Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【空間の重心】=積み重ねてきたことからのみ、醸成されるもの。

 

 

 

 

 

 

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家とは本来、自分の好きなもの、気持ちのいいものが詰まった空間であるのが理想的です。疲れた身体と心をやさしく包み込んでくれるのは、とっておきの「きれい」の束。気どらず、気張らず、普段着の自分でいながら、日々、「きれい」を感じるために必要な意識とルール。

 

Contents.

 

人の思いが空間をつくる

取材などでうかがうお宅。

まず目が行くのが、

玄関の置き物や飾りです。

 

オブジェや絵画、

小物、雑貨、花などが

飾られていると、

きちんとしている

お宅だなあ。

素敵だなあと思います。

 

奥さまなのかな、

ご主人なのかな、

この趣味は。

 

空想、妄想、同時に喚起されます。

 

家のなかでは

空間全体を見回します。

 

光、風、匂い、

家具、ファブリック、

装飾、棚、収納。

その家、

その人の美しさを表現する

要素はいろいろ。

 

設計者や

インテリア専門家が

ノウハウを

存分に発揮した家でも、

施主の美意識まで

制御はできません。

 

どんなに斬新で

個性的なデザインも

3日もあれば

空間は施主の美意識を

100%、

反映したものと

化すのです。

 

壁に絵画があると

「誰の作品ですか」

とうかがいます。

 

市販のポスターとは異なり、

本物の絵画を

自宅に飾ることは、

よほどの

思い入れがあるはず。

 

作品とのかかわり、

思い出、

場合によっては、

作品とのエピソードも

聞きたくなります。

 

絵画の善し悪しではなく、

その人の思いが、

空間に

強い力を放つのです。

その理由を

知りたくなります。

 

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本棚に生き方が凝縮する

本棚を探します。

本棚がなければ、

そこらに置いている本、

新聞、雑誌。

 

朝日新聞を購読する人と

読売新聞を読む人とでは

思考の色合いが

確実に異なります。

 

毎日新聞と産経新聞でも

同じことがいえます。

善し悪し、

意識の違いなどでもなく

色が違う。

 

雑誌の場合も、

経済誌かファッション誌か。

本棚にコミックばかり

数百冊、

並んでいるお宅もあります。

「暮しの手帖」の

バックナンバーが、

何十と

揃っている本棚もあります。

 

本は、その方が、

これまでどんなことを考え、

何を求めて

生きてきたのかを

如実に物語る軌跡。

 

装丁が古いものですと、

青春期に

読まれた本かもしれません。

新しいものは最近読んだ本。

 

若いときには

こんなことを思い、

最近はこんなことに

興味を

持っているんだなあと、

想像してしまいます。

 

自分が所有する

同じ本が

そこにあっても、

黙っています。

 

現場は、

相手と論を交わす

場ではありません。

 

自分のなかで、

この家、この人――を

受け入れ、

何が自分のなかで

どんなふうに

ざわめくのかを観察します。

 

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本の「背」はインテリア

本は、

インテリアの一部でもあります。

正確にいえば、

本の「背」が空間に

大きな影響を与えるのです。

 

残念ながら、

日本の書籍の装丁文化は

欧州のそれに

到底及ぶ

レベルではありません。

 

欧州では1000年もの

伝統のある

ルリユール(製本工芸)

という文化があります。

 

仮綴じで売られている

本を買ってきて

自分で製本したり、

専門の職人に

依頼する文化が

いまも

根付いているのです。

 

そうした文化は

大量生産の

書籍にも生かされ

読者の見る目も

日本人のそれとは

比べようもない高さに

ありそうです。

 

同じ本棚に

洋書と日本の本を

並べてみます。

 

違いはすぐにわかります。

背文字が

アルファベットだから

オシャレに

格調高く

見えるのではありません。

 

著者や出版社、

あるいは時代が異なる

出版物でも

並べてみると

不思議と統一感があります。

 

本は読まれることだけでなく

所有する、

見せる、

愛でる、

ふれる、

本棚に置かれることにまで

価値を持たせているのです。

 

そんな本の背が

並んだ光景は

一幅の絵画、オブジェにさえ

見えてきます。

 

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個性と嗜み一緒にしない

このことは、

色も形状も異なる

建物が並んでいても、

統一された景観が

形成される

欧州の街並みと

よく似ています。

 

統一感のない

日本の都市景観。

本棚にいえることは

街の景観にも、

いえそうです。

 

創り手の個性を出しながら、

全体は壊さない。

このことを「嗜み」と、

いうのかもしれません。

 

何もない空間でも、

お気に入りの

雑貨や草花を一輪、

本物の絵を

1枚掛けるだけで

すっと、

その場の空気が変わります。

 

装丁のレベルはともかく、

本棚も

インテリアのアイテム。

 

本の背の何を見せるか、

どのタイトルを選んで、

どう並べるか。

ここも、

施主の個性が

発揮できる場となるはずです。

 

高価なものを

飾ることに、

あまり意味はありません。

 

それが自分の

深いところから

出てくる「好き」で

選択されているかどうか。

 

そして、きれいな空間に

なってほしい

という「願い」で飾る

行為がその人の

美意識と化します。

 

 

 

 

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生活の重心を意識しよう

特売で買った

インスタントコーヒーでも

おいしくなあれ、と

唱えながらスプーンで

かき回すのと

ジャーとお湯を注いで

飲むのとでは、

まったく味が違います。

 

言葉に、意識に

エネルギーが宿るのです。

 

見えないもの、

隠れているもののなかにも

美しいものを発見し

見つめようとするまなざし。

 

その心が

その人の積み重ねてきたものから

美しさを引き出し

その美しさが

生活と空間の「重心」となります。

 

 

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まとめ

1.その家らしさは、その人らしさから発揮される。

2.プロのコーディネートは、3日で飽きてしまう。

3.本棚にはその人の「人生観」が凝縮されている。

4.洋書の背をインテリアの一部に応用してみよう。

5.中途半端な「個性」が日本の家と町を破壊する。

6. 見えないもののなかにある「美」を大事にする。

7.森羅万象に「美しいもの」を発掘する眼差しを。