Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【電子レンジ】はありません。

 

 

 

 

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主婦の城ともいわれてきたキッチン。そのキッチンでの家事労働は急速に簡略化され、システムキッチンの役割、機能自体が形骸化しつつあります。食事をつくることは、家族の健康を考え、生命を支えること。食とキッチンの原点とは。

 

Contents.

 

レンジの熱にはなじめない

わが家には電子レンジがありません。

 

子どもたちが小さな頃から、家族みんな、ラップやコンビニの弁当の器が「どうして溶けたり、焼けたりしないんだろう」と不思議に思っています。

 

なぜ温まるのか、その仕組みが、いまもわからないままです。

 

出張先などでコンビニ弁当を買って、その場でチンしてもらうことがあります。

しかし、あの不自然な熱さには、どうもなじめません。

スーパーの総菜コーナーで作っている弁当を、冷えたまま食べたほうがまだマシな気がします。

 

外食の際なども、電子レンジで温めた料理や飲み物はすぐにわかります。

子どもたちはすっかり外食を嫌うようになりました。

 

 

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天然乾燥と人工乾燥の違い

製材所を取材した際にうかがった話が頭から離れず、このことが電子レンジを使わない理由の一つになっています。

 

住宅建築には乾燥した木材を使用するのが原則ですが、理想の含水率は15―20%。

親しくしている工務店では「天然乾燥」にこだわっていますが、含水率17―20%以下の木材しか使いません。

 

ちなみに、生木は50~200%ですが、こんな木を使うと乾燥が進むに連れて狂ったり、割れたりします。

構造材に使うと、家全体が、常に動いてしまうので危険です。

 

昨今は国内の林業自体が衰退の一途をたどり、人手の少ない製材現場では、伐採した木材に乾燥する時間を費やす余力がなく、輸入材を使うか、人工乾燥が主流になっているのです。

 

人工乾燥にはいくつかの方法があり、乾燥庫内を高温にして木材の水分を抜く高温式や高周波式などが多くを占めます。

 

乾燥庫の温度を45℃前後の低温で乾燥する低温除湿式を採用している製材所もありますが、残念ながら取材した経験がありません。

 

話をうかがった製材所では、

「電子レンジのような乾燥の仕方では、木材の細胞が傷んでしまい、木材本来の生命力が失われてしまう」

という理由で天然乾燥を徹底しているのです。

 

同じ括りにすることはできないでしょうが、牛乳も主流を占める高温殺菌より低温殺菌のほうが味も風味も栄養化も高いとされます。

 

成分は残ったとしても、細胞が壊れ、生命力は――と考えると、電子レンジでチンすることの根本的な意味が揺らいできます。

 

成分だけで生きられるのなら、点滴やサプリだけで生きられるはず。

でも、人間も動物も、そのようにはできてはいません。

 

 

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電化製品ありきのキッチン

昨今のキッチンを見ていますと、必ずといっていいほど電子レンジの置き場が確保されています。

食洗器やオーブンのスペースをとることもすでにスタンダード。

 

電子レンジはもちろん、電気炊飯器、電気ポット、コーヒーメーカー、大型の冷蔵庫や小ぎれいな収納棚などなど、料理そのものではなく、電化製品や収納スペースを確保することを前提としているのはもはや仕方がないかもしれません。

 

少なくとも、わが家には電子レンジはもちろん、食洗器も大型冷蔵庫もないのですから、そうしたキッチンは過剰設備になります。

 

24時間開いているコンビニやスーパーがあって、なぜ、大型冷蔵が必要なのでしょうか。

アメリカやオーストラリアみたいに、いちばん近いスーパーまで100キロ以上もあるのであれば大型冷蔵庫は必要です。

が、そんな町は日本には存在しないのです。

 

3百万円以上というシステムキッチンを備えたお宅を拝見したことがありました。

週の大半はデパ地下で買った惣菜をチンして食事、お湯を沸かすのもお茶を飲むのも、チン、というお宅でした。

奥さまは専業主婦でした。

 

