Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

【小さな家のローラ】=自然と共存する暮らし、理想的な家族像は、世界のどの地域の、どの時代にも通ずる普遍的な物語。

 

 

 

 

 

 

By Pixtabay.

もう30年以上も前、土曜の夕方に欠かさず観ていたNHKテレビの「大草原の小さな家」。その原作「大きな森の小さな家」を安野光雅さんが絵本に描きおろした作品です。

 

Contents.

 

活字と絵で甦るインガルス一家

主人公のローラの家の見取り図や

家族や近所の人たちなど

「物語にでてくる人たち」の絵から始まり、

すべてのページに

安野さんが監訳したやさしい文章と挿絵が配され、

インガルス一家の暮らしや

周囲の自然がよくわかるように編集されています。

 

テレビの中の家族の表情や暮らしの場面が

浮んできますが

この本の中でのインガルス一家は

安野さんの

イメージをフィルターとして透過した

世界でもあり

それはそれでワクワクしながら

読み進めることができます。

 

お父さんが撃ったシカが、

オオカミに食われないように、

家の前のカシの木に

吊り下げられていたり、

ブタを殺して肉をとるところなど、

過酷な自然と闘い、

共存しながら生きていくインガルス一家。

 

お母さんが、もうベッドに行く時間ですよ、と声をかけました。

お母さんはローラとメアリーの着替えを手伝い、

赤いネルの寝間着のボタンをはめます。

ふたりはベッドのわきにひざをついてお祈りをしました。

 

この文章のように、

家族のなかでの細やかな愛情が

そこかしこに綴られ、

過酷な自然の現実を受け入れながら

小さな家のなかでの

一家の暮らしの営みが胸に滲み込んできます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Photos by Sweet Potato.

 

 

 

 

 

 

 

安野光雅が描く絵と独自の翻訳

家のかたちは小さく粗末でも、

人間はこんなにも

かたちのないものを育むことができるのです。

 

お母さんはふたりにキスをして、

かけぶとんでからだをしっかりくるみました。

ふたりはベッドに横になったまま、

しばらくのあいだ、

頭のまんなかで分けたお母さんのすべすべした髪や、

ランプのあかりで

針を動かすお母さんの手を見ていました。

針が指ぬきにぶつかって

チンという小さな音をたて、糸が、

お父さんが持って帰った生地を縫っていきました。

 

 

1968年、文章のない絵本「ふしぎなえ」で

絵本界にデビューした安野さんは「旅の絵本」など

多くの作品が海外からも評価されました。

 

数ある著作のなかで、

子どもたちに好評だったのは「旅の絵本」シリーズ。

子どもよりも、親のほうが夢中になって、

ページをめくったのを覚えています。

 

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By Pixtabay.

 

 

 

 

 

いつまでも本棚に置きたい1冊

安野さんの絵本は、

子どもたちにも、友人たちにも、

たくさんプレゼントしました。

 

ほんとうのことをいうと、

子どもたちのためというのは口実で、

私自身が我が家の本棚に

おいておきたかったのです。

友人たちの本棚にも置いてほしかったのでした。

 

文化が違っても、

暮らしの本質は変わらない。

いろんな場所で、いろんな人が生活している。

そこには人間のドラマがある。

そういう人の暮らしを描き、絵からなにかを感じ、

考えてほしい(安野光雅)

  

本棚に何冊もあったはずなのに、

探してみると、見あたりません。

あの3・11のあと、

本棚にあった絵本は全て被災地に送ったことを

忘れていました。

 

 

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