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家を知る・家に住む・家で暮らす、そして私たちの「居場所」について。

システムキッチンだけではないキッチンの話。

 

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対面キッチンと時短料理

ちょっと気分が落ち込んだとき、キッチンに立ちます。

煮物など、いわゆる「おふくろ料理」は得意じゃありませんが、パスタや中華料理はフライパン一つでできるので、よくつくります。

ザクザクっと材料を切り刻んで、ザバッと仕上げる、男の手料理です。

 

近ごろは老眼も進んできたので、包丁を持つ手は慎重そのもの。余計なことなど考える暇はありません。

いつの間にか、仕事のことなど忘れています。  

 

キッチンは旧式の独立型。

 

LDの端っこから右に折れて独立しており、長めの暖簾をかけて、生活感が出にくい工夫をしています。

ここで一人になって、孤高を保ちつつ作業をします。台所仕事を終えると、気分もすっきりしてきます。 

急な来客の際にもじっと見られることもなく、料理にも片付けにも集中できるのがメリットです。

 

リビングダイニングの一区画に、壁に向かって設置されている「壁付キッチン」もいまだ健在です。

LDとキッチンが同じ空間ですので、部屋が広く感じられ、キッチンからの動線はベスト。昔から人気のキッチンです。

 


 

この20年くらい、対面式のキッチンがスタンダードになってきました。

キッチンからLD=リビングダイニングを見渡すことができるオープンキッチンですが、この対面式にもいくつか種類があります。

 

調理台やシンク・コンロが壁から離れてアイランド=島のような「アイランドキッチン」は、ホームパーティーをよくする家族に人気。いつも目に入るため、清掃・片付けは欠かせません。

 

キッチンの左右の片方が壁面についている「ペニンシュラキッチン」は、マンションなどで多く採用されています。

対面式のI型キッチンは、調理台・シンク・コンロが直線上に並んだキッチン。吊戸棚があり、リビングから調理台が見えにくいのが特長です。

小さなお子さんがいたり、介護をする家族が視界に入って安心するという場合に便利なのです。

 

テレビを見ながら家事をしたいという声も、よく聴きます。家族とのふれあいがほしいからという意見もあります。

反面、早くテレビを見たい、家族と一緒の時間がほしいから、効率を考え、ささっと短時間で美味しい料理をするという人もいます。

 

時短料理は知恵や技術の結晶です。

家族にとっても、お母さんのギラギラした目つきがそこにあるより、ちょっと向こうに、大きなお尻があったほうが落ち着くこともあります。 

特に、定年退職後のおとうさんとおかさあんだけのお宅は、対面キッチンでは常に床にへばりついたおとうさんが目に入り、互いのストレスの原因になることもあるようです。

 

認知症の母を自宅で介護しているとき、症状が進んでも、料理の能力が残っていることに気づきました。

イモの皮も剥き、キャベツの千切りもできます。味付けも問題ありませんでしたが、調味料をあちこちにしまい込んで、あとで見つけるのが大変でした。 

このときは、目の届く対面キッチンだったらよかったのに、と思ったものです。

 

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アメリカのキッチンは広くて設備重視型が多いが、集合住宅の多いヨーロッパの都市部では最小限のスペースに最小限の設備が凝縮されているケースが多い。

 


 


キッチンの理想が描けない理由

レストランを設計する際のこと。

コックさんの意見を優先すると面積の広い厨房をつくることになり、オーナーの要望を優先すると、厨房を狭くして席数を多くとり、お客さんをたくさん入れたがる、そんな話を聞いたことがあります。

 

予算さえあれば、住宅でも、前者がいいに決まっています。 

しかし、家庭のなかでの調理役は奥さまだけとは限りません。男性だって料理好きの人はいますし、パーティーが好きで、週に一度はお友だちを招いて、ワイワイ食べたり飲んだりすることを趣味にしている人もいます。

一人暮らしでも料理好きの人とそうでない人とでは、キッチンのかたちも大きさも異なってくるのです。  

 

そうはいっても、ほとんどの場合、新築時には100万円以上もするシステムキッチンを入れてしまうケースがほとんど。最近は、自分たちの好みでオリジナルキッチンを考える人も増えてきましたが、まだまだメーカー製のシステムキッチンに憧れる人が多いのは不思議な気がします。

私たちは、CMや雑誌の広告で見たキッチンしか、頭に浮かんでこないのかもしれません。 

 

 

 

 

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アイランド型のキッチンは対面キッチンよりも家族が家事に参加しやすく、リビングとの一体感が強くなる。


  

家事や料理から面積そのものを見直す

キッチンに必要なのはシンク、コンロ、調理台、食器棚など。これらをコンパクトにまとめれば、それほど広いスペースは必要ありませんし、冷静に考えると、高価なシステムキッチンも絶対必要アイテムとはいえません。 

 

日本のシステムキッチンは、ラインナップが豊富でデザインも機能もシステム化されているかのように見えます。

が、どこかが壊れた場合など、部材や部品の交換が難しいという問題もあります。

システムとはいえ、実はメーカーによって規格はバラバラなのです。

A社とB社を組み合わせることも難しく、同じメーカーでも数年経って規格が変わり、古いものと新しいものとを組み合わせることも難しい場合もあります。 

 

