Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【温度と健康】=ほんの少しの室温アップで、カビや結露、冷え性を改善する。

 

 

 

 

 

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身体が冷えると、風邪をひいたり、体調がすぐれない日も増えていくのが憂鬱なところ。外で冷え切った身体を暖めてくれるはずの住まいが、寒さや結露まみれでは、健康にいいはずはありません。暖かさと健康との関係について。

 

Contents. 

「暖房」を知らない日本人

日本の住まいは伝統的に、

焚火やストーブ、囲炉裏、コタツなどから

暖を採る「採暖」を旨としてきました。

「採暖」とは寒さを解消するのではなく、

寒さのなかで暖かさを得る、感じることです。

 

例えば、ストーブにあたっていると

身体の表面は暖かいのですが

背中は寒さを

感じたままというのが代表的な例といえます。

 

一方、暖房は「房」すなわち「空間」全体を

暖めることで「暖める」は

正確にいうと「寒さを取り徐く」ことでもあります。

 

断熱・気密によって

住まいの内と外との区別を明確にし、

全館をくまなく暖房することを全館暖房といい

北海道や東北の厳寒地の一部では

四半世紀も前から普及してきました。

数値的な詳細については

以前も書いていますので、参照ください。

 

全館暖房は、死亡率が高いヒートショックなどを

予防する効果もあります。

かつては、塩分の取り過ぎなどが

主な原因とされてきましたが、

寒さの厳しい北海道で脳卒中の発生率が

東北・甲信越、九州地方より低く、

その要因として

高断熱・高気密住宅で「全館暖房」の普及の高さが

影響していると考えられるようになったのです。

 

高齢化社会に向けても「温度差」という

バリア解消のため、

住宅性能の向上を前提とした

全館暖房は不可欠な条件といえます。

ついでに申し上げると

暖冷房機器は連続して使用することで

温熱環境は劇的に改善されます。

輻射熱の効果ですが

このことについても別のコラムで

解説していますので参考にして下さい。

 

 

 

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by Bliss My HouseIdea

 

 

 

 

 

 

寒さと不健康との関係とは

全館暖房の家に住んでから健康になった。

アレルギーやアトピーの症状が軽減した。

長年、子宝に恵まれなかったけれど、

翌年に妊娠できた。

神経痛がなくなり、風邪もひかなくなった

などの話をよく聞きます。

 

日本の冬は思いのほか厳しく

厳寒期は、最低気温がマイナスになる地域がほとんど。

トイレや浴室、

廊下、使っていない部屋が外気温と

同じくらいの家がたくさんありますが

そうした家から

全館暖房の環境に変わると

以前の家より健康になったという人が増えることは

容易に推測できます。

 

私たちは、寒いところにいると

身体がブルブルと震えます。

これは体温を上げようと、

筋肉を使って熱を出しているのです。

 

オシッコも近くなります。

これは、余計な水分を身体から出して、

体温を上げようとしているためとされます。

 

また、寒い家に住んでいると

どうしても塩辛い食べ物が多くなり、

その結果、高血圧となり

屋内の温度差との関係で脳卒中などの

ヒートショックも誘引するという

図式ができてくるのこともわかってきます。

 

 

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洗面所や脱衣室はもっともヒートショックで倒れる割合の多い場所。薄着や全裸になることで一気に血圧が上昇する。温水パネルはふれても熱くない程度の温度でタオル掛けにもなる。

 

 

 

 

 

 

 

快適さは人をひ弱にしない

住宅関連の取材を始めた四半世紀ほど前までは

まだ「寒さが人を健康にする」

「暖かい環境は子どもをひ弱にする」

といった言葉を

お医者さんからも、工務店、建築家からも

よく聞かされたものです。

 「寒いから根性がつく」

と胸を張る

工務店の社長さんも少なくありませんでした。

 

もっとも、生まれたときから

寒さの厳しい環境で育つことで

身体や自律神経が鍛えられ、

寒さに慣れることもあるのでしょうが

寒いのも暑いのも、

ストレスであることに変わりはありません。

 

エネルギーをたくさん使って、

快適さを得ようというのではないのです。

従来程度、あるいはそれよりも

割安なエネルギーで

全館暖房の住まいが普及してほしい

というのが切なる願いだったのです。

 

全館暖房にすることで屋内の温度分布が

均一になります。

結露が減って、同時にカビやダニも

防ぐことができます。

 

結露が解消されることは

構造体へのダメージが減少することでもあり

耐久性が伸長することにもつながります。

 

 

 

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 断熱性能を高めるには、窓などの開口部の性能を同時に上げることも大切。引き違いにこだわるのではなく、上げ下げ窓、フィックス、横滑り窓、ドレーキップ(写真)など豊富な種類を理解しておく。ガラスは最低でもペア、理想はトリプル。

 

 

 

 

 

体温が下がると免疫力は?

