Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

人の弱さを自分の弱さと重ね、人として目覚める手段としての【川柳】について。

 

 

 

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中学生の頃から詩が好きになり、高校に入ってからは小説、大学からはノンフィクションに夢中になりました。子どもの頃から活字は好きでしたが、俳句や短歌、川柳といったものには縁がなく、それらはお年寄りの趣味の世界のように思ってきたのです。しかし、最近になって短歌や俳句、川柳などの短い文章のなかに、凝縮された世界の凄みを感じ、通信講座か何かで、どれかを一つを真剣に学んでみようかと考えるようになりました。

 

Contents.

 

笑ったり泣けてもきたり

テレビではバラエティー番組の俳句コーナーが人気で、若い方々が真剣に取り組む姿に感心しながら見入ってしまいます。

 

近年は、川柳にも興味が出てきました。

きっかけを与えてくれたのが、昨年まで長くつづいたNHKラジオ「かんさい土曜ほっとタイム」の「ぼやき川柳アワー」。

 

素人さんの投稿が主体なのですが、聴きながら、いつも大笑い。

5・7・5の短いセンテンスのなかに、暮らしのなかの喜怒哀楽が見事に表現されています。

 

へえ、ほお、はあ、なるほど、と感心したものをその都度、メモをとっていましたが、そのメモも、いつの間にか、ノートいっぱいとなりました。

 

チン妻の 爪は顔より 美しい

 

大振りな 妻とちっちゃな 家に住む

 

古女房 グチは毎日 新しい

 

 

…などなど家族の話題が多いのですが、笑ってしまうものもあれば、

 

どちらさん? 言う度(たび) 母を撫でてやり

 

なんて、しんみりさせられる句もあって、毎回、とても勉強になりました。

この句を聴いてから、認知症の母への対応も、少し変わってきたように思います。

 

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年を重ね見えてくるもの

番組に出ていた川柳の先生が「年を重ねるたびに、いろんなことが見えてくる」と話していたことが記憶に残っています。

 

確かにその通りで、あの頃は何も感動しなかったことが、いまになって深く頷けたり、泣かされたりすることがあります。

 

当時は理解できなかったことが、「こういうことだったのか」とふと思い出したり、情けなくなったりします。

人間には、お金や空気、食べ物と同様に、時間というものが必要なのです。

 

とはいうものの、日々の暮らしは、歓んだり、悲しんだり、人を恨んだり、妬んだりの繰り返し。

 

おいしいものも食べたいですし、いい家にも住みたい、素敵な服も着たい、海外旅行にも行きたいと、夢ばかり膨らみます。

が、なかなか夢が叶うことはありません。

 

うれしい気持ち、悲しい気持ちを、いったんメモに綴って棚の上にのっけてしまうと、いくぶん気が楽になります。

 

現実を笑い飛ばすかのように、川柳にしたり、短歌にしたり、日記に綴ったりするのもいいのでしょう。

そうすることで、自分と自分、自分と他者の距離感がはっきりしてきて、自分自身を俯瞰できるようになってきます。

 

そうして、許し合ったり、うなずき合ったりして、また生きていこうという気持ちになれば、儲けもんです。

 

おい女房 君はバラより トゲがある

 

褒められて 伸びるんだよと 孫が言い

 

朝帰り 開けたドアから なるゴング

 

いきてゆく 強く正しく 仕方無く

 

10キロ減 誓った口が ものを食い

  

これらの句も、見事に人の弱さや傲慢さを棚にあげ、それらを笑い飛ばしているところが素敵です。

 

洞察力、表現力もさることながら、人の弱さを自分の弱さと重ね、自分の弱さをこれまでと異なる角度から眺めることで、矛盾や苦悩に助けられ、人間として目覚めているのです。

 

そして、結局は、互いに頭を下げ合って生きていく平凡を大切にしているところに、胸打たれます。

 

 

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家の造りと家族の気配り

昔の日本の家の造りは開放的で、家族の誰かがそこで何かをしているときには「結界」をつくって見守ったり、邪魔しないようにと「気配り」で見えない壁や建具をつくってきました。

 

この観念は、人間関係を洞察したり、思いやったりする暗黙のルールめいたものであったからこそ、喜怒哀楽が明確にならず、その曖昧さを育みながら平安を保ってきたともいえます。

 

川柳から家の造りや家族の暮らしの営み、夫婦の関係が見えてくることもあります。

こんな句も、自分の内面を言いあてているようで、フフッと、笑ってしまいました。

 

倦怠期 二人で歩く 無言坂

 

あんたから 欠点とったら 何残る?

 

 ほんと、そうですよね (^^;)

 

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おすすめの本
 
 
日本語の美しさが詰まった1冊。一家に1冊は、歳時記や季語の手帳を備えておいて損はありません。夏井先生らしく、きびしさのなかに、ちゃんとやさしさが込められた編集。先生は、もともと学校の先生だったそうですが、いつも教え方の上手さには感心しています。