同じプレハブ工法やユニット工法でも、リフォームの際にはその会社の材料でないと改修ができないことと同じ。

在来工法や2×4工法は、大工さんが違っても改修が可能ですが、ハウスメーカーではこうしたケースが多くなります。

システムとは名ばかりで、システム化できないシステムキッチンのデメリットがいまだ改善されていないのは残念なこと。 

アメリカではこうした規格化が末端まで進んでいるからこそ、素人レベルの人でもホームセンターで購入した材料だけで、家を1軒建てることができるわけです。

 

家族の人数、料理の嗜好や作業の方法によって広さもかたちも変わってくるのでしょうが、広い調理台があっても、スーパーで買ったお総菜をレンジで「チン」の回数が多ければ無駄な面積となります。

 

肉も魚もイタリアンも中華料理も、カレーライスに使う皿まで同じといった家庭が大半だとしたら、余計な器をこの際、処分するのも方法です。

 

ここ数年の我が家では、納豆一つ食べるのにも、ドンブリさえ出してもらえず、パックのまま目の前にポンと置かれることが増えてきました。これはこれで、忙しいときには仕方のないことなのです。

 

この現実をしっかりと見据えることから、キッチンの構想はスタートします。

 

食器棚のなかにしまってある食器の8割は、実は隠されてそこにあるだけ、ということもあります。だったら、最初から食器の数を絞りきって、食器棚は最小限の大きさでいいという考えもあります。

 

大型の冷蔵庫を置くスペースを考えたって、そこに入っている何割かはきっと賞味期限切れのマヨネーズやケチャップのたぐい。小さ目の機種を選ぶと、キッチンの面積も小さ目にできます。

1坪削ると数十万円になることを考えると、面積の節約はばかにできないのです。  

 

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シンクなどは既製品としても、棚や収納などは全て手造り。システムキッチンの数分の一の予算ででき、数年経ってからの修繕も楽。

 

 


 

 

自分らしさを体現できるかどうか

子どもが独立してしまった50代以降の世帯では、既成の概念ではなく、人数はもちろん、自分の動作や作業力を配慮した設計や設備に投資した方が、現実的な場合もあります。

 

リビングの一部にキッチンを突き出すかたちのアイランド型キッチンも面白いですし、自分の身長や使い勝手にジャストフィットさせたつくり付けの棚や収納、キッチンにこだわるのも素敵です。

 

 IHクッキングヒーターやオーブン、食器洗い機、生ゴミ処理機など、いわゆる設備に重点を置いて考えることも大切。 

アメリカやドイツでは、食器洗い機はすでに5割前後の普及率ですが、日本ではここに来て、ようやく普及し始めたところです。

家族はそれぞれ食後の食器を機械に入れ、あとは乾燥まで機械任せ。シンクに汚れた食器がゴチャっとなってさらされているわけではないので、1日分をまとめて夕食後に洗ってしまうこともできます。

 

最近では、バイオの力で生ゴミを分散する生ゴミ処理機や生ゴミを乾燥させて圧縮する製品もあり、ゴミ処理の負担を軽減させる方に考え方をシフトすることもできます。

 

 IHクッキングヒーターは火事の不安が軽減され、ケーキづくりが好きな人には、思いきってオーブンにお金をかけるのもいいでしょう。

 

設備の種類をきちんと把握してからシステムキッチンでもオリジナルキッチンでも、その種類や形状、キッチンそのものの広さを考えていくというのも、逆転の発想で、これはこれで家づくりの楽しみ。 

 

家もキッチンも同じなのです。

テレビや雑誌で見た規格に合わせて暮らそうと考えるのではなく、自分の身長、使い勝手、料理の好みに合わせて、わがままいっぱい、手づくりしていく選択肢もあります。

システムキッチン、対面キッチンを否定するのではありません。

流行に惑わされず「自分らしさ」が優先です、というお話。  

 

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家族4人でもキッチンは小さ目とし、その分、ダイニングスペースを広くとるという発想もある。

 

 

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まとめ

 1.キッチンは大別してオープン型と独立型の2タイプ。キッチンの種類・タイプを知って、家族の生活スタイルにどれが合うかを話し合う。流行だから、モデルルームにあったからといった理由だけでは選ばないこと。

 

2.家族の生活スタイル、調理方法、食器や冷蔵庫のタイプによって、キッチンそのものの面積から検討する。住宅は1坪数十万円の単価となるだけに、キッチンでも0.5坪、1坪の削減ができないかどうかを根本から計画したい。

 

3.ニトリIKEAでは専門メーカーの半額以下でシステムキッチンを販売しているので選択肢となる。MUJI×URのリノベーションプランも参考になる。

 

4.ビルダー、大工さんに構想を伝えて、既成のシンクや棚と組み合わせて造り付けのキッチンも検討したい。メーカー製よりは安くでき、修繕の際にも、必要な部分のみを直すだけでいいためメンテナンスコストも割安。

 

 

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