Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

生活は不格好なことの繰り返しだから。

 

 

 

 

Photos by Sweet Potato..

 

家の建て替え、リフォームは、家族の暮らしが大きく転換されるきっけとなります。言い換えれば、それまで家族が歩んできた軌跡の明暗が、家族の個々に映し出される時期ともいえます。
 

 Contents.

 

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ミカン消費量の背景にある家族の風景

ミカンの消費量が30年ほど前の

3分の1程度に減少しているそうです。

昔と比べて、果物の種類が

豊富になったことが

主たる原因でしょうが

ダイエットのために敬遠されていることも

原因という人もいます。

 

生産地に住む知人に聞いてみると

意外な答えが返ってきました。

「コタツに家族が集まらなくなったから」

というのです。

 

確かに昔の家では、

冬になるとコタツの上にミカンという

光景が当たり前にありました。

コタツに足をつっこんで

顔を突き合わせているのが、家族の証。

 

しかし、時代とともに

住宅性能が高まり、個室化が進んで

コタツのない家が増えました。

コタツの代わりは、ダイニングテーブル。

 

食事やテレビの時間以外は

家族それぞれが

個室に引きこもってしまう、

という生活スタイルも

当たり前になりつつあるようです。

 

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家族がともに暮らすことの難しさ

新築をし、子ども部屋ができると

家族で過ごす時間が

一層少なくなったという話も聞きます。

 

2世帯住宅を建てたはいいが

同じ屋根の下に暮らしていても

以前よりも親子、祖父母との関係が

希薄になったという話も珍しくありません。

 

お孫さんと暮らすのが楽しみだった

おじいちゃん、おばあちゃん。

毎夜遅く帰宅して入浴、

大きな音で音楽を聴く

お孫さんの生活音に耐えられず

同居した数か月後、

古い借家に

引っ越してしまった

ということがありました。

 

おじいちゃんに先立たれた

おばあちゃんを

引き取って自室を設けたものの、

同居を始めて間もなく、

おばあちゃんが部屋に引きこもるようになった、

という知人もいます。

 

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気力を失くした子どもやお年寄り

新しい家に移ると同時に、

暮らしが変わります。

以前の狭い家やアパートでは

子どもたちは

食卓や床など「そこら」に教科書を

ひろげて勉強していました。

台所に立つ

お母さんの大きなお尻も至近距離です。

 

新築して子ども部屋ができると

食事を終えて、

のんびりテレビを観ているだけで

「テレビを消して、

2階(子ども部屋)で勉強しなさい」

と両親に叱られてしまいます。

 

せっかく子ども部屋をつくってあげたのだから

有効に使いなさいという話の裏には

おまえの部屋に

どれだけの金がかかっていると思うのか、

という大人の理屈が隠れています。

 

両親にそういわれなくとも、

子どもたちはおのずと

自室にいる時間が増えていきます。

 

同居を始めたおばあちゃんには

「お茶をいれてあげましたよ」

「病院に連れて行ってあげますから」

などと

家族は何かと親切にするのですが

そうした親切心がどうにも、

おばあちゃんには、しっくりきません。

知人のおばあちゃんは、次第に元気がなくなり

町内の集まりにも

行かなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

 

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引きこもる家族の心の裏側

 ――してあげるからと、

本人の意思を尊重しない、一方通行の親切心。

 

元気なお年寄りには不要なことが多いのです。

子どもたちだって

おまえのために、

して「あ・げ・る」という気持ちには

なかなか素直な気持ちになれません。

 

家が新しくなり

家族の居場所が分断されることで、

関係までも

分断されることが少なくない現場を、

いくつも見てきました。

 

個室が悪いというのではありません。

家など、いってみればただの箱。

アパートであろうが

借家であろうが新築であろうが

その箱に家族関係を

信託してしまうことに、

根本的な問題がありそうです。

 

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存在に価値を見出せない大人

12帖もの子ども部屋を

つくってもらった中2の女の子は

(70坪もの大きな農家です)

テレビやパソコンを

自室に揃えてもらいましたが

やがて学校と家での食事以外の時間は、

部屋から出なくなってしまいました。

 

少々複雑な家族関係など、

背景にある問題は単純ではなかったものの、

家族と過ごす時間が

激減していたのは事実でした。

 

自室に引きこもるようになった

おばあちゃんは

上げ膳据え膳よろしく、

家族の「親切」のおかげで

「魂までも凍りつくようだった」

とあとに告白しています。

 

部屋を与えられ、

家族からの「してあ・げ・る」

という思いや行動が逆に、

おばあちゃんの

生きる力を削いでしまったようです。

 

毎日忙しいお父さんやお母さんから見ると

子どもやお年寄りたちの行動範囲は

自分たちよりはるかに狭く見えます。

 

特に、会社の仕事で

精一杯のお父さんから見ると

子どももお年寄りも

ほとんど何もしないで

毎日を過ごしているのも

同然に見えることもあるでしょう。

 

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建築には創造できないもの

新しい家を建てたから、家族はこれで安泰、

というほど

家族の関係は単純ではありません。

 

家族は最初から

そこにあったわけではなく

いっときも休まずに創り続けないと

壊れてしまうほど、

ナイーブで面倒で、わがままなものです。

 

子どもやお年寄りは、

社会的な活動こそできなくとも、

そこに「居る」、

あるいは「存在する」だけで、

計り知れない力を放っています。

家族の出合いは

天文学的な確率での出合いともいえます。

 

引きこもりがちだった女の子は

同居していた

おばあちゃんの介護の始まりを

きっかけに力を取り戻し

次第に家族と話をするようになりました。

不思議なことに

おばあちゃんの下のお世話まで担うようになり

この時期を境に

笑顔が増えていったといいます。

 

同じく部屋にこもりがちだった

おばあちゃんは

お盆、久々に遠方から遊びに来た5歳の孫に

滞在している数日間、

毎日「近くの公園に連れて行って!」と

強くせがまれ、

しかたなく一緒に公園に連れて行くうちに

少しずつ元気になって

家族と居間で過ごす時間も

増えていきました。

 

設計、性能のあれこれを考えていくのが

建築の「幅」とするならば、

一人ひとりの家族に、

自分自身の内面を映し出し、

揺れながらも互いの「存在」を認め、

寄り添っていこうとするのは「深さ」です。

 

この「深さ」は

いかなる建築技術によっても

醸されるものではなく

人間の力によってのみ、創造されます。

その創造の過程は

不格好なことの繰り返しでしかありません。

 

近くのスーパーにも、

ミカンが並び始めたようです。

 

 

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