ずいぶん前から、

体温を上げると健康にいいという

内容の本が話題になっています。

 

どの本にも共通しているのは

体温が低いと自律神経が狂う、血行が悪くなる、

免疫力が低下する、

低体温の悪循環に、陥りやすいということです。

 

体温が1℃下がると免疫力は3~4割低くなる。

免疫力が低下すると、

バイ菌やウイルスから体を守れず、

病気の原因になる。

がん細胞は35℃台の低体温のときに

もっとも活発に増殖する――

といった内容が共通して書かれており、

寒い場所で身体を冷やし、

体温を低い状態にすることは、

私たちが想像する以上に、

身体にダメージを与えることが再認識できます。

 

ちなみに、低体温が続いた状態では

卵管も収縮してしまい、

不妊の原因にもつながるそうです。

 

全館暖房の家に住んでからすぐにお子さんができた、

という話にも相応の根拠がありそうです。

 

 

 

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身体を冷やさないのが基本

低体温の原因の多くは、筋肉量の低下ともいわれます。

50年前と現在とでは

日本人の体温の平均は0.7度近く

下がっているそうですが

このことは、快適さに慣れてしまって

あまり肉体を動かす

労働や運動をしなくなったことに

原因があるとされます。

快適さと運動量の低下は腹背の関係なのです。

 

筋肉を衰えさせない意味では

日頃の運動が体温を上げることにつながります。

入浴も体温を上げる「運動」で

ぬるめの湯船でも、10分程度つかれば

体温が1℃上がります。

 

体温が1℃上がるだけで、

免疫力は5倍から6倍も高くなるといいます。

身体を冷やす環境から遠ざかることが

免疫力を向上させ、

健康の基本になることは間違いありません。

 

これからの季節は、衣服も大事。

腹巻き、厚手のババシャツ、毛糸のパンツ、

あるいは下着の二枚重ね。

 

赤という色はそれだけで温度を上げると

聞いたことがありますが

下着は真っ赤でもいいのかもしれません。

もちろん、食べ物も、

身体を暖めるものを多く摂取するようにします。

 

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床暖房より躯体を断熱する

しかし、暖かい住まいができたからといって

真冬でも室内で短パン、

半袖シャツでビール、冷たいジュースというのは

いただけません。

 

食べ物だけで考えると、

コーヒーより紅茶、ビールよりワイン。

そのワインも白より赤ワイン。

パンより、ご飯。

うどんより、ソバが身体を暖めます。

 

ストレスも低体温につながります。

ストレスをいかに軽減するかも意識します。

 

子どもをむやみに怒鳴ったり、

配偶者と険悪な雰囲気になることは、

自律神経のバランスが乱し、

血液循環を悪くし、

体温を下げる要因にもなります。

 

体温が下がると細胞の働きも低下しますし

皮膚の代謝も悪くなって、

肌荒ればかりか、老けやすくもなるのです。

 

昔から「頭寒足熱」というように、

足元が暖かいと、

快適に感じるといわれます。

手は20℃以下になると不快な冷たさを感じ始めますが

足は手より3℃高い温度で

同じような不快さを感じるためです。

 

足は冷たさに敏感です。

このことは、足元さえ暖かければ、

室温はさほど

高くなくてもいいということでもあります。

 

かといって、住宅性能が低いままで

床暖房を採用することには多くのリスクがあります。

 

結論だけ申し上げれば

熱損失係数=Q値1.0W/㎡・K

(外皮平均熱貫流率 =UA 値0.3W/㎡・K前後)

ほどの断熱性能があって初めて

床暖房は本来の威力を発揮します。

体温よりも低めの床温度でも

全館暖房に近づくことができるはずです。

 

今日からすぐに、できること。

お布団のなかで、

奥さまやお子さまの足を

自分の足で暖める。

このことができるようになれば

理想の住まいへの第一歩と

いえるのではないでしょうか。

 

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おすすめ図書 

近くで採れた食材を中心に食べる。それもニンジンなどの根菜類、南国のパイナップルやマンゴーより国産のリンゴ、ビールよりも日本酒、コーヒーよりも紅茶――など、どの本にも共通しているのは「食」の大切さです。せっかくあたためた身体を冷やさないのが、衣類と住まいの役割。住宅が「第三の皮膚」といわれる理由もそこにあります。