Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

遺伝子とオキシトシン、感謝と祈りの効能。

 

 

 

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いやなことがあると落ち込みます。いいことがあるとうれしい。よくても、悪くても、私たちは、その折々で置かれている状況だけを見つめて、揺れてしまいます。意地をはったり、嫉妬をしたり、恨んだり、怒ったり。分かっていても、やめられない。この問題、苦しみから逃れる方法はあるのでしょうか。

 

Contents.

 

 

 

怒りや恨みの負の感情の行き先

この20年来、おつきあいのあるA先生(医学博士)にこんな話を聞いたことがあります。

 

人が病気になるには衣・食・住、生活スタイルなどさまざまな要因があるのですが、免疫力の低下にもっとも影響を及ぼすのが、マイナス思考とストレス。

 

そのストレスにも、いろんな種類があります。

 

大量の仕事をこなさなければならないストレス、ぎくしゃくした人間関係のストレス、寒さや暑さ、空気環境、食べ過ぎ、飲み過ぎ、タバコなど。

 

なかでもよくないのが、人を恨んだり、イヤだなあといった負の気持ちを抱くことといいます。

 

マウスに肉体的、精神的なストレスを与えるとあっという間に胃潰瘍ができる話はよく知られています。

 

人間も同じ。

ちょっとしたストレスでも、短時間で身体のどこかにダメージが生じるか、免疫力が低下するというのです。

 

誤解を覚悟での話ですが、精神的なストレスは、ときにタバコとは比較にならないほどのダメージを身体に与えるとも。

では、タバコを吸った方がいい場合もありますか、との問いには「それも、ありだと思います」。

 

特に、他人に対する怒りや恨みの感情は、毒ガスに匹敵するほどの悪い物質が分泌され、それが身体と心に循環し、悪影響を及ぼすといいますから、怖くなってしまいます。

 

 

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遺伝子をオンにする6つの秘策

細胞1個の核に含まれる情報は32億個もの科学の文字で書かれ、情報量は1000ページの本にすると3200冊相当。

それほど膨大な情報が、1グラムの2千億分の1でしかない細胞の核に凝縮されています。

が、全遺伝子の98%はほとんど使われることなく、眠った状態といわれます。

 

分子生物学者の村上和雄博士(筑波大学名誉教授)は、眠った状態にある遺伝子が持つスイッチをオンにすれば元気になって、何か行動を起こすときの可能性は何倍にもなると、多くの著書で述べています。

遺伝子をオンにするためには、

 

①明るく前向きに考える

②環境を変えてみる

③人との出会いを大切にする

④感動する

⑤感謝する

⑥世のため人のために生きる

 

――などの6つの行動を挙げています。

先のA先生の考えと、どこかで共通しているようにも思えてきます。

 

 

 

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幸せホルモン「オキシトシン」

最近注目されているのが、人を幸せ、元気にするホルモン「オキシトシン」。

 

ギリシャ語の「QUICK BIRTH」の意味に由来する名称で、授乳期の乳汁射出の引き金となると同時に、母親の不安を軽減する効果が認められています。

 

赤ちゃんがお母さんの乳首を吸うことを吸綴といいますが、赤ちゃんにとっても鎮静効果があります。

母子のスキンシップは、子どもが心地よいだけでなく、母親自身の心にも落ち着きを与えてくれるのです。

 

聴覚や視覚などの刺激によって分泌され、お母さんの情緒にも影響するホルモンですが、赤ちゃんが生まれる前後から、母子ともに育つための準備がなされていることに驚きます。

生命の営みを認識できる教育の機会は、今後ますます必要なのかもしれません。

 

最近になって、下垂体後葉だけでなく脳内で分泌されることが分かり、抗ストレス作用、摂食抑制作用なども確認されています。

 

肌の触れ合い、温かい空気、心地よい音など、体性感覚でとらえられる刺激によってその放出が増加するのですから、住宅内の温熱・空気環境も無視できません。

 

言い換えれば、どんなにいい住宅に住んでいても、家族がいがみ合ってばかり、ストレスを解消できないままでは「不幸ホルモン」しか出てこないことになります。

 

これまで、元気が出るホルモンとしては「セロトニン」がよく知られていました。

きれいな花を見たり、心地よい環境に身を置いたとき、感動したりするときに分泌されるホルモンですが「オキシトシン」は、相手を幸せにしたときにも分泌されるホルモンです。

 

ベストセラー「がんばらない」で知られる鎌田實先生は、母から子への無条件ともいえる愛情が「オキシトシン」の分泌を促し、感染症を予防し、生きる力を与えてくれることが分かってきた、といいます。

 

家族全員がインフルエンザなどの感染症に罹っても、子どもを懸命に看病するお母さんは不思議と感染しにくいことも「オキシトシン」のおかげではないか、と先生は述べています。

 

 

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帰宅したら子どもより先に妻を抱く

先日、お話をうかがった助産師のC子さんは、母子間のやさしさだけでなく、妊娠・子育て期間の夫婦の関係について、こう述べています。

 

「ちょっとした家事のお手伝いはもちろん、仕事から帰宅したら最初に、赤ちゃんではなく、お母さんのところに行って、『大変だったでしょう。辛くなかった? 今日もありがとう』と抱き締めるくらいのやさしさを持っていただきたいです」

 

いまは核家族がほとんど。

近所とのおつきあいも深まらず、子育てに悩んでいるお母さんがたくさんいます。

 

