Where we belong.=【家を知る・家に住む・この家で生きる】

そして、私たちの「居場所」について。

職人さんの仕事を受け継ぐ意味。

 

 

 

 

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大工さんが入る前の職人さんたち

家をつくるのは大工さんというのが、私たちのイメージです。

が、家づくりには、いくつもの分野の職人さんたちの技術が駆使され、集積されています。

 

既存の家を解体するのは解体の専門業者さんがいて、地盤調査も大工さんの仕事ではなく、専門技術。

地鎮祭の際には神主さんのお世話になります。

 

施工が始まる前の更地で、測量・墨付けを行うのが墨出し屋さん。彼らが引いた線が現場の基準となるだけに大事な仕事です。

 

基礎工事は基礎屋さんが行う場合が多いのですが、最近はベタ基礎(防湿基礎)が多く、東北以北では基礎断熱をして床下も室内扱いするため、とりわけ重要度が増しています。

配筋・コンクリート打設などの技術が求められますが、ビルダーによっては大工さんが基礎から行う場合もあります。 

 

とびは、最初に現場に入る職人さんかもしれません。

足場を組みますが、高いところをひょいひょい渡り歩く姿は、建築現場のなかでも花形。

その足場も、あれだけ複雑なものをすいすいと組み建てていく様子は爽快でもあります。

 

戸建て住宅の大工さんは、構造材を組み上げる「建て方大工」、造作仕事をする「造作大工」があり、壁面で構成する北米式2×4工法では、大工さんではなくフレーマーと呼ばれます。

 

 

 

 

2×4工法では、文字通り、フレーム=壁を組み立てることになり、在来工法の大工さんとは一線を画します。

 

アメリカでは、多能工といって、フレーマーが電気工事も水道工事も、窓も屋根も手掛けることが多く、日本のように職人技術が細分化されていません。

2×4工法はもともと開拓者たちが、専門家に頼らず、自分たちで家を建てるためにできた工法なのです(日本では電気、水道工事などは資格が必要)。

 

現場には、工事の全体を監理する現場監督がいます。

施工計画に従い、工程、品質を常に確認し、複数の現場があるときには、1日に何度も複数の現場を巡回します。

 

施主にとっては、現場監督さんが窓口となって、工事の進行や疑問に答えてくれるはず。クレームや質問があるときも、現場監督を通すと、スムーズに進むでしょう。

 

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あらゆる技術が集積される家

屋根葺きには屋根屋さん。ドアや窓を取り付けるのはサッシ屋さん。ガラス屋さんが入ることもあります。

 

窓などの開口部が終わると、ますます職人さんの出入りが激しくなります。雨仕舞いができて、建物内部でのいろんな工事がやりやすくなるからです。

 

外壁が塗り壁ですと左官屋さんやペンキ屋さん。

板金職人が入る場合は、外装色の塗り分けまで注意を払って、仕上げます。最後は職人さんのデザイン感覚に従うほかはありません。

 

電気の配線工事は電気屋さん。給排水工事は水道屋さんや配管工。ガスがあればガス屋さん。

最近では、インターネットの普及もあって、以前のように、電話の工事も複雑になってきました。

 

屋内外の荒工事が終わると、再び、大工さん。

高性能な断熱材でも、施工によって大きく性能が異なり、特に気密工事は、現場の大工さんの腕にかかっています。

 

 

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床や壁や天井が整えられると、内装屋さんや建具屋さん、畳屋さんの出番。

クロス、カーテン、カーペット、襖や障子が取り付けられ、設備屋さんが洗面台や便器、ユニットバスなどを取り付け、電気屋さんはまた、照明などを設置。

 

造り付け家具のある場合は、ここに家具屋さんや内装屋さんが入ります。家具屋さんは指物師といわれだけに、0.1ミリ単位の精度が要求されます。デザインのセンスも求められ、学校の美術の先生みたいな職人さんたちが多い気がします。

 

高断熱・高気密を旨とするビルダーさんに出入りする職人さんは、電気も水道も設備も、全ての分野で高い精度が要求され、それで初めてコンマ単位の断熱・気密性能が具現されるのです。

 

 

 

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術を継ぐことは町と山と川と海を守ること

家が整ってきても、職人さんの仕事は終わりません。

外溝工事も職人さんたちの腕の見せどころ。

門扉、フェンス、駐車場、植栽、造園…どれをとっても専門技術の世界です。

 

引き渡し前の仕事は、クリーニング屋さん。屋内外をきれいに清掃し、ピカピカの状態にするプロです。

もっとも、業者さんを入れずに、最後まで大工さんや現場監督さんがクリーニングをしてくれるところもあります。

こうしたときは、みなさんの家に対する愛着をひときわ感じるはずです。

 

 

 

これだけたくさんの職人さん、その職人さんたちが使っている部材、道具をつくる職人さんの分野までを含めると、家を一軒建てるためには、どれだけの技術の集積があるかわかりません。

かつては、こうして全ての分野が地域に集積され、強固なネットワークで家を、町をつくっていたのです。

 

たくさんの職人さんが関わってできる家を大事にしていくことは、職人さんの技術を後世に伝えるだけでなく、職人さんたちの家族の生活を守っていくことでもあります。

 

職人さんの家族の暮らしが守られることで、業界が守られ、町が守られ、地元の材料を使う場合には、地元の森も川も海も守られていきます。

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人の「願い」が凝縮されて家になる

職人と施主を取り巻く地域の人たちのことまで考えると、たくさんの願いが集結し凝縮されたのが「家」という捉え方もできます。

 

人も経済も環境も循環して家ができるのです。

みんなの願いが結集してできる家は、素晴らしいですね。

 

有名なメーカーで建てることが安心で、ステイタスのように思われがちですが、長く地元で受け継がれてきた職人さんたちの技術を生かし、未来に継承していくことは、自分の町と環境を守り、子どもたちに受け継ぐことでもあります。

 

彼らの素晴らしい仕事ぶりを見るたびに、施主に対して、町に対して、自然に対しての誠実さを学ぶのです。

 

「家は農産物である」

 

といった大工さんがいました。地元の森で百年育った木を、家のかたちに組んでまた百年もたせる。

百年経ったころに、また百年前に植えた木を使う。

この循環こそがエコロジーの原点であるかもしれません。

 

 

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おすすめ音楽

 

 

 

 

テレビをつけると、チック・コリアが画面いっぱいに映し出されていました。この人のテンションの高さと、氷琴を連打するような冷たい音は好き嫌いがあると思いますが、何と言ってもジャズの巨匠の一人。

演奏がピアノからベースのソロになって、画面に目が釘付けです。

ジョン・パティトゥッチのウッドベース。

目にも留まらぬ早さで指が弦を這い回り、1本が電気のコードくらいもある太い弦であるにもかかわらず、心臓の鼓動のような小さな音まで正確に奏でます。

 

ソロの最中は、他の演奏者も、頻繁に目を合わせ、互いにリズムを確認。

チック・コリアは演奏後のインタビューで「互いに目を合わせることで、会話をしながら演奏しているんだ」と言っていました。

 

家づくりの職人さんたちも同じです。

 

他の分野でも、互いの表情、目つき、手や足の動き、からだの揺れ、汗の出具合で、調子がわかります。

現場を眺めていますと、会話はありませんが、視線だけで互いの位置や作業を確認し、それでいて個々の持ち場ではミリ単位の精度で作業が進めていることがわかります。

 

建築現場はライブと同じ。

一度見学しておくと、演奏者=造り手の表情も記憶に残り、やがて完成する家にも一段と愛着が増すはずです。

 

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