Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

住空間と性能、時間の彼方にあるかもしれない、家と家族の「居心地」。

 

 

 

 

Photos by Sweet Potato..


 

マニュアル、数値だけでは快適な住まいを創ることはできません。居心地のいい空間のデザインには人の記憶、時間の流れまで理解することが求められ、そこで初めて機能を付加した美しさが体現されます。居心地を醸すために何より欠かせないのは、丁寧に家に人に向き合う姿勢といえるかもしれません。

 

Contents.

 

 

住宅にも「性能」がある理由

住まいには

温熱という視点からの性能があり

環境がある。

そういったことを何度か書いてきました。

 

熱的な性能を裏付けるためには

UA値=外皮平均熱貫流率や

C値=相当隙間面積、

η(イータ)値=日射取得率などがあり、

換気や通風、耐震性も

数値で裏付けることができます。

 

そんな細かなことはどうでもよいと

いわれそうですが

クルマや電車、ロケットなどにも性能があり

その性能がアバウトだと

走行そのものの危険性が増すのと同じ。

人が住む家の性能にも裏付けが必要なのです。

 

断熱・気密などの性能が高いと

エネルギー消費は抑えられ、

夏は涼しく、冬は暖かく、快適になります。

しかも、従来と同じくらいか

それ以下のエネルギーで快適さを

得ることができるのであれば、文句はいえません。

耐震性能が高いと、

地震の際の安心材料にもなります。

 

 

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出典 資源エネルギー庁

 

 

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省エネ基準の概要 【出展】住宅・建築物の省エネルギー施策の施行状況(国交省)

 

 

快適さを得るためのデザイン

技術や設備で

性能を追い込んでいけば当然、

数値が出ます。

が、数値が高いだけで

居心地のいい家になるかといえば、

そうとも限らないのが家づくりの難しさ。

 

例えば、オール電化の家。

全館冷暖房を実現し、

年間の電気代が10万円台といった

省エネ性能を発揮する家ができたはいいが、

窓は小さく外の景色も楽しめない、

プラスチックや合板などの化学製品だらけ、

大嫌いな(例えばですが)

緑や赤や青の壁の色に囲まれて

日々を暮らすとしたら、

快適どころか

精神状態が不安定にもなりかねません。

 

かといって、自然素材、例えば無垢の木だけで

空間を創ったとしても

空間全体が木の色、節目に囲まれていると

すぐに疲れてしまうことを知る人は

多くないのではないかと思います。

 

柱や梁、腰板、床など、

目に入る無垢の割合と漆喰など

塗り壁の面積の割合によっては

快適にもなりますし、その逆もあり得ます。

 

数値を追いこんでいく、

あるいは、素材を揃えていくだけでは、

快適な居心地はつくれません。

快適さの創造もまたデザインなのです。

 

 

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建築は「強」「用」「美」の3要素

居心地とは、何でしょう。

目を閉じて、過ごしたい光景や

場所を考えてみましょう。

 

生まれ育った家の廊下や縁側。

ほんのり暗いけれど、懐かしい灯り。

春は庭の緑が美しく見える場所。

夏は涼しげな風を感じ、

秋は抜けるような青空の見える場所。

冬は暖かな日差しの差す、とっておきの場所。

 

ふれると気持ちのいい木や石や塗り壁。

おばあさんの代から使い込んでいる家具のそば。

帰ってくると「おかえり」

といってくれるような大人しい外観。

 

いろいろあります。

 

建築は「強」「用」「美」の3要素から

成るといわれますが

このうち「強」だけを強調すると、

核シェルターのような家になってしまうかもしれません。

居心地には「美」と「用」との

バランスこそ大事なのです。

 

 

 

 

 

 

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例えば障子の曖昧な光について

美しく、機能を果たす「美」と

機能を満たす「用」は

多くの場面、部位、設備で求められます。

 

ここでも何度か取り上げた

照明や窓もしかり。

 

明るいだけではもの足りない。

かたちが美しいだけでも、ちょっと困る。

明るさの性質一つでも

居心地は大きく変わってきます。

 

日本で古くから用いられてきた障子は、

明るさだけではなく

風に揺れる草木の影まで映してくれる

スクリーンの役割もします。

 

曖昧に変化する光の性質は、

淡い色調が特徴の日本画や水墨画、屏風などを

観賞するには最適。

こうした光と影のグラデーションなかで、

油彩の西洋画を見ても、

本来の美しさは感じられません。

 

