Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

交通事故より怖い【ヒートショック】による死亡リスクを低減させる基本のこと。

 

 

 

Photos by Sweet Potato..

 火が消えても長時間、蓄熱し輻射熱を出し続けるストーブも普及しつつある。ストーブの歴史はなんといっても、欧米に見習う部分がまだ少なくない。

 

北国から雪の便りが聞こえてきました。こんな季節、あたたかな家に帰ると、身体の芯からほっとします。エアコン、薪ストーブ、ヒートポンプ温水パネル。暖房手法や熱源はさまざまですが、暖房のほんとうの基本は、暖めることではなく「寒さを取り除くこと」。屋内の温度差を解消するのが基本ですが、温度差がときに命とりにもなることがようやく注目されてきました。

 

Contents.

 

ブルッと震えたときの危険度

暖房が効いた部屋から寒いトイレや浴室に行くと「ブルッ」とします。

身体は急激な温度変化に対応しようと筋肉を震わせて熱を作り、その熱が逃げないように血管を収縮させます。

 

そのとき一気に血圧や脈拍が上がります。

高血圧や糖尿病などで動脈硬化が進行している人は心筋梗塞、脳梗塞や脳出血などのリスクが一気に高まる瞬間です。

 

これが最近よく耳にする「ヒートショック」。

居間の室温は20℃だけど、廊下は10℃、トイレや浴室は5℃といった家は日本のどの地方でも少なくありません。

寒いだけでなく、「温度差」が身体に強いダメージを与えるのです。

このダメージは、若い世代にも同じように押し寄せるところが怖いところ。

 

ヒートショックなど自分には関係ない。

これまで、そういっていた30代、40代、50代の知人たちが、ある日突然、脳梗塞で倒れたこの数年でした。

 

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※出典 一般社団法人 健康・省エネ住宅を推進する国民会議

 

 

Photos by Sweet Potato..

開口部も断熱性能の高いものを採用。土間を設けて日中の日射を蓄熱。ダイレクトゲインと呼ばれるパッシブデザインの一つ。夜間のヒートショック防止にも省エネルギーで効果が高い。

 

屋外よりはるかに危険な家の中

ヒートショックに関連する入浴中の死者だけでも推計で年間1万7000人(東京都健康長寿医療センター)。

この数字は交通事故死者数の約4倍にもなります。

脱衣場、浴室は、私たちがもっとも無防備の状態で温度を感じる場所です。

深夜、早朝のトイレも同様です。

薄着のパジャマのまま、ベッドから出たばかりの暖まった身体を、冷たい空気にさらすことになります。

 

毎朝、通勤・通学する家族に「クルマに気をつけて」といって送り出すのがこれまでの常識でした。

が、実は家のなかで死亡する人のほうが多いことが次第にわかってきたのです。

 

ヒートショック関連の死者に転倒など家庭内事故による死者を加えると、交通事故の10倍にもなるというデータもあります。

世の中でいちばん怖いのが「家」という現実が浮き彫りになってきます。

 

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洗面・脱衣室に設置した温水パネル。ヒートポンプでつくった低温水を循環させ、輻射熱で暖める。

 

 

ショックは一度だけじゃない

ヒートショックは一度きりの「ショック」ではありません。

浴室を例にします。

まず、暖かい居間から寒い廊下に移動したときに血圧が上がります。

さらに温度の低い脱衣所で裸になって血圧が上がります。

 

今度は脱衣場より寒い浴室。

そこでまた血圧は上昇し、浴槽のお湯に浸かってまたまた上がります。

お湯に浸かっていると、血圧は急下降。

入浴を終えて寒い脱衣所へ出ると再び上昇。

廊下に出てまた上昇――の繰り返しで、ヒートショックは何度も繰り返して襲いかかります。

この間の血圧の振幅はときに50-80mmHgにもなるともいわれます。

 

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断熱・気密性能を上げることで、吹き抜けのある大空間でも床面と天井付近の温度差は1、2℃。窓下には温水パネルを設置し、窓からの冷輻射も防いでいる。

 

在宅介護の基本条件として

寒さの厳しい北海道では、脳卒中の発生率が東北・甲信越より低く、その要因として「高断熱・高気密」で全館暖房の家が普及していることが挙げられます。

 

屋内に「温度差」のない家は、ヒートショックを予防するだけでなく、結露やカビを防ぎ、アレルギー疾患の予防にも効果があることが知られています。

結露をなくす→カビが減る→カビを餌にするダニが減る、という循環をつくるからです。

 

在宅介護・療養の際にも、24時間パジャマ1枚で過ごせて屋内を移動できることは、高齢化社会の家には不可欠な環境といえます。

東北地方でしたが、厳寒の外気とほぼ同じような環境の寝室で寝たきりになっているお年寄りを何度も取材してきました。

 

冬は「寒すぎないこと」、夏は「暑すぎないこと」。

この2つは、在宅介護を前提とした今後の福祉のなかで、必須条件であることと、私は考えます。

 

「全館暖房なんてもったいない」

そんな声が聞こえてきそうですが、これまで1室か2室で消費していた程度、もしくはそれ以下の暖房費で、30坪でも40坪でも全館暖房ができるとしたら文句はないはずです。

そうした環境を割安に実現するために、技術があるのですが、日本ではまだ発展途上といわざるを得ません。

 

 

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廊下はもちろん、トイレの寒さも解消。段差をなくし引き戸にする設計上のバリア解消と温度差というバリアを同時になくすことが大切。

 

 

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