Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

吹き抜けと胎内回帰。

  

 

 

 

Photos by Sweet Potato..

 

明るくて開放的。いやいや、寒さが心配。掃除やメンテナンスは――など、家づくりの際に、迷ってしまうのが吹き抜けを設けるかどうか。ひと昔前までは、エネルギーの無駄、寒くてしようがないなど、マイナス面ばかりが強調されていましたが、断熱水準が上がったことで温度差も少なく、省エネで吹き抜けができる時代。そんな吹き抜けに関する話題のあれこれ。

 

Contents.

 

天井の高さと子どもの出世

吹き抜けを採用するお宅が増えてきました。

 

ひと昔前までは、吹き抜けは冬に寒い、夏は冷房が効きにくいなどの理由で敬遠されていましたが、建物の断熱化が進んで省エネで上下の温度差も少なくなり、急速に普及が進んだことと思われます。

 

「天井が低い家で育った子どもは出世しない」

という説を唱える人もいて、ひそかに、子どもの出世のためにと吹き抜けを希望する人もいます。

寒い、暑いなど関係なしでです。

 

一方では「年をとって、一人になったら寂しいだろう」「天井の掃除は大へんそう」と、不安をもつ人もいます。

 

高齢者であれば、1人や2人で吹き抜けの大空間にいるのも寂しい気もしますし、天井面の清掃や照明器具の交換、窓の清掃などに不安を抱くのもうなずけます。

 

 

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同じ吹き抜けでも、天井に高低差をつけることで、異なる空間感覚を味わえる。吹き抜け部分の開口部のメンテナンスを兼ねてキャッツウォークを付けておくと、デザインのアクセントにもなり、メンテナンスも安心。

 

 

 

仏壇の中に入りたい?

人間には「胎内回帰願望」があるといわれます。

特に幼児期や老年期にその傾向が強まるといわれますが、ほんとのことは分かりません。

 

子どもの頃は、押入の中で本を読んだり、勉強した経験のある人も多いはず。

先日おじゃましたお宅のお子さんは「仏壇の中に入りたい」といって、ご両親を驚かせました。

 

子どもにダンボールの箱を与えると、それを家にしたり、お人形の部屋にするなどして遊びます。

 

悲しいときには、体育館のような大きな空間より、なぜか喫茶店の隅っこやお風呂の中で泣きたくなります。

 

お父さんたちが癒されるのは、狭い居酒屋、小さなスナックなどのカウンターの端っこ。

うす暗い空間で、ママさんの横顔をちらちら眺めながら孤独を噛みしめます。

 

狭い場所、端っこや隅が苦痛とは限りません。

 

 

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胎内回帰をイメージして、囲まれた、小さな空間をつくる。

 

 

「天井の高さは7尺5寸を限度と思え」

洋の東西を問わず、天井の高さは権威の表現と結びついてきました。

しかし、日本の家の場合は少し違います。

 

和風建築の分野で「村野数寄屋」といわれる独自の境地を開いた建築家・村野藤吾は「天井の高さは7尺5寸を限度と思え。それ以上は料理屋か、功成り名とげた人の表現になるので普通でない」

と述べています。

 

家に気を配る人は、普通の住宅の天井が権威的に高いことに懐疑的であれ、といっているようにも聞こえます。

 

ある心理学者は「創造的退行による生産的な場」として、狭い空間の効用を述べています。

 

空間が狭く、天井が低い場所を好む人に、芸術家など創造的な仕事をする人が多いことにも理由がありそうです。

 

こんな理屈を知って安心するのは、どんな人でしょう。

興味があります。

 

吹き抜けが問題なのではありません。

流行だからという理由だけで採用しようというのは、ちょっと待ちましょうという話です。

 

 

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何かに包まれる、囲われる。そうした感覚をデザインに潜ませる。アールの壁もあたたかな感触に思えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

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床と天井の温度差、そして床暖房

吹き抜けを考える際には、性能的な裏付けをとることが基本の基本。

 

床面の断熱だけでも、床断熱、基礎断熱、いろいろな手法があります。

暖房も、エアコン、パネルヒーター、床暖房などさまざま。

 

しかし、日本の住宅では、自らの断熱技術が低いことを隠すために、床暖房でごまかしてきた負の歴史があったことも忘れてはなりません。

 

北海道水準の断熱性能をクリアした住宅では、床暖房でなくとも、床も壁も天井も温度分布が均一になり、真冬でも素足で過ごすことができます。

4、5メートルの高さの吹き抜け上部との温度差も1-2℃で済むはずです。

 

