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家を知る・家に住む・家で暮らす、そして私たちの居場所について。

窓はデザイン+性能で選ぶ。

 

 

 

 

 

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開ける窓と閉じる窓

日本における窓は「目戸」あるいは「間戸」が起源。壁はもともと非耐力壁でしたので、大きくとっても問題にはされず、柱と柱の間が全部開口部になっている建物は、いまも全国各地で見ることができます。

 

代表的な「目戸」は縁側です。これは庭に向けた大開口部。通風、出入り、眺望など生活機能まで有した日本ならではのものといえます。

 

西洋建築で「窓」が小さいのは、壁を構造体としているから。通風、出入りの機能より、外の世界との遮断、採光、換気、眺望などが重視され、同時に高いレベルのデザインや種類のバリエーションが求められました。

 

しかし、外界との遮断と採光、眺望とは相反するものです。特に遮断に関しては、壁と同様の機能や性能が要求されます。

 

景色は見たいけど、強い日差しはいらない。光は得たいが、眩しいのはだめ。風を遮りたいが、気持ちのいい風だけ感じたい。夏は涼しく、冬は暖かく――など、窓は相反するテーマを課せられ、なかなか大変なのです。

 

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欧米の窓は表情がゆたか。このデザイン性の高さが外観、そして町の表情を決める。



窓に税金が課せられた時代

窓の数によって税金が課せられた時代がありました。イギリスにあった「窓税」で1696年から1851年まで実に155年も続いたのです。

当時、ガラスは高価なものでした。となると、窓にガラスを使うのはお金持ちと決めつけ、国は彼らから税金をとろうとしたわけです。

 

税金をとられるほうもアホではありません。だったら、窓を隠してしまおうとする人が増え、その結果、暗く換気もできない部屋が多くなり、体調を崩してしまう人がたくさんいたといいます。

 

オランダやバルト3国にも同様の制度があり、人々は窓をふさぐだけではなく、間口が狭く、奥行きの長い建物を並べて建てるようになります。オランダの運河沿いに隙間なく建ち並ぶ建物群は、そうした税制の名残りともいえます。

 

江戸時代の日本にも間口税や棟別銭という制度がありました。その名の通り、間口の広さに応じてかけた税金です。やはり、税金を課せられるほうは知恵を絞り、負担を減らすために間口を狭くする建築を考えました。

そうして間口が狭く、奥行きが細長い町家が生まれ、京都では都市景観の特徴にもなっているのです。

 

 

 

 

 

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木製サッシ+複層(あるいは3層)ガラスも普及してきた。窓の性能を高めることで温熱環境は飛躍的に快適になる。

 

 

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ドイツ生まれのドレーキップ窓。通常の内開きに加え、換気に適した内倒しの2つの開閉機構。



窓からは熱が逃げ放題

躯体の断熱・気密性能の向上ともに窓の性能、デザインに注目が集まってきました。つまり「目戸」としての窓ではなく、性能的に外界と遮断する目的の窓が採用されるようになってきたのです。

 

「開ける」窓から「閉じる」窓への変化は日本の建築史上では革命的なことといえます。冬期においては窓から6割もの熱が流出し、夏期は7割の熱が窓から流入します。

 

グラスウール100ミリの断熱の壁と比較すると、単板ガラスでは20倍、複層(ペア)ガラスで10倍もの熱が逃げてしまうのです(室温20℃、外気温マイナス10℃時の計算値)。

 

近年、急速に普及してきた3層ガラスでも100ミリの断熱材を入れた壁と比べると6倍の熱が逃げます。

逆にいいますと、断熱材の入っていない板切れ1枚程度の薄い壁は、3層ガラスに負けてしまうことになります。

 

窓の断熱性能(省エネ建材等級)は国の「窓等の断熱性能に係る情報提供に関するガイドライン」により表示され、熱貫流率によって4つの☆マークで区分されます。

これは製品のサッシに☆がついていますので、すぐに見分けることができます。

 

 

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☆が4つで【フォースター】の樹脂サッシ。ガラスは3層(トリプル)で国内でも最高レベルの省エネ性能。



 

断熱性能は熱貫流率(U値)で示されます。「内外の温度差が1℃のとき、単位時間あたりに窓面積1㎡を通過する熱量を示す数値」で数値が小さいほど断熱性が高いことになり、単位は、「W/1㎡・K)」。

 

