Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

快適な「室内気候」のために欠かせない「暖房デザイン」という視点。

 

 

 

 

 

By Pixtabay.

 

暑い季節は涼しく、冬は少しでも暖かく。住まいは人を守る皮膚であり、衣服であり、シェルター=器としても、多くの機能を求められます。これからは、寒さから人を守り、健康にダメージを与えない暖かさがほしくなる季節。「室内気候」という言葉をはじめ、私たちは熱や温度について、意外に知っていることが少ないことに気づくのです。

 

Contents.

 

身体をセンサーに快適さを計る

取材などで新築の物件にうかがいますと

その物件の熱的な性能が、

身体で分かることがあります。

 

室温(温度計の示す温度)は高くても

身体のどこかかに冷えを感じる。

室温は低くても

少し動いただけで

汗ばむほどの暖かさを感じる。

 

すぐに喉がカラカラに乾燥する家。

なぜか、呼吸が楽な家。

すぐに目が疲れてドライアイのようになる家など、

さまざまな家がありますが

その都度、

身体が正確なセンサーであることを実感します。

 

撮影の際には、

屋内空間全てを移動しますので

温度差がある場合は、すぐに身体が反応します。

その温度差も、

心地のいい温度差もあれば、

たった1、2℃の差でも

不快に感じるような温度差もあります。

 

あらかじめ、UA値やC値などを

把握していても、

実際に、その場に滞在すると、

同じ数値でも、

快適性が大きく違って感じることが

少なくないことは、きっとどなたにも分かるはずです。

それだけ人間の身体の

センサーは正確にできているのです。

 

※出典 資源エネルギー庁

 

Photos by Sweet Potato..

 窓下の温水パネルの表面温度は、体温よりも低めで設定しても

連続運転することで吹き抜けのある大空間でも

温度のムラなく暖房できる。また乾燥感もない。

 

 

 

熱が伝わる伝導・対流・放射

身体が感じる

熱のバロメーターの一つは輻射熱です。

この輻射熱、自分のなかでも

こんがらがってばかりで、なかなか整理がつきません。

 

ずっと昔、学校で

熱の伝わり方には、「伝導」「対流」「放射」の

3種類があることを習いました。

 

例えば、ガスコンロでフライパンを熱すると

柄のほうまで熱くなります。

これが「伝導」です。

 

エアコンなどで温風や冷風を放出し、

室内に強制的に風の流れを起こして暖めたり、

冷房したりするのが「対流」。

 

「放射」。

これを説明するのは少々やっかいです。

いちばんわかりやすいのが、

太陽や鋳物ストーブ、七輪などの炭火からの熱。

温度の高いものから出た熱が、

空気中を通って届くこと、といったところでしょうか。

 

この「放射」は「輻射」ともいわれ、

「物体が電磁波の形でエネルギーを放出すること」

「物質を介さず温度の高い方から低い方へ熱が伝わること」

などといいますから、また混乱。

電磁波と熱はどう違うのか、

電磁波って身体に悪くないのか、

そんな疑問もアタマをよぎります。

 

Photos by Sweet Potato..

左手の赤いスリット状のものが温水パネル。

デザイン的にも優れており、色や形状も自由に選択できる。

 

寒い日でも太陽が暖かく感じるわけ

科学の世界でいいますと、

あらゆる物質がその温度に応じた

電磁波を放射しており

私たち人間からも放出されているといいます。

 

テレビなどで、

熱カメラ(サーモグラフィー)の画像を

見たことがあるでしょう。

あれは人体が放射している

遠赤外線などの

電磁波を赤く表わしたものです。

 

気温が低い日でも、お日さまがあたると

暖かく感じるのは、

太陽から放射された電磁波=遠赤外線を

身体が吸収しているから。

 

軒下などに移動して日射を遮ると、

暖かさは感じません。

「放射」(輻射)が遮られるからです。

 

放射される電磁波は、正確には熱ではなく、

人間の身体のような有機物に吸収され、

吸収されてから

熱に変わる性質を持っています。

だから、周囲の温度には

あまり左右されず、暖かさを感じるのです。

 

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Photos by Sweet Potato..

 日本では北東北、北海道で普及している温水パネル。

熱源は灯油、電気(ヒートポンプ)など選択できる。

欧州では100年以上も前からスタンダードな暖房手法。

 

 

 

 

 

輻射熱はあちこち移動する

熱は物質の表面を暖めますが、

放射される熱の代表でもある遠赤外線は、

物質の内部を暖めます。

炭火焼などは、表面が焦げていなくても

中味は熱が通っているという、あの理屈です。

 

遠赤外線は、太陽からも放射されています。

日焼け、日焼けによる皮膚の老化、

熱中症などになるのは、

同じ電磁波でも

近赤外線や紫外線が原因なのです。

 

太陽の光でも、人体にいいものもあれば、

そうでないものもあり

ここでも混乱してしまいます。

 

遠赤外線によって、

物体の表面温度が上がってできた熱が輻射熱。

輻射熱は別の物体に当たると、

そこでまた新たな輻射熱を生み出します。

 

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Photos by Sweet Potato..

