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そして、私たちの「居場所」について。

【転倒防止】=転んでケガをしないための「ぬ・か・づけ」対策。

 

 

 

 

 

 

Photos by Sweet Potato..

外でも家でも多いのが転倒事故。滑ったり、つまずいたり。さまざまですが、少しの対策、注意で防ぐことは可能です。キーワードは、「ぬ・か・づけ」。濡れているところ、階段、片付け――などですが、日常に潜むバリアを改めて検証。

 

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横断歩道とマンホールが危ない

同じ日に、滑って転んでしまった人を3人、見ました。

街なかでのことです。

 

1人目は横断歩道の白線のところ(60代くらいのおばさん)、2人目はコンビニのドアが開いてすぐの店内(20代の男性)、3人目はデパートの入り口のマットのあたり(70代のおじいさん)。

 

雨でした。

 

1人は濡れた場所で転んだのですが、2人は屋外から店内に入ってすぐに転んだことになります。

 

幸い、みなさんケガをするような転び方ではありませんでしたが、1日で、こんなに転んだ人を見たのは初めてでした。

 

自分を振り返ると、ほとんど同じ場所で転びそうになった経験があります。

 

路面(床面)の素材・材質がいきなり変わるところが危ないのです。

アスファルト→マンホール、アスファルト→横断歩道の白線部分、アスファルト→お店などの(素材の違う)床面、お店などの床→マット敷き、というように突然【素材】が変わるときに、転倒事故が増えるとされます。

 

 

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雨の日の交通事故は晴れた日の5倍。夜間の降雨時は7倍となる。クルマも歩行者もマンホールの上や横断歩道の白線が滑りやすい。

 

 

 

 

 

 

 

ミリ単位の段差にも潜むリスク

屋外だけでなく、家のなかでの事故が多いことは、ここでも何度もふれました。

 

家庭内事故での死因は「溺死」「窒息」「転倒・転落」の順に多く、これらで全体の約8割、65歳以上が1万人を超え、交通事故の5倍以上にもなるのです(厚労省「不慮の事故死亡統計の概況」)。

 

転倒・転落の場所は、階段、浴室などの濡れた場所、カーペットや座布団に足をとられるなどさまざまです。

庭で脚立やハシゴを使って作業をしている最中、屋外の事故も少なくありません。

 

床に散らばっている新聞、チラシ。家電製品のコード、座布団、スリッパ。トイレや玄関のマット。

 

屋外と共通するのは、やはり【素材】が異なる境界部分であることがわかります。

これらの境界部分は同時に、数ミリから数センチの段差であることにも気づきます。

 

転倒が怖いからといって、歩行を避けるわけにもいかず、家事や仕事をやめるわけにもいきません。

事故を防ぐためにも、整理整頓は欠かせないことになります。

 

高齢者の事故が多いというものの、友人は30代後半で、ジョギングの最中に前のめりで転倒し、顔面を複雑骨折しました。

やはり30代の友人は、家の階段で転倒し足首を骨折。

ご近所の奥さんは、玄関に入り、框に足をかけた途端に足首をひねって骨折しています。

 

前者はマンホールの蓋の上、あとの2人は、スリッパを履こうとしたときの転倒でした。

 

私も、ある住宅の撮影の際、ツルツルの床に敷かれたマットに足をのせた瞬間、滑ってしまい、そのままひっくり返って後頭頭を打ったことがあります。

 

片手にカメラバッグ、片方に三脚を抱えていましたので、手をつくことはできませんでした。

頭のうしろにこぶをつくりました。40代はじめのことです。

 

 

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木からタイルに素材が変わる瞬間に、転倒リスクが高まる。身体がすぐに対応しきれない。

 

 

 

 

 

 

 

濡れた場所・階段のリスクは大

転倒予防の標語の一つに「ぬ・か・づけ」という言葉があります。

 

「ぬ」=濡れているところ

「か」=「階段」

「づけ」=「片づけていないところ」

 

この3つの場所は特に転びやすいので気を付けましょう、という意味です。

 

濡れているところは屋内外を問わず、危険が多くなります。

階段、段差も要注意。

以前、このブログで、階段の最後の1段があるつもりで降りてしまい、転んでしまった話を書きました。

 

片づけていない室内が危ないのは誰もが知っています。

知人宅の話ですが、新聞のチラシ1枚で滑って骨折した子どもが2人いました。

 

電気のコードやマット類のめくれたところ、畳の縁などは、30センチの段差より危険かもしれません。

 

家や屋外に、行動を妨げる障害(バリア)が解除される(フリー)ことが増えていけば安心材料も増えるのでしょうが、家の内外での転倒事故はいっこうに減る気配がありません。

 

日本のバリアフリーは、段差や手すりの設置など「点」では整備されつつあるものの、「面」になり「線」になって整えられているかといわれれば、まだ発展途上の段階なのです。

 

 

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By Pixtabay.

素材の違い、ラグや畳の縁など、わずか数ミリの高さがバリアとなり、転倒リスクとなる。

 

 

 

 

 

自分でつくる生き方のバリアも

温熱環境の「バリア」が注目されるようになったのはつい最近のことです。

研究者とともに、北海道や東北、信州などを取材し、ヒートショックのリスクを取り上げたのは30年も前のことでした。

 

当時、医学、福祉の分野ではまだ「塩分」の問題ばかりを取り上げ、建築のプロたちも「屋内は寒い方が、根性のある人間が育つ」などと真顔でいっていたのです。

 

車椅子の人や視聴覚に障害を持った人が街なかで困っていても、私たちは、何が、いつ、どんなバリアになるのか、どう支援していいのかもわかりません。

設計の話だけでなく、私たちの知識やノウハウも「バリア」を抱えたままなのです。

 

運動不足も立派な「バリア」。

ダイエットは明日からはじめようと諦め、目の前のお菓子に手を伸ばしてしまうのも「バリア」。

モノ、お金、ステイタスに執着してしまう「バリア」。

わかっていても、苦手な相手には、ついつい意地をはってしまう「バリア」。

 

視野を広げることで明らかになるバリアもあれば、自分を内に深めていくことで見えてくるバリアもあります。

 

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まとめ

 1.素材が異なる部分の境界に注意する。アスファルト→マンホール、アスファルト→横断歩道の白線部分、アスファルト→お店などの(素材の違う)床面、お店などの床→マット敷き、など【素材】が変わるときに転倒リスクが高まる。

 

2.家の中では、床に散らばっている新聞、チラシ。家電製品のコード、座布団、スリッパ、トイレや玄関のマットなどもバリアとなる。屋外と共通するのは、やはり【素材】が異なる境界部分であり、これらは同時に、数ミリから数センチの段差であり、危険性が増す。

 

3.転倒予防の標語の一つの「ぬ・か・づけ」に注意。

「ぬ」=濡れているところ

「か」=「階段」

「づけ」=片づけていないところ

などの転倒リスクが高い。

 

 

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