熱貫流率が2.33以下が☆4つ(4スター)、2.33を超え3.49以下のものが3スター、3.49を超え4.65以下のものが2スター、4.65を超えるものが1スターとなり、予算の許す限り、最高等級の窓を選択します。

 

結局、光熱費削減というメリットで回収の可能性があり、回収までの期間も厳しい寒さや暑さに悩まなくていいことを考慮すると、費用対効果は十分すぎます。

 

 

 

 

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ガラスだけではなくサッシ(窓枠)の断熱性を考慮する。日本における樹脂サッシの普及はまさにこれから。



 

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隙間風とは異なるコールドドラフト

ガラスやサッシ面からの熱損失が大きいと、コールドドラフト現象が発生します。ガラス面にふれている空気は室内の空気に比べて密度が大きく、その重力差で窓面をなめるようにして降りてきて、冷えた空気が床面を這いながら室内に流れ込むのです。

 

隙間風とは異なり、室内に氷を置いている感覚。室温がいくら高くても、コールドドラフトがある限り寒さを感じ、その対策として温水パネルやラジエーターを窓際に設置することになります。

 

建物全体の断熱・気密性能を向上させるには、この窓の性能がカナメとなり、窓面積、断熱性能も考慮しなくてはなりません。

窓枠つまりサッシの部分も、アルミ、樹脂、木製など、さまざまな種類があり、枠の素材の熱損失を考えることも大切です。

 

欧米、中国、韓国でもすでにアルミサッシよりも樹脂サッシのシェアが多くを占めます。

 

リフォーム時に、もっとも費用や工事日数がかさまないのが窓の断熱。内窓を設置して窓を二重にすることがもっとも簡単ですが、ガラスだけ断熱性の高いものと交換することもできます。

 

可能であれば、樹脂サッシ+3層ガラスの製品として窓をそっくりそのまま交換するのがベスト。

 

特殊金属膜(酸化亜鉛と銀)をコーティングして断熱性を高めたLow-Eガラス(遮熱タイプと)、複層ガラスの間にアルゴンガスを充填してさらに断熱性を高めた製品もあります。

これらの製品は断熱性のみならず、遮熱性や結露防止効果も高くなります。

 

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ヨーロッパは窓の性能、デザインの先進地。個性を主張しながらも都市景観に負荷はかけない。



窓に求める機能を絞り込むと選択肢が増える

日本人の私たちには、いまだ「目戸」のDNAがいまも脈々と流れています。

いまだに掃き出し窓がなくならないのはそのためでしょうし、性能重視のために窓を小さめにするのにも、抵抗があるのです。

 

窓メーカーやビルダーの方々が苦労するところでもありますが、眺望も窓の立派な性能と考えれば、大好きな庭、お気に入りの景色を眺めるために窓をなくし、小さくしてしまうとのは、ちょっと違うという気もします。

 

わがままをいって、性能もほしい、眺望も大事、デザインもカッコいいものをといけばおのずと窓にかかる費用もアップます。もちろん、、防犯性能も要チェックです。

 

眺望は、性能にも費用にも換算できるものではありません。

お気に入りの景色があれば、そこは性能を一歩譲って大きめの窓とするというのもそれはそれで、家づくりに対する立派な意志だと思います。

 

しかし、前述したように、エネルギーを垂れ流しにしてしまう性能だと「目戸」の時代と大差ありません。

 

かつての町家や農家、寺社建築のように、機械設備を使わず、自然エネルギーだけで暑さや寒さの対策をした時代とは異なり、いまでは町家や農家でもエアコン、ストーブが使う時代です。

エネルギーを使用する以上は、それらを抑制しながら快適さを享受するのが私たちの義務でもあるのです。

 

窓はまた、住まいの外観イメージを決定づけ、屋内からはインテリアを形成するデザインアイテムでもあります。

欧米の家々の表情が豊かに見えるのは、窓のバリエーションの豊富さによるものといっても言い過ぎではありません。

 

日本ではいまだ引き違い、掃き出しなどの窓が主流で画一的なデザインにしかなりせんが、欧米では古くからアールの窓、上げ下げ窓、ひし形、、丸型、スクエア、FIX、ドレーキップなど多くのバリエーションがあり、なおかつそれらの組み合わせを楽しむかのように建築物がデザインされ、美しい都市景観をつくりあげてきたのです。

 

日本のメーカーでも、窓の多機能化、デザイン化急速に進んでおり、あとは設計者と施主のセンスが問われるだけです。

 

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