北海道の厳寒期でも利用できるという寒冷地向けエアコンも人気。

エアコン暖房も間欠運転は禁物で、連続運転することで

初めて室内の輻射熱を活用でき、省エネとなる。

 

 

弱い熱を連続して室内に溜めていく

例えば床や壁から遠赤外線が放射された場合は、

室内の家具、天井、家電製品に至るまで、

ありとあらゆるところに

遠赤外線が当たって、

そこで輻射熱が生み出されます。

 

しかし、壁や床、天井などの

断熱が悪かったり(冷たかったり)、

いろいろな場所から

冷たい隙間風が吹き込んでくると

当然、暖まる暇がありません。

 

直接空気を暖めないため、

暖かさを感じるまでの時間が長いという

デメリットはありますが、

弱い熱(遠赤外線)でも途切れることなく、

連続して放射し続けることで、

室温はさほど上がらずとも、

暖かく感じることができるようになるわけです。

 

エアコンは対流方式であることを先に述べましたが

それでも連続して熱を配って

室内の内側全体にそれを溜め込むことで、

輻射熱による暖房空間=室内気候ができます。

ここでも、高断熱・高気密が大原則です。

 

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 断熱性能の高い窓でも壁などに比べると冷輻射が多い。

それを遮るために、窓下に温水パネルを埋め込む方法もある。

 

 

空気を介せずに伝わる輻射熱

暖房効果を上げるためには、

石やレンガ、コンクリートなど、

温まりにくい、冷めにくい物質に蓄熱することも

大切な要因です。

 

ヨーロッパの家は伝統的に

石を素材としてきましたので、おのずと

輻射熱による暖房効果を得ていました。

 

アメリカ、カナダなど北米では

木造住宅が主流でしたが

連続して熱を配り、

屋内に蓄熱するといったことが

生活文化として根付いていたことが、

日本の家とは異なるところです。

 

断熱性の低い屋内を換気しようとすると、

すぐに暖まった空気が外に出て、

寒くなってしまいます。

しかし、高断熱・高気密の空間では

連続して熱を配り、

輻射熱を溜め込むことで

ちょっとやそっとの換気でも、

体感温度が急激に

下がることはありません。

 

厳寒地の厳寒期に

何度も試したことがありますが

外がマイナス10℃の日に

リビングの窓を10分ほど全開にしても

窓を閉じてから10分も経てば

ほとんど開ける前の室温を身体で感じることができます。

 

空気を媒体とせず

熱が伝わる輻射熱ならではの特性です。

空気を暖めることでしか

暖房をしてこなかった

日本人にはなかなか実感するのが

難しいかもしれません。

 

Photos by Sweet Potato..

冬期は日射を土間部分に蓄熱して冷輻射を遮断し、

夜間はその輻射熱を利用して、ほんわか暖かな暖房感を得る。

こうした手法をダイレクトゲインという。

ただし、高断熱・高気密住宅で日射取得量が多過ぎる場合は

オーバーヒートしてしまうため、軒や庇などによる

外部での日射コントロールも重要となる。

 

 

ほんとうに暖かい家の正体

同じ性能でも、熱を溜めこむ素材を

どこに、どのくらい使用しているかでも

暖房感は違ってきます。

 

もちろん、暖房設備の種類や連続暖房の有無でも、

大幅に違ってくるのです。

 

私たちが撮影の際に感じる

感覚の違いも、そういった違いから

出てくるものと思われます。

 

しかし、どんなに高い性能、

輻射環境を誇る家でも、

感じのわるーい家人がいたりすると、

途端に身体もココロも冷え込んでしまいます。

 

理想の暖房空間、室内気候の最後の決め手は、

そこで暮らす人たちの

思いやりの心かもしれません。

 

 

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まとめ
1.室温(温度計の示す温度)は高くても
身体のどこかかに冷えを感じることがある。
UA値やC値の性能値がよくても、体感する快適さは異なる。
 
2.熱の伝わり方には
「伝導」・「対流」・「放射」の3種類がある。
この中でもっとも快適な
暖房感は「放射」による熱=輻射熱。
 
3.輻射熱は物体に吸収されてから熱に変わる性質を持ち、
周囲の温度にあまり左右されずに、暖かさを感じやすい。
 
4.暖房機などから遠赤外線が放射された場合は、
室内の家具、壁、天井、家電製品に至るまで、
遠赤外線が当たって、そこでまた
輻射熱を生み出す相乗効果が得られる。
弱い熱(遠赤外線)でも連続して放射することで、
室温はさほど上がらずとも、快適な暖房感を得やすい。
 
5.エアコンは対流方式だが、サーモスタットを利用して
連続して熱を配ることで省エネで室内全体を暖め、
輻射熱による暖房空間ができる。
 
6.暖房効果を上げるためには、
石やレンガ、コンクリートなど、
温まりにくい、冷めにくい物質に蓄熱する工夫も必要。
 
 

➡今回の記事で参考にしたLIXILのサイト

 
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