キッチンは料理ではなく、加工にしか活用されていない、そんな場面が確かに増えています。

善し悪しはともかく、自分の知らないそうした暮らしぶりを垣間見るたび、驚いてしまうのです。

 

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手間をかけないことの意味

料理そのものも、どんどん簡略化されています。

お味噌汁のダシを煮干しや鰹節でとっているご家庭は、どれくらいあるでしょう。

 

コンソメスープも固形の調味料。

コーヒーはミルで挽いてドリップでじっくりというより、コーヒーメーカー。

ご飯は電気炊飯器、パスタのソースもカレーも、お粥も赤飯もおこわも、麻婆豆腐も五目焼きそばも、みんなレトルトか冷凍食品。

 

だから、何?

といわれそうな、もう当たり前の光景です。

 

先日、魚屋さんで買い物をしていましたら、あまり若くもないお母さんが、2匹のサンマをトングでつまんで(汚いものでもつまむように)店主に差し出し、アタマも内臓も小骨もみんなとってほしいと頼んでいました。

料理の際に包丁すら使わない、キッチンを汚してたまるか、という家庭が急増しているのは本当のようです。

 

キッチンの面積はどんどん広くなってシステム化され、電化が進み、眩しいくらいに美しく機能的になっています。

汚れないキッチン、きれいなキッチンが、トレンドであり、理想なのです。

 

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家族の使い勝手、身長、動線などに合わせて設計されたオリジナルキッチン。メーカー製システムキッチンの数分の1のコストで出来上がり。ホームセンターで購入できるパーツでメンテナンスができる。家は「買う」のでは「つくる」こと。こうした「手間」が家族の生活文化をつくってくれる。

 

 

 

 

 

食品庫や床下収納にも注目

工務店の社長さんや営業の方々は、個々の家庭で異なる家事の現場を知ろうともせずに、メーカー製システムキッチンをお勧めして終わり。

 

包丁やまな板、鍋、食器、調味料の種類や量を考慮して検討するのが大切ですが、カタログにあるキッチンに憧れる施主には、大工さんオリジナルのキッチンという選択肢を示されることもありません。

 

ビルダー側はキッチンを手製にして、手間などかけたくないのです。

メーカー製なら、スペースをとり(坪数を稼げる)、設置が簡単、メーカーからマージンまでいただけるのですから、本心では、オリジナルになど手を出したくないのでしょう。

 

施主は施主で、安全でおいしく、家族の生命を支える料理――といった本来の目的を忘れ、忙しいから汚れず、簡単に。

家族の元気を支えることより、ゆとりの時間が大事となると、家族の存在意義すらわからなくなってしまいます。

 

かつては、どこの家にもあった食品を貯蔵する場所も姿を消しつつあります。

床下収納や食品庫はあまり話題にのぼりません。

 

味噌や米、しょう油やみりんなどの調味料、手づくりの漬け物、ミカンやリンゴなどの果物、果実酒や日本酒や焼酎、ワイン、季節の野菜、自家製の薫製など、冷蔵庫より貯蔵庫のほうが適している食材は少なくないのです。

 

電子レンジでチンをするだけの食品が主流になったいま、システムキッチンをせめて1/2~2/3の大きさにし、削ったコストで床下収納や食品庫のスペースをとることも選択肢の一つです。

もちろん、そのまま坪数を節約することもおすすめです。

 

家族と家族がつながる唯一の手段は、日々のあらゆる場面で「手間」を惜しまないこと。

言い過ぎでしょうか。

 

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ザックリ・まとめ

家族が元気になれる料理を作ること。

温かい料理であること。

家族と一緒に食べること。

食べることで健やかな生命が維持されること。

まな板も食器も汚れるのは当然のこと。

汚れたまな板や食器をきれいに洗うこと。

キッチンを考える前に手間をかける価値を考えること。

手間を惜しまないことが生活をつくること。

生活をつくることが生きること。