光の性質によって、

家のなかの絵画、

あるいは床の間に置かれた花までも

その美しさは左右され、

居心地に影響を及ぼすことがわかります。

 

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懐かしさに会いにいける家

目に見えることだけで、

居心地がつくられるのでもありません。

 

ふれたことは一度もないけど

見ただけで、

家族を包み込み、守ってくれそうな

柱や梁、自然の色あいに満ちた空間。

足の裏だけが知っている、

上り框や廊下の無垢の木の感触。

 

無垢の木といっても

サクラ、ブナ、クリ、ケヤキ、ナラ、パイン

など樹種によって

肌にふれる感覚は異なり、

耐久性、調湿作用、匂いまで違います。

無垢の木が希望ならば

全ての樹種を素手、素足で

ふれてみないと、わからないことばかりなのです。

 

秋の日の午後、

金色に光る夕陽がやさしく入り込む

部屋の隅っこ。

 

お隣さんの家族の笑い声が、

かすかに聞こえるキッチンの窓辺。

 

庭の草花の囁きが響いてきそうな縁側。

 

ちょっと怖いけれど、

どこか色っぽい納戸の静けさと、翳り。

 

仏間に漂う、ずっしりと重たげな時間。

まっすぐなくせに、

おじぎをしてくれそうな大黒柱――。

 

私たちは、

いつも目の前の光景を眺めながら、

「その向こう側」を感じています。

それらをみんな

言葉にして設計者に伝えましょう。

  

空間にも時間が流れています。

その時間には記憶が息づいています。

記憶の体現が、家のかたちを創るヒントです。

 

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建てる側と施主との対話

私たちが

快適だと思う環境はほとんど、

実は、自然界のなかにあります。

音も光も色も温度もです。

 

雨や風、雪、寒さや暑さで

自然から離れなければならないときに、

家が必要となります。

 

ほんとうは、

自然から離れていても

自然を感じさせてくれるような家が

理想と言い換えることもできます。

 

また、私たちは誰一人例外なく、

記憶をもって生きています。

 

それは自分が生まれ育った家や故郷、

家族や友人、恋人との関係、

忘れることのできない

旅先の光景であったりします。

 

それらを家という形に体現するには

施主と建てる側との

対話の積み重ねしか方法はありません。

 

施主の思い、記憶など、

「その向こう側」を徹底してお話しする。

建てる側は、とことん耳を傾ける。

 

この繰り返しが深い対話となり、

対話の積み重ねが

信頼をつくって「その向こう側」が

やがて「深い内側」まで創造する源泉となって

居心地に変わります。

 

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憧れと丁寧さを手放さないこと

性能もデザインも秀逸だけれど

どこか居心地がよろしくないといわれる家が

少なくないのは

人と人との言葉のやり取りまでも

省エネになっているからかもしれません。

 

設備やモノ、インテリアなど、

見えるものばかりにお金と時間をかけて

家族と向き合うエネルギーを

削減している家は当然、

居心地の悪さを量産してしまいます。

ビルダーや建築家から

一方的に押し売りされた家も

違和感を抱くまでに時間はかかりません。

 

面倒くさいことばかりのようですが、

ほんとうの居心地とは

憧れを手放さず、

目の前のことに丁寧に向き合うことを

諦めない人だけが

手に入れることのできる世界なのです。

 

 

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➡今回の記事で参考にしたLIXILのサイト

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おすすめ図書

 八木重吉、中原中也、まど・みちお。大好きな詩人は何人かいますが、長田弘さんの詩もまた、一つの道標であり続けました。

 

 

誰にも訪れる、愛する人を失うという経験。「死」の悲しみを深く癒し、大切な人との「絆」を静かに伝える詩画集。クリムトの樹木と花々+長田弘の「絆」の詩の共鳴。

<そのとき、ふりかえって/人生は森のなかの1日のようだったと/言えたら、私はうれしい>

 

 

 

6年の日月をかけ、季節が一つめぐってくる毎に一つずつ、目の前の風景のなかにひそむ消滅点を一つずつ、「じぶんの指で確かめるようにして」書き継がれた27編。

<うつくしいものをうつくしいと言おう/幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと/シュロの枝を燃やして、灰にして、撒く/何ひとつ永遠なんてなく、いつかすべて塵にかえるのだから、世界はうつくしいと>

 

 

 

このたびの台風で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

 

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