえてくるんだと思っていたけどなあ。)ムーミントロールはほんとにそう思っていたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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いろんなものをもちすぎてる

トゥーティッキは、しましまのシャツにズボン、金髪のぼさぼさ頭にポンポンつきの帽子の、男の子に見えるけれど、ほんとは気のいい、おしゃまな女の子。

 

ムーミン一家は基本的に冬には冬眠して過ごすのですが、トゥーティッキは冬眠をせず、ムーミン家の水あび小屋で暮らしています。

 

何らかの理由で冬に起きてしまったムーミンには、トゥーティッキが信頼できる話し相手であり、人生の案内役。

 

この物語では、トゥーティッキの言葉がとりわけ光を放っています。

言葉までも冷静に、命の循環を考えていたのでしょう。

トゥーティッキは、こんなことも、さらっといってのけます。

 

「あんたたちはいったい。

あんまりいろんなものをもちすぎてるのよ。

思い出の中のものや、ゆめで見るものまでさ」

 

「どんなことでも、

自分で見つけださなきゃいけないものよ。

そうして自分ひとりで、それを乗りこえるんだわ」

 

ムーミン谷の冬の静けさが、活字の余白からも感じられ、だからこそ、登場人物の言葉が際立ちます。

 

きびしい冬を乗り越え、新しい世界を知ったムーミンは、冬眠から目覚めたママに、この冬に学んだことを報告します。

 

自分の足で立つことを知ったムーミンママは、どんなにかうれしかったことでしょう。

 

 

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In summary

 

 

どんなことでも、自分で見つけださなきゃいけないものよ──。初めて経験する冬に不安になるムーミンに、トゥーティッキがかけた言葉です。ムーミンは、その後、冬の住民たちとの交流を重ねることで不安を乗り越えていきます。トゥーティッキは現実的で、どんな問題が起きても、冷静に解決するのです。手先も器用で、腰に下げた工作用の万能ナイフで料理も工作もこなします。冬眠はしないので、冬にだけ姿を見せる生き物たちもたくさん知っているようです。春、 口笛で吹き、手まわしオルガンを弾いて、春を告げてまわるのもトゥーティッキ。余計な手出しはせず「大切なことは自分自身の経験を通して学ぶもの」とムーミンを見守り、支えようとする彼女のやさしさに、胸が温かくなります。絵本からも、テレビの番組からも感じるのは、静かさではなく静謐さ。その静謐さは、なにごとも「すぎない」ことで体現されてことが多いように思うのです。