反対に、断熱性能が低い住宅では、床暖房を採用しても温度を上げざるを得ず、体温以上の温度設定で暮らさなくてなりません。

当然、暖気は上に昇るばかりです。

 

床、壁、天井などの表面温度が18℃以上あれば、十分に快適ですが、体温以上の温度を常に皮膚に接触する床暖房が、健康的とはいえません。

その証拠に、寒さの厳しい北海道で、床暖房はほとんど採用されてこなかったのです。

 

もっとも、Q値1.0W/㎡・K前後の高い断熱性能では、床暖房でも20℃台の温度設定で全館暖房も可能になります。

 

快適さは、暖房設備ではなく、あくまで建物の性能に左右されることを覚えておきたいところです。

 

吹き抜け上部の窓や天井、照明などメンテナンスのことも、あらかじめ確認しておきます。

業者さんに依頼するにしても、キャッツウォークがあるだけでメンテナンスは格段に楽になります。

 

 

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リビングそのものがいらない論

明るくて大らかな空間ができました、と喜んでいたAさん(40代)。

ある日、吹き抜けのあるリビングが、家の中でもっとも滞在時間が少ないことに気づきました。

 

帰宅するのは早くて20時。

食事が終れば、そそくさとお風呂に入り、入浴後はビールを片手に寝室。

すでに子どもたちは自分の部屋に閉じこもっています。

 

奥さまも、入浴を終えたら、寝室。

二人で会話が続くのはせいぜい30分で、いつの間にかうとうと。

 

日中、奥さまがいるのも実はリビングではなく、キッチン横の小さなティーテーブル。

テレビを観るのも、ここが落ち着くのです。

 

「吹き抜けもリビングも不要でした」とAさん。

 

キッチンはオープンとし、すぐ横に10人くらい座れる大きな食卓を設け、そばに大人が横になれるソファが一つあればで十分。

吹き抜けなどより、等身大でリッチな空間になったはず、と少し残念そうです。

 

リビング、吹き抜けという概念にとらわれ、自分の感覚をないがしろにしていた、というのがAさんの結論。

 

確かに、Aさんのいうプランでは、吹き抜けのある18畳のリビングではなく、8畳程度もあれば十分です。

食べる場所を拡大したほうが、食べる前後も、そこでだらだらと時間を過ごせてよかったのかもしれません。

 

「吹き抜けって、どこか緊張感があるんです。家には、だらだら過ごせる場所が必要なのです」

というAさんのいうことは、よくわかります。

わが家も、もっとも家族の滞在時間が少ないのが、リビングなのです。

 

 

 

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一人で過ごす空間になり得るか

日本人は、LDKの間取りになじみにくいという記事は、以前もここに書きました。

 

もともと、一つの空間で食べたり、寝たり、くつろぐ建築・生活文化を持つことで、機能別に分断された空間を使いこなすことに、不器用なままでいるのです。

 

機能別に空間を設けたはいいが、「洋」の空間にも、「洋」になりきれない「洋風」空間にも戸惑うばかり。

 

互いに気持ちを「察する」ことを前提にした家庭や社会でも、個人主義とは名ばかりで「洋」の権威を示す吹き抜けにも、内心、脅えているのではないかと思うことがあります。

 

もう一つ。

少子高齢・長寿社会に生きる私たちは、定年後の20年以上を夫婦2人で過ごさなくてはなりません。

 

夫婦の時間のあとに待ち構えているのは、一人で過ごす、暮らす、生きなければならない家です。

 

かつては子どもたち、夫婦2人で過ごした大空間は、一人にも寄り添える空間になり得るでしょうか。

 

吹き抜け+1人=どんな時間が待ち構えているのか、といった検証があってもいいかもしれません。

加えて――

 

寒くないか。

暑くないか。

視線に何が入るのか。

匂いは。

空気は。

皮膚は。

何が聞こえてくるのか。

そこでの食事、コーヒーの味は。

電球は交換できるか。

窓は拭けるか。

天井のホコリを落せるか。

光熱費は。

悲しいときは。

楽しいときは。

介護の際には。

――など、時間、五感、コスト面など、いろんな角度から考えてみます。

 

幸い、一歩外に出れば、会社も、公共建築も、大型ショッピングセンターも、吹き抜けが多い時代になりました。

 

こうした時代だからこそ、家はこじんまりと暮らす「胎内回帰」のための器と割り切ることも選択肢になり得ます。

 

ひたすらに大きく、高く、明るくをめざす卑小もあれば、慎ましく内に向かうことで、泉のように湧いてくる美もあります。

 

 

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