C子さんたちが家やアパートに行くと、温度はどのくらいがいいのか、理想的な湿度、換気の方法は、授乳はどの部屋で、どのくらいの時間…などなど、いろいろな質問が投げかけられます。

 

気持ちがいいなら窓を開ける。

お日様の光を浴びて明るい気持ちになる。

空気が澱んでいると感じたら窓を開けて換気する。

 

臨機応変に対応すればいいのですが、「マニュアルを欲しているようにしか思えないこともあります。それだけ、みなさん不安なのです」。

 

身長や体重、体形が人によって異なるように、おっぱいの位置や大きさ、形もさまざまです。

 

授乳時に、高さ何センチのところで抱けばよいのか、角度はどのくらいで、抱っこの際の力の加減など、本来、その時々の赤ちゃんの表情を察しながら判断すべきことまでマニュアル化された情報は、ありません。

 

妊娠中に肌着を縫うとき、1針1針にまだ見ぬ我が子との対面を楽しみに待つのと、既製品の肌着を購入するのとでは、心のなかのゆたかさも違ってきます。

 

何が正解というわけではなく、「どんな場面でも想像力が必要」というお話には説得力があります。

 そして、

「いちばん大切なのは、皮膚と皮膚との触れ合い」

 

視覚も聴覚も大事ですが、オキシトシンの話でもおわかりのように、皮膚感覚は身体機能にまで影響を及ぼすのです。

 

東日本大震災の発生時、津波から逃げる際に一人の子どもをおんぶし、もう一人は手を引いて懸命に高台に逃げたお母さんがいました。

子どもたちには、このときのお母さんの背中と手の感触は、生涯忘れ得ないものになるはずです。

 

 

 

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相手と自己の「弱さ」を見つめる

遺伝子工学や医学の分野でも、徐々に解明されてきた人間の計り知れないエネルギー。

 

自分だけでなく、誰かも幸せに、元気になってほしいという願いや行為が世界中に拡がっていったら、こんなに素敵なことはありません。

 

自分の気持ちのスイッチ一つで切り替えられるのですから、お金もかからない。

実践するかどうかは、こちら次第です。

 

直接人に会ったときにはもちろん、メールや電話のときにもちょっとだけ、遺伝子やホルモンのスイッチをオンにしてみます。

 

相手に、「ありがとう」という気持ちを持つだけですが、実際にはこれが、口でいうほど簡単なことではないのです。

ひねくれ者の自分には、なかなかできません。

 

相手の、あのときの一言、目つき、仕草など、マイナスの記憶ばかりが先行して甦ることもあります。

 

こんなとき、いまは認知症になってしまった(若き日の)母から教わった言葉を心の中で呟きます。

 

「(気になる相手)に、いいことが起きますように」

 

腹立たしく思っても、理不尽に思っても、「この言葉を何度も、おまじないのように繰り返しなさい」。

 

意味など考えない。

ただ、繰り返せばいいという話をうのみにして、折々に実践してきたのでした。

 

効果はと問われると、格好のいいことなど何もいえません。

頭の中が、怒りや妬みの言葉に満たされないことだけが、効能といえば効能といえそうです。

 

 

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正しい言葉ほど人の心に届かない

仏教に「四無量心=しむりょうしん」という言葉があります。

サンスクリットCatur-apramāṇāni[チャトゥル・アプラマーナーニ]の漢訳語で、次の4種の方面に心を限りなく配ることをいいます。

 

①あらゆる人に深い友愛の心を限りなく配ること (慈無量心)

②あらゆる人と苦しみをともにする同感の心を限りなく起すこと (悲無量心)

③あらゆる人の喜びをみてみずからも喜ぶ心を限りなく起すこと (喜無量心)

④ いずれにもかたよらない平静な心を限りなく起すこと (捨無量心)

※ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

 

ここで気づくことは、A先生、村上博士、鎌田先生、助産師のC子さん、仏さま、そして母までも、ほとんど同じことを述べていることです。

科学が数千年前の教えに、ようやく少しずつ追いついてきたのかもしれません。

①から④の実践は、オキシトシンの分泌も促してくれることでしょう。

 

 

ストレスの大半は、人との関係。

ここでいう「人」には、自分自身も含まれます。

 

いやな人にいやな言葉を投げかけられると、へこんだり、怒りを覚えたり。

自分を責めることもしょっちゅう。

人にも、自分にも、意地をはってばかりです。

 

雄弁な人は、言葉を武器に闘います。

けれども、正しい言葉が、人の深いところに届くことはありません。

 

正論になり得ないまま、人に届く弱さがあります。

この弱さは、相手の内に見える自分と同じ種類の弱さともいえます。

 

節度とは、自分の「弱さ」を認める「強さ」です。

 

相手と同じ種類の自分の弱さに気づくとき、私たちは何も言えず、立ちすくむことしかできなくなります。

 

そんなふうに考えていくと、先生や助産師さんたちのいう、感動する、感謝する、世のため人のために生きる、相手の幸せを考える――などが、節度に基づく「祈り」にさえ思えてきます。

 

人のために「祈る」ことなど、なかなかできることではありません。

上がったり、下がったり、白と黒の間を揺れっぱなし。

グレーゾーンから脱することができない、情けない自分が見えてくるだけです。

 

いつも、白にも黒にもなれない自分。

でも、最近ようやく、グレーははけっして冷たい色ではないことが、分かってきたような気がします。

 

 

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※最後まで読んでいただき、ありがとうございました。コメントをいただいた方にもお礼を申し上げます。

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